TOPページ > 海外競馬ニュース > 競馬界に新しいスポンサーを引き付けるブランド対抗戦の設立計画(イギリス)[その他]
海外競馬ニュース
2018年03月15日  - No.10 - 3

競馬界に新しいスポンサーを引き付けるブランド対抗戦の設立計画(イギリス)[その他]


 世界中の優良スポンサーを引き付けることを目指して、独特なコンセプトをもつ新シリーズが2019年、英国で開始されるかもしれない。

 "チャンピオンシップ・ホースレーシング(Championship Horse Racing)"は、F1と同じようなポイント制を用いたチーム対抗戦を軸とする。夏に8週間にわたり実施されるこのシリーズでは、12の世界的ブランドが競い合う。

 本紙にだけ明らかにされたこの計画は、まだ初期段階にあるが、2019年の設立を目指して調整されている。形式は以下のとおりである。

チャンピオンシップ・ホースレーシングの形式

・ F1のレッドブル(Red Bull)や自転車ロードレースのチームスカイ(Team Sky)と同じようにブランドを掲げた12チームが競い合う。

・ 各チームは馬30頭(1人あるいは複数の調教師が管理)と騎手4名で構成。

・ 各チームは7月~9月の全8開催日(毎週木曜夕方に施行)で競い合う。各開催日はハンデ戦6レースで構成される。

・ 各チームはそれぞれ48レースに1頭ずつ出走させる。全レース12頭立てで施行。

・ F1と同じような方式で、10着までにポイントを付与。優勝馬は25ポイント、10着馬は1ポイント。

・ 英国競馬界への投資は1,000万ポンド(約15億円)以上。

 この8週間にわたるシリーズは、さまざまな主要競馬場で毎週木曜日夕方に施行され、テレビで2時間半にわたって放映される。

 このコンセプトの立役者は、スウィンドンタウンFC(Swindon Town Football Club)の前会長ジェレミー・レイ(Jeremy Wray)氏である。同氏は、クリケットやダーツのトゥエンティ20方式(Twenty20)など他のスポーツで最近見られたように、このシリーズが競馬の"観客数・賞金額・参加率を急上昇させること"を期待している。なお、同氏の兄弟エドワード・レイ(Edward Wray)氏はベットフェア社の共同創設者である。

 ジェレミー・レイ氏はこう語った。「競馬界の匿名性にはいつもイライラさせられてきました。そのような状態から脱して、チームをベースにした特別な対抗戦を設立することで、各ブランドが競い合うエキサイティングな光景が見られるでしょう」。

 「どこの国のブランドが参加するのか知りたいと言うつもりはありません。しかし、英国進出を考える国々にとっては良い機会ですので、私たちが聞いたことのないようなブランドがいくつかあると思います」。

 競馬界は強い影響力を持つブランドを引き付けるのに苦労してきた。しかしレイ氏は、このシリーズは"チームを持つ"というコンセプトにより、伝統的なレースのスポンサーシップとは全く別物になると確信している。

 レイ氏はこう続けた。「各ブランドは競馬チームを丸ごと持つことになります。このシリーズには物語性があり、観戦者をブランドのファンにすることも期待できます」。

 有名ブランドが各々のチームを組織するが、このシリーズは競馬界のエリートだけを対象としたものではない。各開催の6レースは重賞や準重賞ではなくハンデ戦なので、各ブランドはあらゆる階級の馬主・調教師・馬を指名できるはずである。

 レイ氏は、このシリーズが新しいファンを引き付けると同時に、既存ファンの心を動かすことを期待している。また、チームおよびブランドの要素が物語性を作り出すのに重要である一方で、このシリーズに関わるホースマンに注目させるという点でも大きな役割を果たすだろう。

 このシリーズに参加する予定の馬はシーズン中どのレースにも出走できるが、シリーズで出走するときには馬主ではなくチームの服色で出走する。また、各チームの4人の専属騎手はシリーズ開催中はそのチームの馬にしか騎乗できない。

 シリーズの8開催日に施行される全48レースには、それぞれ総賞金10万ポンド(約1,500万円)以上が提供される。各レースにおいて10着までが対象となるポイント制により各チームに提供される賞金を考えれば、提供額はレースの賞金よりもずっと大きなものとなる。このコンセプトの中心は優良ブランドによる競馬界への新たな投資であるが、馬主・調教師・厩舎・騎手はその恩恵を受けることになる。このポイント制により最終的に、優勝チームと最優秀騎手が決定される。

 レイ氏によれば、競馬界の関係者との最初の話合いは概ね良好だった。英国ジョッキークラブと競馬場メディアグループ(Racecourse Media Group)は、このシリーズにおける馬主制度やパートナーシップ契約に原則的に合意している。また、この構想を発展させるためにチャンピオンシップ・ホースレーシングのCEOやそのスタッフ(元調教師のチャーリー・ブルックス氏を含む)と協力して取り組んでいる。さらに、ITVが原則的にシリーズ全体を放映することも合意されている。

 レイ氏は、BHA(英国競馬統轄機構)もこのシリーズを支持しており、全国調教師連盟(National Trainers' Federation)や騎手協会(Professional Jockeys Association)とも最初の段階で積極的な議論ができたと述べた。また、ニューマーケットで最も成功し尊敬されている調教師の2人も、この計画の構想を支持していると伝えられている。

 同氏はこう付言した。「まだ契約としては何も締結されていませんが、競馬界は信じられないほどこのシリーズを支持しています。誰もがこの計画の実現に向けて手伝ってくれようとしていることに、本当に励まされています」。

 「まだほんの初期段階ですが、コンセプトを提示し、人々に理解してもらい、各方面にとって有利なものとなるか検討するのは重要なことです。なぜなら、競馬界に新しい財源がもたらされるチャンスだからです。エキサイティングなものとなりそうですが、これからハードワークが始まります」。

By Lewis Porteous

(1ポンド=約150円)

[Racing Post 2018年2月12日「Plans unveiled for radical new team competition」]


上に戻る