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2017年11月09日  - No.44 - 1

2017年BCクラシック、ガンランナーが優勝(アメリカ)[その他]


 ガンランナー(Gun Runner 牡4歳 父キャンディライド)には、あらゆる不安要素が揃っているようだった。まず、1¼マイル(約2000m)のレースで優勝したことがなかった。それに道中ぶっ通しで速いペースで走り、ずっとコレクテッド(Collected)に迫られていた。さらに、内埒沿いを走る馬は不利だと思われていたが、この偏見とも戦わなければならなかった。

 総賞金600万ドル(約6億9,000万円)のBCクラシック(G1)において、ガンランナーはあらゆる挑戦を受けたが、すべての馬を退けた。最後の1ハロン(約200m)では、さまざまな強豪馬をねじ伏せた。デルマー競馬場の楕円形のコースで先頭に立っていたガンランナーを勇敢に追走したコレクテッドは、2着を確保したが、優勝馬には2¼馬身もの差をつけられた。ウエストコースト(West Coast)はその1¼馬身後ろの3着、ウォーストーリー(War Story)はさらにその½馬身後ろの4着となった。

 スティーヴ・アスムッセン(Steve Asmussen)調教師はこう語った。「私たちはガンランナーに思いのまま走らせました。どのような位置取りをするかについて心配するのを止めてから、彼は数々の勝利を達成してきました。彼はまわりで起こっていることに適応します。ただガンランナーが今年優勝してきたレースを考えれば、逃げて勝負するのは少し難しいと思っていました」。

 「彼はこれまでよりも進化していたように思います。このレースを良い状態で走らせることは、1年を通じての目標でした」。

 5番ゲートから鮮やかに発走した後、ガンランナーは10ハロン(約2000m)のレースというよりも短距離戦を思わせるハロンタイムを出していた。6ハロン(約1200m)までは前日のBCダートマイル(G1)でシャープアズテカ(Sharp Azteca)が出したタイムよりも速かった。ガンランナーは最初の¼マイル(約400m)を22秒50、½マイル(約800m)を46秒31、6ハロン(約1200m)を1分10秒50で走った。しかし、フローラン・ジェルー(Florent Geroux)騎手は手綱を緩めていた。

 ジェルー騎手はペースについてこう語った。「このように一心不乱に走るのはガンランナーらしくなく、勝つチャンスがなくなるのではないかと考えていました。コレクテッドも素晴らしい馬で、この競馬場に適性があるのは確かでした。しかし、今日はガンランナーが最高の馬となりました」。

 パシフィッククラシックS(G1)優勝馬のコレクテッドはレース前半から最終コーナーまでガンランナーに迫り続けた。残り¼マイル(約400m)の地点で、2頭は頭を並べていた。ガンランナーは直線の入り口でコレクテッドを引き離し始めた。残り1ハロン(約200m)の地点で1馬身引き離し、さらにその差を広げてゴールした。勝ち時計は2分1秒29。

 コレクテッドに騎乗したマーティン・ガルシア(Martin Garcia)騎手はこう語った。「コレクテッドは素晴らしい走りを見せました。もちろん確信はできませんが、位置が入れ替わって私たちが内側を走りガンランナーが外を走っていたとしたら、ゴールの順番は違っていたかもしれません。内埒沿いを走りたかったのですが、そうできませんでした。しかしコレクテッドのことを誇りに思っています。持っている力を全て出してくれました」。

 単勝3倍で1番人気のアロゲート(Arrogate)は、現役最後となるこのレースでガンナヴェラ(Gunnevera)と同着の5着となった。最内1番ゲートからよろめいてスタートし、先行馬群に食らいついて行くことはなかった。同馬にとってレース序盤をずっと8番手で走ることは初めてのことだった。マイク・スミス騎手はアロゲートに前進し続けるよう合図を送ったが、一時は10番手にまで後退していた。G1・4勝のアロゲートは、最終コーナーで5頭の外側を回り、勢いをなくし始めていた馬を抜かしたが、最終直線では驚異的な末脚を発揮することはなかった。

 コレクテッド、ウエストコースト、アロゲート、ムブタヒージ(Mubtaahij 8着)を手掛けるボブ・バファート(Bob Baffert)調教師はこう語った。「どの馬もよく走りました。アロゲートについてはよく分かりません。自分のレースができなかったようです。不調のピッチャーと同じようなものです。言い訳はしたくありませんが、以前のアロゲートではなくなっていました」。

 スミス騎手は、アロゲートのパワーがなぜ炸裂しなかったのかは、同馬がデルマー競馬場を苦手としていることで説明できると述べた。アロゲートは夏のデルマー競馬場において、サンディエゴH(G2)では優勝馬からかなり後ろの4着となり、パシフィッククラシック(G1)ではコレクテッドの2着となっていた。

 スミス騎手はこう語った。「アロゲートはこの競馬場が苦手なのです。どのような理由であれ、こう言うのは好ましくありませんが、彼は何度もそのような様子を見せていて今日もそうでした。ここで走るときはいつもスタートが良くありません。アロゲートが自分のレースをするときは、これまで見たこともないような最速馬の1頭となります。ただこの競馬場では無理でしょう」。

 チャーチル(Churchill)は7着となり、それにムブタヒージ、ウォーディクリー(War Decree)、パベル(Pavel)、ウインザスペース(Win the Space)が続いた。

 ドバイワールドカップ(G1)でアロゲートに敗れたガンランナーは、ドバイから帰国してからスティーヴンフォスターH(G1)、ホイットニーS(G1)、ウッドワードS(G1)、そしてBCクラシックとG1・4連勝を達成した。一方、アロゲートは帰国後3戦して勝利がなかった。ガンランナーは、ベシルステーブル(Besilu Stables ケンタッキー州)で生産され、母はクワイエットジャイアント(Quiet Giant 父ジャイアンツコーズウェイ)である。現在の成績は18戦11勝、2着3回、3着2回である。獲得賞金額は898万8,500ドル(約10億3,368万円)。

 同馬の共同馬主であるウィンチェルサラブレッズ(Winchell Thoroughbreds)のロン・ウィンチェル(Ron Winchell)氏はこう語った。「ガンランナーは、勝つことを確信させてくれるような素晴らしいリズムで走っていました。2着馬に10馬身以上の差をつけて優勝したウッドワードSの直後に馬房を訪れたところ、彼はまるで走ってなかったかのように元気いっぱいでした。だから、私はこの馬をとても信頼していて、アスムッセン調教師は彼をBCクラシックに出走させました。今日の勝利は私たちにとって格別の瞬間でした」。


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By Jeremy Balan

(1ドル=約115円)

[Racing Post 2017年11月4日「Gun Runner Untouchable in Breeders' Cup Classic」]


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