TOPページ > 海外競馬ニュース > 女性騎手へのアローワンス導入後9ヵ月の統計(フランス)[開催・運営]
海外競馬ニュース
2017年12月28日  - No.51 - 1

女性騎手へのアローワンス導入後9ヵ月の統計(フランス)[開催・運営]


 2017年3月1日にフランスで導入された女性騎手への2キロの減量特典には絶大な効果があり、多くの反響があった。1つの改革がこれほどまでに世間の口の端に上り、大いに書き立てられることはめったにない。導入から9ヵ月、振り返るにはまだ早いかもしれないが、今こそこのアローワンス(減量制度)の効果を評価するときである。たしかに女性騎手はより多く騎乗し、より多く勝つようになったが、"革命"からはほど遠い。

 フランスギャロ(France Galop)において、統計はつぶさに分析された。女性騎手の騎乗数は110%増加、勝利数は185%増加、3着内数は134%増加。プレミアム競走(訳注:インターネット賭事統制機構(ARJEL)が認可したフランスの賭事業者が賭事を提供するレース)に限れば、その増加幅はより大きなものとなる。騎乗数は161%増加、勝利数367%増加、3着内数は210%増加。フランスギャロにとって、この結果は当然成功だと言える。厩舎や騎手学校で存在感を高めている女性たちをレースに参加させ、競馬で生計を立てられるようにするために、フランスギャロはこのアローワンスを採用していた。

 フランスギャロのジャン-ピエール・コロンビュ(Jean-Pierre Colombu)副会長は、「私たちにとってこれはまさに成功であり、大変喜んでいます。ただ数字は重要ですが、以前とは全く違うので比較のしようがありません」と語った。

 これらの数字だけ見れば激変したと考えるだろうが、次の数字を見ればその見解は薄れるだろう。たとえば、リーディングランキングで上位35名の女性騎手は合計3,700回騎乗したが(10月31日まで)、この数字はリーディングランキングで上位3名の男性騎手(スミヨン騎手・ブドー騎手・ギュイヨン騎手)の合計にすぎない。そのほか興味深いのは、女性騎手は10月末までに319勝を挙げているが、これは男性騎手の合計勝利数の10%にしか及ばないことである。とりわけ注目したいのは、女性騎手が男性騎手の収入を"横取り"していないことである。彼女たちの獲得賞金は賞金全体の5.5%にすぎず、増加幅は小さいものにとどまっている。コロンビュ副会長はこう述べた。「賞金の94%以上を男性騎手が獲得しているということです。彼女たちには競馬で生計を立てる権利があります。それに、女性騎手は一層多く騎乗できるようになれば、さらに腕を上げるでしょう。それは誰にとっても良いことです」。

 "この改革は見習騎手にとって不利である"という先入観を払拭するために、コロンビュ副会長はこう指摘した。「今年、見習騎手の騎乗数は3%増加し、勝利数は16%増加しました。したがって、女性騎手へのアローワンスは見習騎手の利益に反していません」。

 フランスギャロはこのアローワンスを廃止するつもりはないが、ホースマンの声に耳を傾けている。コロンビュ副会長はこう付言した。「私たちは多くのホースマン(男性騎手、女性騎手、調教師、平地・障害諮問委員会、全関連団体)と協議を重ねました。そこで出された意見について、来週の取締役会で話し合うでしょう。熟考してみる価値のある意見もいくつかありました。それは、(1) 見習騎手の減量特典を100勝までとする(現在は平地69勝、障害39勝まで)、(2) 騎手の最低年齢の引上げ(現在は16歳)、(3) 女性騎手限定レースを減らすこと、などです。調整はあるかもしれませんが、それまでに十分な時間があります。わずかの間に方針転換をすることはありません」。


news_2017_51_01.jpg

By François Moreau

[Paris Turf 2017年12月13日「Évolution sans révolution」]


上に戻る