キラニー競馬場のパドックでドローンが出走馬に衝突(アイルランド)[その他]
7月18日夜、キラニー競馬場のパドックにおいて、障害ハンデ戦に出走前のキース・ワトソン(Keith Watson)厩舎のセントキレナー(St Killenagh)にドローンが衝突した。同競馬場のマイケル・ルーシー(Michael Lucey)場長は、この事件を"無謀"であると表現した。
この件は統轄機関ターフクラブ(Turf Club)に調査のため送られたが、ワトソン調教師の目には、ターフクラブの裁決委員はこの事件について深刻に受け止めていなかったように見えた。ルーシー場長もターフクラブのCEOデニス・イーガン(Dennis Egan)氏も、結局のところこのような事件を規制する両者の職権は限られていると主張している。
アイルランド航空当局(IAA)の小型無人飛行機(ドローン)・ロケットに関する規則は、法律にも記されている。12人以上が集まる場所から120メートル以内でドローンを飛ばすことは違法である。
ルーシー場長はこの事件について、「これは競馬産業が認識していなければならないことでしょう。ドローンは小型なので簡単に隠して競馬場に持ち込むことが出来ます。これを確実に阻止するためにどのような規制手順を導入すればよいかは分かりませんが、ドローンを場内で操縦することは禁止されており、もし持ち込んだ場合は告訴されるという旨の告知や標識は確実に必要でしょう」と述べた。
ドローンを操縦していたのは、パドック付近に居たアメリカ人であると理解されている。
ドローンはパドックの上を飛行し間もなくしてセントキレナーの上に降り立ち、大騒ぎとなった。その後、ターフクラブ上級裁決委員であるマイケル・オドノヒュー(Michael O'Donoghue)氏とピーター・マシュー(Peter Matthew)氏の2名が操縦していた男に接触した。
ルーシー場長は次のように述べている。「操縦していたのはアメリカ人観光客でしたが、自分の起こした事件の重大さを理解しているかどうかは疑問です。ただはっきりと言えるのは、これが無謀な事件であるということです。私はこの個人と接触していませんが、ターフクラブは話をしています。残念なことに彼から詳細なことを得ていないので、私たちはこの件についてさらに調査する情報を有していません。もし事件の詳細情報を得ていれば、法律がこの件にどう適用されるのかを見るのは興味深かったでしょうし、この事件は今後の良い実例になりえました。厄介なのは、ドローンは競馬場から離れた場所からでも操作できるため、再発を防ぐ確実な方法は無いということです」。
ワトソン調教師は、「ドローンは私の背後を飛行していたため全く気付きませんでしたが、セントキレナーを興奮させて、その背中にぶつかりました」と述べ、「弁護士にIAA宛に告訴状を書くよう依頼しました」と示唆した。
そして、「馬体に異常はありませんでしたが、セントキレナーはスタート地点に行く前に体力を消耗してしまいました。私は裁決委員に詰め寄りました。意見を述べずにはいられませんでした。これはとても危険で、信じがたい事件です」と語った。
ワトソン調教師は、ルーシー場長は事件後とても誠実に対応しており、競馬場から見舞金を受け取ったと述べた。
その一方で、ターフクラブの警備責任者であるクリス・ゴードン(Chris Gordon)氏やアイルランド警察がドローン操縦者に注意を向けなかったことには困惑している。
ワトソン調教師は「裁決委員に対してはとても頭に来ています。彼らはドローン操縦者と接触したのに、解放してしまいました。ドローンを含め、この件すべてについて、大変な憤りを感じています」と話した。
イーガン氏はターフクラブの事件への対応を弁護し、このような事件を規制するのは簡単ではないというルーシー場長の見解を繰り返した。「ドローンを場内に持ち込むべきではありませんが、操縦者は自分が何をしでかしたか理解していませんでした。私たちが話しかけると、彼はすぐに事実を認め謝罪しました」。
そして次のように付言した。「これは重大な事件に発展する可能性もありましたが、2,000人もの人々が観戦している中で、ターフクラブが全員の行動に対して責任を持つことは不可能です。ドローンはバーやスタンドにいる観客にも同じように衝突した可能性だってあったでしょう。競馬開催において一般の人々を取り締まることがターフクラブの責任かどうかについては分かりませんが、もちろん危険を及ぼしかねないことを見つけた場合には我々は決して背を向けることはありません」。
By Richard Forristal
[Racing Post 2017年7月21日「Horse hit by drone in 'reckless' parade ring incident at Killarney」]