悲劇のチャンピオンズマイル、コンテントメントが優勝(香港)[その他]
5月7日、シャティン競馬場ではG1・2レースが施行されたが、地元で最も輝かしいスター馬ラッパードラゴン(Rapper Dragon)が予後不良となったことで、暗澹たる雰囲気に包まれた。
チャンピオンズマイル(G1)のゴールの700m手前で、ジョアン・モレイラ(Joao Moreira)騎手はラッパードラゴン(せん馬4歳)の手綱を引いた。
香港ジョッキークラブの獣医診療サービスの首席獣医師であるクリストファー・リッグス(Christopher Riggs)博士はこう語った。「ラッパードラゴンは重度の骨盤骨折を発症した上に、深刻な合併症を起こしました。馬診療所で集中治療を行いましたが、救うことはできませんでした」。
ラッパードラゴン(父ストリートボス)は今シーズン、香港の4歳三冠シリーズのクライマックスにあたる香港ダービー(3月19日)を制して史上初の香港三冠馬に輝いた。香港のスター古馬が引退していく中、同馬は香港の競走馬ピラミッドのトップに君臨すると期待されていた。
暗い雰囲気となったチャンピオンズマイルにおいて、コンテントメント(Contentment 6歳 父ヒューソネット)はレース序盤で先頭に立った。道中ライバル2頭にリードを許したが、その後巻き返してトップでゴールすることができた。ビューティーオンリー(Beauty Only)は首差の2着、ヘレンパラゴン(Helene Paragon)は3着となった。ジョン・サイズ(John Size)調教師が管理するコンテントメントにとって、これは15ヵ月ぶりの勝利である。昨年の同レースではモーリスの2着となっていた。
鞍上のブレット・プレブル(Brett Prebble)騎手はこう語った。「コンテントメントは先頭に立ち、しばらく待ちながら、様子をうかがっていました。そしてビューティーオンリーに並びかけられたときに、さらに力を発揮しました。気まぐれな馬ですが、素直なときには、間違いなくこのような素晴らしいパフォーマンスを見せます。私はジョンを100%信頼しており、天才だと思っています」。
サイズ調教師は、コンテントメントは昨年12着に惨敗した安田記念にもう1度挑戦することになるだろうと語った。
海外からの遠征馬ストーミーアンタークティック(Stormy Antarctic)とコンヴェイ(Convey)はそれぞれ5着と6着となった。
一方、チェアマンズスプリントプライズ(G1)では、ラッキーバブルズ(Lucky Bubbles)が先行馬ペニアフォビア(Peniaphobia)の後ろにつけ、スタートから150mで安定したペースをつかみ、そのまま突進した。そして、最後に迫ってきたミスタースタニング(Mr Stunning)を首差で下して優勝した。ノットリスニントゥミー(Not Listenin'tome)は僅差の3着だった。ラッキーバブルズ(せん馬5歳)はヒューソネット(Hussonet)の牝馬バブルズビロウ(Bubbles Below)を母とし、これがG1初優勝である。昨年も同レースに出走したが、最後にシャトークア(Chautauqua)に差されて勝利を奪われた。
その後同馬は3回連続2着となったが、その中には昨年12月の香港スプリントにおけるエアロヴェロシティ(Aerovelocity)の短頭差の2着がある。皮肉にも、エアロヴェロシティは前肢跛行のため、今回のチェアマンズスプリントプライズへの出走を取り消していた。
優勝したフランシス・ルイ(Francis Lui)調教師はこう語った。「大変な1年でした。ラッキーバブルズは力を尽くしてきましたが、少しばかり運がありませんでした。最近の2戦は不利があったので、本来なら1勝か2勝しているはずでした」。
By Bob Kieckhefer
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[bloodhorse.com 2017年5月7日「Hong Kong Races Marred by Tragedy」]