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2018年11月22日  - No.45 - 1

名牝エネイブル、凱旋門賞3連覇を目指して来年も現役続行(イギリス)[その他]


 激戦となった凱旋門賞(G1 パリロンシャン競馬場)を制して連覇を達成したエネイブルは、来年も現役を続行する。そして、今まで成し遂げられたことのない凱旋門賞3連覇を目指す。

 カリド・アブドゥラ殿下のレーシングマネージャーであるテディ・グリムソープ(Teddy Grimthorpe)氏は11月19日、「スケジュールは未定だが、すべての道は秋の凱旋門賞に続く」と、エネイブルの現役続行のニュースを明らかにした。

 グリムソープ氏はこう語った。「殿下はエネイブルが果たした快挙について感慨に浸ってから、この決定を下したのだと思います。早急な決定は望んでいませんでした。彼女は2歳のときに1回しか出走しませんでした。3歳シーズンは多忙でしたが、4歳となった今年は3戦しかしませんでした。そのため、それほど負担が掛かっていません」。

 アブドゥラ殿下は、長年にわたり凱旋門賞に愛着を抱いてきた。グリムソープ氏はこう続けた。「凱旋門賞が世界最高峰レースの1つであることは明らかです。殿下のこのレースの優勝回数は首位タイとなりました(6回でもう1人の首位はマルセル・ブーサック氏)。殿下が史上初の3連勝馬を送り出して、この記録を決定的なものにするのであれば、最高ですね」。

 アスコット競馬場は、エネイブルが来年出走してくれることを願っている。同馬は、昨年この競馬場でキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)を優勝している。英オークス(G1)と愛オークス(G1)を制した2週間後に臨んだ同レースで、エネイブルは2着のユリシーズ(Ulysses)を4½馬身退けて優勝した。過去15年間において3歳でこのレースを制した馬はエネイブルを含め3頭であり、ほかの2頭(2011年ナサニエル、2014年タグルーダ)もジョン・ゴスデン調教師に手掛けられた。

 アスコット競馬場の競走担当理事であるニック・スミス(Nick Smith)氏はこう語った。「エネイブルは特別な馬です。2018年に活躍した馬が来年もレースに戻ってくることは素晴らしいニュースです。キングジョージへの2回目の出走が検討されることを望んでいます。初めての10ハロン(約2000m)のGレースとしてプリンスオブウェールズS(G1 ロイヤルアスコット開催)に挑戦してくれることになれば、なおさら嬉しいです」。

 「エネイブルが3歳でキングジョージを制したことは反響を呼びました。彼女が再びこのレースで走るのを見ることは素晴らしいことでしょうし、今度は3歳馬を相手に戦うことになるでしょう」。

 エネイブルは、2018年は怪我のためになかなか出走できずにいたが、セプテンバーS(G3)で遅い復帰を果たしてから、凱旋門賞とBCターフ(G1)を制した。競馬史上、凱旋門賞馬がブリーダーズカップ競走を制したのは初めてのことである。

 2019年凱旋門賞の出走馬確定前オッズで、エネイブルは1番人気の単勝5倍である。今年の凱旋門賞で同馬と接戦を繰り広げ2着となったシーオブクラス(Sea Of Class)が単勝7倍とされている。ブックメーカーのコーラル社(Coral)は2019年のエネイブルを対象とした一連の賭事を提供しており、以下のようなオッズがつけられている。

・ BCターフを連勝...6倍

・ 2019年も無敗...8倍

・ 凱旋門賞とBCターフの両方を優勝...9倍

 グレートブリティッシュレーシング社(Great British Racing)は、このニュースを"平地競走にとっての後押し"として歓迎した。CEOのロッド・ストリート(Rod Street)氏はこう語った。「2019年もエネイブルに現役を続行させることは、アブドゥラ殿下とジャドモントファームの冒険心のある決断です。競馬ファンとスポーツファンはこのニュースを聞いて盛り上がることでしょう」。

 「実際のところ、平地競走よりも障害競走のスター馬の知名度が高いのは、障害競走馬のほうが長く現役を続けるからです」。

 「そのため、エネイブルのような平地競走馬の驚異的な活躍を見続けられる機会が与えられることにより、一般の人々はこのような馬にいっそうの親近感をもつでしょう。これは朗報であり、競馬への関心を高める一助となります」。


By Keith Melrose


[Racing Post 2018年11月19日「Superstar filly Enable to stay in training with third Arc the main target」]


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