シドニーカップが安全上の理由のために競走不成立(オーストラリア)[開催・運営]
4月8日のシドニーカップ(G1 3200m ランドウィック競馬場)は、落馬騎手2名と故障馬1頭が危険に晒されていたことを受け、競走不成立となった。ランドウィック競馬場の観衆は、シドニーカップの前に施行されたクイーンエリザベスS(G1)で、ウィンクス(Winx)が競馬界の不朽の名声に向かって走るのを目にして歓喜したが、その喜びは一転懸念に変わった。
施行者のレーシングNSW(Racing New South Wales)の裁決委員は、アルムーンキス(Almoonqith)とフーショットザバーマン(Who Shot Thebarman)がホームストレッチに続くコーナーで衝突したことを受けて、総賞金200万豪ドル(約1億7,000万円)の長距離レースを不成立とすることを決定した。
ジェームス・ドイル(James Doyle)騎手が騎乗していたアルムーンキスは自ら減速したが、フーショットザバーマンはブレイク・シン(Blake Shinn)騎手が落馬した後、馬群を追い続けた。
両騎手は重傷を免れたが、アルムーンキスには馬場上で安楽死措置が取られた。
14頭立てのこのレースが不成立となったことに気が付いていた騎手もいたが、コーリー・ブラウン(Corey Brown)騎手はそれを知らずに、ゴドルフィン所有のポラリゼーション(Polarisationチャーリー・アップルバイ厩舎)でこのレースを制したと思い込んでいた。
ブラウン騎手は、シン騎手とドイル騎手およびアルムーンキスにそれ以上の危険が及ばないと考えていたので、裁決委員の決定に異議を唱えた。
ブラウン騎手は、誘導馬の騎乗者が叫んでいたことには気付いていたが、それは騎手たちに空馬のフーショットザバーマンがいることを知らせるためのものだと思い、アルムーンキスの故障とは気付かなかった。
同騎手はこう語った。「レース実況のダレン・フリンデル(Darren Flindell)氏がゴール板を過ぎたところで1頭が故障していると言っているのが聞こえたので、何かが起こっていることは分かりました」。
「しかし、何か別の話だろうと思いながら進み続けました」。
ブラウン騎手は、シン騎手とドイル騎手はすでに危険な状態を脱しており、騎手たちはアルムーンキスを避けるのに十分な時間があったはずだと主張し、「アルムーンキスに近づくまでに、手綱を引いて速歩までスピードを落としていました」と語った。
上席裁決委員のマーク・ヴァン・ゲステル(Marc Van Gestel)氏は、安全上の理由から下した決定に関して、「裁決委員たちは、2人の騎手の安全と、アルムーンキスが起き上がって馬群に戻る可能性について懸念していました」と説明した。
By AAP Racing/Caryl Williamson
(1豪ドル=約85円)
[Racing Post 2017年4月10日「Winx sparkles again but Sydney Cup drama mars day at Randwick」]