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2018年05月24日  - No.19 - 1

ジャスティファイが濃霧のプリークネスSを制して三冠に王手(アメリカ)[その他]


 ケンタッキーダービー(G1)優勝馬ジャスティファイ(Justify)は、少数精鋭の7頭のライバルを相手にプリークネスS(G1)を制し、史上13頭目の米国三冠馬となるべくベルモントS(G1)に備える。

 ボブ・バファート調教師が手掛けるジャスティファイは、ケンタッキーダービーでの驚くべき勝ちっぷりにより、プリークネスSで単勝1.4倍の1番人気とされていた。道中ケンタッキーダービー2着馬グッドマジック(Good Magic)と長く争い、終盤に追い込んできたブラヴァーゾ(Bravazo)を撃退した。

 7番ゲートから発走したジャスティファイとマイク・スミス騎手は、先頭に立つために早めに動いた。しかしその直後、内側のポジションを確保したグッドマジックに並びかけられた。両馬はそのままの状態でコーナーを回り、向こう正面に進んでいった。観客は濃霧に包まれた極めて困難なコンディションの中で接戦を繰り広げる2頭を凝視しようとしていた。

 スミス騎手は最後の直線に差し掛かったところで、ジャスティファイに鞭を入れてその競り合いから抜け出すように合図した。すると、ジャスティファイはそれにやすやすと答えた。グッドマジックは再び迫ろうとがむしゃらに前進したが、後ろから追撃してきたブラヴァーゾと伏兵テンフォルド(Tenfold)にとらえられ、4着となった。

 三冠達成への興奮は最高潮に達すると見られているが、バファート調教師は二冠馬の立場がどれだけ危ういものかを心得ている。同調教師は2015年にアメリカンファラオ(American Pharoah)で三冠を達成する前に、3頭の二冠馬をベルモントSに送り込んだが全て取りこぼしてきた(訳注:1997年シルバーチャーム、1998年リアルクワイエット、2002年ウォーエンブレム)。

 ジャスティファイが勝利を収めた後、殿堂入りトレーナーはこう語った。「ハラハラさせられました。グッドマジックにはまったく苦労させられました。マッチレースを挑まれたようなものです。ジャスティファイはすべてのプレッシャーを乗り越える偉大な馬です。グッドマジックをかわすために苦心しましたが、才能に溢れています。プリークネスSでこれほど速く走る馬を手掛けたのは初めてです」。

 ジャスティファイの今回の勝利により、バファート調教師がケンタッキーダービー馬をこのレースに送ったときの勝率は100%のまま維持された。同調教師はこの二冠を1997年、1998年、2002年、2015年に達成している。

 1993年にプリークネスSを初めて制したスミス騎手はこう語った。「信じられません。夢が叶いました。このレースの初勝利を挙げてから25年になります。とても幸せです」。

 ケンタッキーダービーで蹄腫を傷めたジャスティファイがその2週間後のプリークネスSに挑むことにはやや疑念があったが、このスキャットダディ産駒は間もなくして調教に戻り、関係者を喜ばせた。

 ジャスティファイには、プリークネスSでの奮闘による疲れをとってニューヨークのベルモントS(G1 6月9日)に挑むまでに3週間の猶予がある。その舞台で、同馬は二冠馬から"競馬の伝説"に出世するかもしれない。


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米国三冠競走とは

  • 米国三冠競走は以下の3競走で構成される。
    ケンタッキーダービー(チャーチルダウンズ競馬場・ケンタッキー州)
    プリークネスS(ピムリコ競馬場・メリーランド州)
    ベルモントS(ベルモント競馬場・ニューヨーク州)
  • 英国三冠競走のようにレースごとに競走距離が長くなるわけではない。ケンタッキーダービーは1マイル2ハロン(約2000m)、その次のプリークネスSは少し短い1マイル1 1/2ハロン(約1900m)、最後のベルモントSは一番長い1マイル4ハロン(約2400m)となる。
  • 米国三冠馬は史上12頭。最も近年では、2015年にバファート調教師が手掛けたアメリカンファラオがこの快挙を達成した。その前の米国三冠馬は1978年のアファームドである。なお直近の英国三冠馬(英2000ギニー・英ダービー・英セントレジャー)は、1970年に伝説的トレーナー、ヴィンセント・オブライエン調教師が手掛けたニジンスキーである。

By Katherine Fidler

[Racing Post 2018年5月19日「Kentucky Derby hero Justify one race away from Triple Crown glory」]


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