デットーリ騎手、ゴールドカップ制覇でロイヤルアスコット開催通算60勝(イギリス)[その他]
フランキー・デットーリ騎手は、ロイヤルアスコット開催で通算60勝を挙げた。ゴールドカップ(G1)で騎乗したストラディヴァリウス(Stradivarius)が、終盤で繰り広げられた壮絶な戦いで、ずっと先行していたトルセドール(Torcedor)、同時1番人気のオーダーオブセントジョージ(Order Of St George)、そしてフランスの有力馬ヴァジラバド(Vazirabad)を撃退して勝利を掴んだのだ。レディーズデーの観客は、この激しい叩き合いに魅了されていた。
ストラディヴァリウス(ジョン・ゴスデン厩舎)は、長距離路線の王座を狙うまだ4歳の馬だ。デットーリ騎手を背に順調に走っていた同馬が最後の直線に入ったとき、前を走っていたのはトルセドールとオーダーオブセントジョージの2頭だけだった。オーダーオブセントジョージは2016年にこのレースを制し、2017年にはビッグオレンジ(Big Orange)の2着となっている。
ストラディヴァリウスは、オーダーオブセントジョージと同じ単勝オッズ2.75倍で1番人気に推されていた。残り2ハロン(約400m)を切ったとき、勝利に向かって走るように合図を送られ、それに熱心に応えようとし、グランドスタンドからはその勇気を称える歓声が挙がっていた。しかし、先頭の2頭を交わしたところで、ヴァジラバドのグレーの馬体が勢い良く迫ってきた。
緊張をはらんだ残り数ヤードで、ストラディヴァリウスとヴァジラバドは顔を見合わせるほど至近距離に迫っていたが、先にひるんだのはフランスのせん馬のほうであり、ストラディヴァリウスは熱心に走り続け¾馬身差の勝利を収めた。観客の期待に応える素晴らしいレースだった。
デットーリ騎手は、昨年は怪我のためにビッグオレンジに騎乗できず優勝を果たすことができなかったが、今回のレースについてこう語った。「オーダーオブセントジョージに騎乗していたライアンは、残り4ハロン(約800m)の地点で手こずっているようでしたが、そのまま仕掛けたらやり返されるだろうから、"これは演技だ"と思いました。だから、残り2ハロン(約400m)まで待ちました。そのときに、"とらえることができる"と感じました」。
「ところが彼を交わしたときに、グレーの頭が迫ってくるのが見え、"ちくしょう!"と思いました。首まで迫ってきましたが、追い抜かれませんでした。ストラディヴァリウスが勇敢なのはわかっていましたが、まさにそのとおりでした。勝利を確信していました」。
「ゴールドカップをこのように勝つことは実にスリリングです。観客は望んでいたようなレースを見られたことでしょう。理論上は素晴らしいマッチレースとなるようでしたが、実際は最後まで展開が読めなくてハラハラさせられたレースでした」。
「見事なレースでした。観客が後押しをしてくれ、本当に心の支えになりました。最後の1ハロン(約200m)で3頭の最強馬が接戦を繰り広げると1頭だけ抜け出るのは至難の業です。全ては、ライオンのように勇敢なストラディヴァリウスとゴールドカップ初勝利となるジョンの功績です」。
まさしく、ゴスデン調教師にとって初めてのゴールドカップ優勝だったが、デットーリ騎手にとっては6勝目であり、ロイヤルアスコット開催での通算勝利数を60勝に伸ばした。しかし、デットーリ騎手ははっきりさせるためにこう述べた。「ゴールドカップは6勝目で、ロイヤルアスコットは60勝目です。しかし私はまだ47歳です。混同しないでくださいね」。
ゴスデン調教師は、悲喜こもごもの週を過ごしていた。ロイヤルアスコットの初日は3勝を果たしたが、その翌日にはクラックスマン(Cracksman)がプリンスオブウェールズS(G1)で敗れ、そしてその翌日にゴールドカップで再び勝利を手にした。
同調教師はこう語った。「ゴールドカップで優勝するのは素晴らしいことです。ストラディヴァリウスは道中順調に走り、とても優秀な馬を撃退したと思ったのですが、アガ・カーン殿下の馬に乗ったスミヨン騎手が迫ってきました。"まずい、フランスの馬にやられる"と思いました。しかし、危うい状況に晒されましたが、幸運にもヴァジラバドを負かしました。ストラディヴァリウスは根性と意志の強さを持っています。手に汗握る素晴らしいレースでした。ストラディヴァリウスは、あまり大きくなく、白い小さい肢とかわいらしい顔をもつ、愛らしい馬です」。
競走後検査で、ストラディヴァリウスが右後肢を落鉄し跛行していることが分かった。
ストラディヴァリウスは次の目標をグッドウッドカップに定めており、100万ポンド(約1億4,500万円)のボーナスに一歩近づくことになる。このボーナスはシーズン中に4つの長距離レースを制した馬に授与される。同馬は最初にヨークシャーカップを制し、今回ゴールドカップの勝利を加えた。もしグッドウッドカップを制して次の指定レースであるロンスデールカップ(ヨーク競馬場のイボア開催)で優勝すれば、100万ポンドのボーナスを手にすることができる。
しかしながら、その後の目標レースは多岐にわたる。ゴスデン調教師は、凱旋門賞(G1)とメルボルンカップ(G1)の両方を視野に入れていることを認めた。
By Tom Kerr
(1ポンド=約145円)
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[Racing Post 2018年6月21日「Dettori pulls the strings as Stradivarius comes of age in pulsating battle」]