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海外競馬ニュース
2017年01月26日  - No.4 - 3

競馬界にとってケンプトン競馬場閉場は長期的には有益という見解(イギリス)[開催・運営]


 ケンプトン競馬場のニック・マストー(Nick Mustoe)会長は1月13日、「ケンプトン競馬場の閉鎖を目の当たりにすることは悲しいが、住宅開発計画から得られる利益はとても大きいので無視できない」と語った。

 マストー会長は障害競走馬の馬主でもある。同会長は以前、競馬で使われていない土地だけに住宅を建設して、競馬運営を続行することを望んでいた。しかし今では、住宅開発のためには230エーカー(92 ha)ある敷地全体を対象に提案した方が、この計画は承認を得やすいことを認めている。

 「キングジョージ6世チェイス(G1)の開催場であるケンプトン競馬場は、300棟の住宅建設計画のために取り壊される。この計画により調達される1億ポンド(約140億円)以上の資金は、総工費5億ポンド(約700億円)とされるニューマーケット競馬場のオールウェザーコース敷設とサンダウン競馬場の大規模改修に充てられる」というジョッキークラブからの発表は、競馬界の意見を二分している。

 1月13日にこの議論に加わったゲイリー・ムーア(Gary Moore)調教師は、この決定を"全くの恥知らず"と評した。

 ベットウェイ社(Betway)のブログにおいて、ムーア調教師はこう語った。「確かに、我々の厩舎は英国の全競馬場の中でケンプトン競馬場に一番多くの管理馬を出走させています。しかし、それだけが理由ではありません。平地と障害の両方にとって優れていて公平な競馬場です。この競馬場が失われるのであれば、大きな打撃となるでしょう」。

 しかし、マストー会長はこう語った。「私自身、障害競走の大ファンです。障害馬を所有して、エンマ・ラベル(Emma Lavelle)厩舎に預けています。そのこともあり、この競馬場が閉場することになればとても寂しいです。また10年間会長を務めてきた者としては、とても悲しく思います」。

 「けれども、私はこの件を大局的に見ることができます。ジョッキークラブがこの資金で素晴らしい計画を実行すると考えています」。

 「競馬界では現在、財源と賞金額に多くの問題があります。また、極めて少ない利益しか得られないために馬主は減っています。資金が競馬界の利益のために使われるのであれば、おそらく素晴らしい計画が進むでしょう。私たちが1つの競馬場を諦めれば、他の多くのことに資金が拠出されます」。

 「これはジョッキークラブが軽々しく決定したことではないと思います。私はそのメンバーであり、ジョッキークラブ内部での議論の質と意識の高さを知っています」。

 「彼らはこのような件について傲慢になるような人々ではありません。多大な貢献ができるのであれば、1つの競馬場を失う悲劇をそれによって埋め合わせなければなりません」。

 同氏はこう付言した。「これは良い議論で、まさにジョッキークラブでこのような議論がなされていました。彼らはその案が実行可能であれば、ケンプトン競馬場を閉場して資金を得ることで最善の結果がもたらされるとの判断に至りました」。

By Jon Lees

(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2017年1月14日「Chairman: shutting Kempton best for jumping in long term」]


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