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2017年01月12日  - No.2 - 3

ロイヤルアスコット開催で優勝した元競走馬、パラ馬場馬術で活躍(イギリス)[その他]


 2011年クイーンズヴァーズ(G3・ロイヤルアスコット開催)で1番人気に応えて優勝したナミビアン(Namibian)を覚えているだろうか? マーク・ジョンストン(Mark Johnston)調教師に管理された同馬は、ゴードンS(G3)も続けて制したが、グレートヴォルティジャーS(G2)で5着となった後に深刻な疝痛に見舞われ、障害競走に転向した。

 ナミビアンは障害競走に向いていなかったのかもしれない。ジョン・ファーガソン(John Ferguson)調教師に管理され2戦したが、1回しか完走できなかった。しかし、馬場馬術とパラ馬場馬術においては間違いなく適性がある。8歳のナミビアンは新たな道を歩み始めて1年も経たずして、3月に開催される2017年パラ馬場馬術ウィンターチャンピオンシップ(Para Dressage Winter Championships)の出場資格を獲得した。

 現在、リンカーンシャーを拠点とするパラ馬場馬術競技者ジュリー・フリッゼル(Julie Frizzell)氏がナミビアンに騎乗する。フリッゼル氏は20年間英国空軍(RAF)に勤務していたが、2008年に軍事訓練中の落馬事故により尺骨摘出を余儀なくされ軍を引退した。フリッゼル氏は現在、腕を固定するために樹脂系ギブスを装着して騎乗している。

 フリッゼル氏は2015年、ゴドルフィンの再調教プログラムを通じてナミビアンを手に入れた。「元競走馬が馬場馬術競技馬になることは難しいことですが、パラ馬場馬術競技馬になることはもっと難しいことです」。

 「例えるとすれば、ワルツを踊るためにクルーズ客船"クイーン・エリザベス2"を手に入れるようなものです。しかし、ナミビアンの能力と学習能力は大したものです。これまで騎乗した中で最も賢い馬です」。

 「ナミビアンは"せっかちな学習者"と言えます。とっさに何かを理解できなかった場合以外は、間違った方向に進むことはありません。何をするにしてもナミビアンはトップに立ちたいと思っているようです。オペラ歌手のように堂々としており、注意の行き届いたパフォーマンスをします。それに、調教を受けているときは本当に満足しているようです。ナミビアンは喜んでいるに違いありません」。

 ナミビアンがパラ馬場馬術競技会に出場し始めたのは2016年3月だが、その才能を発揮して、これまでのテスト競技で上位4位内を逃したことがない。

 フリッゼル氏はこう語った。「ウィンターチャンピオンシップに向けての準備に関しては、出場資格を獲得することが非常に難しいので、ナミビアンに出来るだけ早くその資格を獲らせることが目標でした。しかし、11月までにたった3つの競技会に出場しただけでそれを成し遂げたのですから、はっきり言って嬉しい驚きです」。

 「ナミビアンを上級レベルに育成することは野心的な試みですが、彼がそれを達成するのにふさわしい頭脳と身体能力をもち合わせていることは間違いありません」。

By Stuart Riley

[Racing Post 2016年12月20日「Royal Ascot hero Nambian qualifies for world champs」]


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