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2019年04月04日  - No.13 - 3

フランシス・ベリー騎手、落馬事故による重傷で引退(アイルランド)[その他]


 1月のウルヴァーハンプトン競馬場での落馬事故で重傷を負っていたG1優勝ジョッキーのフランシス・ベリー騎手(38歳)は、医師の忠告により引退を余儀なくされた。

 ベリー騎手は、ハンデ戦(約2800m)で騎乗馬バマコデュシャトレ(Bamako Du Chatelet)が転倒したために落馬し、脊椎を損傷した。担当医師の診断を受けて、同騎手は23年間にわたる華やかな騎手生活に終止符を打った。

 アイルランド・キルデア州出身の同騎手は、2016年に騎乗拠点を英国に移していた。復帰に向けてリハビリに励んでいたが、医師との話合いで恐れていた知らせを耳にすることになった。

 ベリー騎手はこう語った。「このような経緯で騎手生活が終わってしまうのは残念ですが、リハビリで思うような進歩はなく、担当のマイク・フォイ(Mike Foy)医師とジェリー・ヒル(Jerry Hill)医師と話し合ったところ、彼らは私を思って決断を下しました」。

 「それを聞いてとても動揺しました。まだ完全に納得しているわけではありませんが、特に首の状態が思わしくなく、動きがかなり制限されています」。

 ベリー騎手は、脊柱の椎骨6本と肋骨4本を折ることになった事故を振り返り、こう語った。「15歳で初勝利を挙げ、騎乗は人生の大きな部分を占めてきました。それをやめなければならないのは、体の一部を失うほどつらいことです。しかしウルヴァーハンプトンの事故はもっとひどい事態を招いていたかもしれません」。

 ベリー騎手はアイルランドの元リーディング障害騎手であるフランク・ベリー氏の息子である。まだ学生だった1996年に、ナヴァン競馬場で父が管理するラウモーグ(Loughmogue)に騎乗して初勝利を果たした。

 その後、障害競走に転向し1999年チェルトナムフェスティバルのコーラルカップ(G3)をJ・P・マクマナス(JP McManus)氏所有のケイラワニ(Khayrawani)で制した。また、2000年にはマントルスプリンス(Mantles Prince)でラドブロークスハードル(G1 レパーズタウン競馬場)を優勝した。

 平地騎手としてはかなり背が高いにも関わらず、ベリー騎手は平地競走に復帰して重点的に騎乗するようになった。ジョン・オックス(John Oxx)厩舎で主戦のマイケル・キネーン騎手に次ぐ契約騎手に起用され、その後2010年に主戦騎手となった。

 同騎手は2010年、アイルランド最優秀2歳馬のパスフォーク(Pathfork ジェシカ・ハリントン厩舎)でナショナルS(G1)を制して、最高の瞬間を噛みしめた。

 そして2016年、ラルフ・ベケット(Ralph Beckett)調教師とコンビを組んで、騎乗拠点を英国に移した。しかしその1年後にこのコンビはたもとを分かち、その後フリーランスとして騎乗することになった。

 シャーガーカップのシルバーサドル賞を2度獲得したベリー騎手は2018年、チェスターカップをマジックサークル(Magic Circle)で制し、人気ある芦毛馬サンダリングブルー(Thundering Blue)で英国や海外のビッグレースを制して自らの地位を確実なものとした。その騎手生活において通算1,300勝以上を果たした。

 ベリー騎手はこう語った。「英国を拠点に3年間騎乗し、昨年は絶好調でした。関係者と連絡を取って準備を進め、今シーズンを本当に楽しみにしていました。私の騎手生活はとても恵まれていたと感じています。ロイヤルアスコット開催、チェルトナムフェスティバル、東京競馬場など、どこでも勝利を収めることができました。世界中の最高の競馬場のG1競走で騎乗するという大きな冒険をすることができました」。

 ベリー騎手はレーシングTVのチームに仲間入りする予定であり、これからも競馬に関わり続ける。



フランシス・ベリー騎手の経歴

本 名: フランシス・マーティン・ベリー(1981年1月2日生)

父:フランク・ベリー(Frank Berry)氏

[愛リーディング障害騎手タイトルを10回獲得。馬主J・P・マクマナス氏のレーシングマネージャー]

平地初勝利馬:ラウモーグ(フランク・ベリー厩舎)...1996年5月6日ナヴァン競馬場。

障害初勝利馬:トータルサクセス(Total Success)&メイクアムーヴ(Make A Move)

          ...1998年1月1日フェアリーハウス競馬場。同日に2勝。

英国での初勝利馬:ケイラワニ...1998年4月3日オドビンズハンデキャップハードル(G1 エイントリー競馬場)

G1優勝馬:パスフォーク...2010年ナショナルSで優勝。

チェルトナムフェスティバル優勝馬:ケイラワニ...1999年コーラルカップ

ラドブロークスハードル優勝馬:マントルスプリンス(2000年)

日本でのG2優勝馬:ダノンバラード...2013年アメリカンジョッキークラブカップ(中山)

G2優勝馬:カーテンコール(Curtain Call)...2007年ベレスフォードS

   ダフ(Duff)...2007年パークS(ドンカスター)

   ラフィングラッシーズ(Laughing Lashes)...2010年デビュタントS

   パスフォーク...2010年フューチュリティS

   ドラゴンパルス(Dragon Pulse)...2011年フューチュリティS

   クールカンパニー(Kool Kompany)...2014年レイルウェイS

   サンダリングブルー...2018年ヨークS

ロイヤルアスコット開催での優勝馬:

   レグスピナー(Leg Spinner)...2005年アスコットS

   ウェルシャープ(Well Sharp)...2013年アスコットS

   ドミネーション(Domination ...2014年アスコットS

   キネマ(Kinema)...2016年デュークオブエディンバラH

その他のビッグレース優勝馬:

   トータルサクセス...1998年ビスキーコニャックH

   ジュンバジュキバ(Jumbajukiba)...G3・4勝

   マジックサークル...2018年チェスターカップ、ヘンリー2世S

   サンダリングブルー...2018年ストックホルムカップインターナショナル

現役最後の優勝馬:ネファリアス(Nefarious)...2019年1月19日ウルヴァーハンプトン競馬場

現役最後の騎乗馬:バマコデュシャトレ(落馬)...2019年1月19日ウルヴァーハンプトン競馬場

愛ジョッキーランキングで2位:2004年、2005年、2008年、2010年

アイルランドでの最多勝シーズン:2010年(88勝)

英国での最多勝シーズン:2018年(74勝)

アイルランドでの通算勝利数:1,057勝(平地1,020勝、障害37勝)

英国での通算勝利数:204勝(平地200勝、障害4勝)

日本での通算勝利数: 79勝(665戦)

By Andrew Dietz

(関連記事)海外競馬ニュース 2016年No.10「ベリー騎手、アイルランドからイギリスに拠点を移す(アイルランド・イギリス)

[Racing Post 2019年4月1日「Fran Berry forced to retire on medical grounds after Wolverhampton horror fall」]


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