TOPページ > 海外競馬ニュース > チャンネルの仏オークス優勝で調教師と新規馬主がクラシック初制覇(フランス)[その他]
海外競馬ニュース
2019年06月20日  - No.23 - 1

チャンネルの仏オークス優勝で調教師と新規馬主がクラシック初制覇(フランス)[その他]


 優勝したピエール-シャルル・ブドー騎手(26歳)が輝く太陽の下、観衆にヘルメットを投げ込んだ瞬間、若い世代に運が向き始めたことがはっきりした。チャンネル(Channel)が仏オークス(G1 ディアヌ賞)を制して、調教師と新規馬主にクラシック初優勝をもたらしたのだ。

 ブドー騎手は、チャンネルを優勝させるべく、コム(Commes 馬主:吉田照哉氏)を退けるのに全力を尽くさなければならなかった。コムは2つのクラシック競走で惜しい2着に敗れることとなった[訳注:仏1000ギニー(G1)ではキャッスルレディ(Castle Lady)の鼻差の2]。1番人気のシヤラフィナ(Siyarafina)は、大外16番ゲートからの発走が響き、追い込んだものの6着までであった。

 ブドー騎手はこう語った。「ゴール板を駆け抜けたときに80%勝っていると思いましたが、絶対に確かだとは言えませんでした。首の上げ下げでひょっとすると残念な結果になっているかもしれないと思いました。勝ったと知った瞬間は興奮しました」。

 フランシス・グラファール(Francis Graffard)調教師は、近年の仏オークスで惜敗を喫してきた。2016年と2018年にそれぞれヴォルタ(Volta)とオメリック(Homerique)が3着となっている。しかし同調教師は、クラシック初制覇を確実にしたゴールの瞬間は不思議なくらい落ち着いていたと述べた。

 グラファール調教師はこう語った。「チャンネルが加速している様子を見たとき、本当に食らいついてくる馬はいないだろうと感じましたし、彼女が止まってしまうようなことはないと思っていました。ゴールまで走りきるだろうと考えていたところ、そのとおりに走ってくれました」。

 ブックメーカーのコーラル社は、凱旋門賞(G1)でのチャンネルの単勝オッズを21倍としている。グラファール調教師は、5月中旬に凱旋門賞への出走登録を考えたが、見送った。近年では、トレヴ、ゴールデンホーン、エネイブルの調教師がこの時期に同じような判断を下していた。

 それは、仏オークスの出走馬16頭の中で馬体が一番小さいチャンネルの潜在能力を信じていなかったからではない。

 グラファール調教師はこう続けた。「2月の時点では、クラシック競走にいくつも登録していたわけではありません。しかし、チャンネルがすでに調教で素晴らしい走りを見せていたので、彼女を購買したエージェント(馬売買仲介業者)のベルトラン・ル・メテイエ(Bertrand Le Metayer)氏に"彼女はクラシック競走に登録するに値する馬だ"と相談しました。つまり、今年の早い時期から凱旋門賞は頭の中にありました」。

 チャンネルを本当に凱旋門賞に出走させるかは決定していない。だが、同馬をこのレースへ追加登録することについて有利に働く要素は、「チャンネルは競走距離を300m伸ばしても対応できる」とグラファール調教師が確信していることである。

 グラファール調教師は、ロイヤルアスコット開催4日目(6月21日)のコロネーションS(G1 ロイヤルアスコット開催)に管理馬ウォッチミー(Watch Me)を出走させるので、これでG1争奪戦が一段落したわけではない。

 チャンネルは、ビジネスマンであるサミュエル・ド・バロス(Samuel de Barros)氏が初めて所有したサラブレッドである。同氏は、妻でトロッターの生産者として成功しているエロディー氏の影響で競馬に魅了されるようになった。ド・バロス氏は、「私はパリで快適な生活を送ってきたのですが、恋煩いをし、後はご存じのとおりです。これはラブストーリーのようなものです」と語った。

 仏ダービー(G1 ジョッケークリュブ賞)を制したクリスチャン・デムーロ騎手&ジャン-クロード・ルジェ調教師のコンビが手掛けたコムは、頭差の2着となった。同じくルジェ厩舎のエトワール(Etoile)は4着となった。

 ルジェ調教師は、「コムの走りっぷりは上々でした。しかし全力で加速したと感じることは道中1回もありませんでした。頭差や短頭差で負かされるのはとても悔しいことですが、これこそが競馬です。勝馬を称えなければなりません」。

 英国勢の中ではノーシャ(Nausha)が内埒沿いの好位置に付けていたが、最後の直線で後退していった(14着)。エンタイトル(Entitle)は10着となった。

news_2019_23_01_01.PNG

By Scott Burton

[Racing Post 2019年6月16日「Channel leads new wave for Boudot, Graffard and love-struck owner Barros」]


上に戻る