ビアンコーヌ調教師、過去にコブラ毒所持もケンタッキー州で調教再開(アメリカ)[その他]
ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission:KHRC)は8月15日の月例ミーティングにおいて、パトリック・ビアンコーヌ(Patrick Biancone)調教師に条件付きの調教師免許を付与することを16対1で承認した。これにより、同調教師は同州で調教を再開することができる。
2007年、キーンランド競馬場のビアンコーヌ調教師の厩舎でコブラ毒が見つかった。同調教師には、これに関係した複数の罪状を含め2年間の業務停止処分が下された。それ以来、ケンタッキー州の調教師免許は付与されなかった。
その当時KHRCのメンバーだったフォスター・ノースロップ(Foster Northrop)博士はこう語った。「どれぐらい謹慎して違反を犯さなかったかが重要な点です。それが十分となれば、過ちを犯した人にセカンドチャンスを与える時です。ちょうど良いタイミングです。KHRCのメンバーを50~60年間務めてきましたが、この件ほどいろいろな意見をもらったことはありません。多くの非難も浴びました。しかし、ビアンコーヌ調教師は長い間謹慎しましたし、懲罰制度とはそういったものではないでしょうか?」
KHRCのメンバーであるケリー・コーセン(Kerry Cauthen)氏はこう語った。「罪を犯した人を永遠に罰し続けなければならないとは考えていません。これは支持を得られる決定ではないでしょう。しかし、この決定に満足していない人々は、無理もないことですが、法的見地ではなく感情的見地からこの件を捉えています」。
KHRCの調査員は2007年、ビアンコーヌ調教師の管理馬からカフェインの陽性反応が出たことを受けて、その厩舎を調べた。KHRCはそこで、ビアンコーヌ調教師の獣医師ロドニー・スチュワート(Rodney Stewart)氏の名前が付された容器にコブラ毒が入っているのを見つけた。容器には獣医師の名前が付されていたが、ビアンコーヌ調教師の厩舎で起こったことなので、KHRCは同調教師が処分の対象となるとの判断を下した。
以来、ビアンコーヌ調教師は複数の州で調教師免許を取得し、全く違反を犯さず、現在はフロリダ州南部のパームメドウズ調教センター(Palm Meadows Training Center)で調教活動を行っている。
KHRCの免許審査委員会は、7月の総会でビアンコーヌ調教師への免許に次の条件を追加していた。「どの競馬管轄区においてもクラスAあるいはBの薬物、もしくはクラスAあるいはBに該当する可能性のある未分類薬物が管理馬から検出された場合、ビアンコーヌ氏のケンタッキー州の調教師免許は即刻かつ永久的に取り消される」。
補足説明によれば、この条件は適正な手続きを経た後に適用される。
また、次の2つ目の条件も加えられた。「ビアンコーヌ調教師が今後他の競馬管轄区で調教師免許を申請する際に、申請書を改ざんしていることが判明すれば、同調教師のケンタッキー州の調教師免許は取り消される」。
KHRCのマーク・ギルフォイル(Marc Guilfoil)専務理事は、2つ目の条件についてこう説明した。「ビアンコーヌ調教師は2010年にケンタッキー州の調教師免許の再取得を申請しました。しかし、KHRC免許審査委員会のバー・トラヴィス(Burr Travis)議長が、その申請書にそれまでの違反の全てが掲載されていなかったことに懸念を募らせたため、申請が取り下げられたという経緯があります」。
同調教師の新たな調教師免許に関して、KHRCのメンバーであるケネス・ジャクソン(Kenneth Jackson)氏は、「過去に違反を犯したり業務停止処分を受けた者は、高いレベルでの監視対象になります」と付言した。
[訳注:ビアンコーヌ調教師は、ダリル・ホランド騎手とコンビを組むことになる。ホランド騎手はこの5年間、韓国、モーリシャス、日本などで騎乗していた。]
By Evan Hammonds
(関連記事)海外競馬ニュース 2007年No.40「ビアンコーヌ調教師に2年間の業務停止処分(アメリカ)」
[bloodhorse.com 2017年8月15日「Biancone Granted Conditional License in Kentucky」]