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2017年04月13日  - No.15 - 1

グランドナショナルで38年ぶりにスコットランド調教馬が優勝(イギリス)[その他]


 最も栄光ある春の日に、雲ひとつない青空の下、ワンフォーアーサー(One For Arthur)は見事な持久力と跳躍力を発揮して、グランドナショナルを制した。スコットランド調教馬による同レースの優勝は1979年のラブスティック(Rubstic)以来のことであり、史上2回目である。

 輝かしい勝負服を身に着けたデレク・フォックス(Derek Fox)騎手が絶大な信頼を置いて騎乗したワンフォーアーサーは、スコットランドの障害リーディングトレーナーのルシンダ・ラッセル(Lucinda Russell)調教師のエジンバラ北部キンロスの厩舎で管理されている。単勝オッズ14-1(15倍)の同馬は、コーズオブコージズ(Cause Of Causes)とグランドナショナルの常連セイントアー(Saint Are)に大差をつけて、世界最高の固定障害競走での勝利を確実にした。

 ラッセル調教師は、ジェニー・ピットマン(Jenny Pitman)調教師、ヴェネティア・ウィリアムズ(Venetia Williams)調教師、スー・スミス(Sue Smith)調教師に続きグランドナショナルを制した4人目の女性調教師となった。歓喜した同調教師はこう語った。「スコットランドにとって素晴らしい日です。ワンフォーアーサーは驚くべき馬で、常に成長しています。順調に行けば、グランドナショナルで勝てるのではないかと思っていましたが、本当に勝ちました!」

 「彼は私たちに、そしてスコットランドに、誇りを感じさせてくれました。また、厩舎にいる皆も誇りに思っていることでしょう」。

 これまでしばしばそうであったように、今回のグランドナショナルもあらゆるレベルで勝ち目がなさそうだった馬が勝利を収めたことで、感動をもたらした。スコットランドは、イングランドやアイルランドに比べて競馬の規模はずっと小さい。鞍上を務めたフォックス騎手はリーディング61位だ。また、ワンフォーアーサーの馬主はスコットランド出身の友人同士"トゥーゴルフウィドーズ(Two Golf Widowsそれぞれの夫が非常に長い時間をゴルフコースで過ごしたことによるネーミング)"である。さらに、同馬を管理したラッセル調教師のもとには少数の管理馬しかおらず、今年のチェルトナムフェスティバルには1頭も出せなかった。

 一方、今回のグランドナショナルはもう1つの重要な点において最高のレースとなった。出走馬40頭とその騎手がすべて無傷で戻ってきたのだ。つまり、5年連続で予後不良がなかった。

 グランドナショナルは安全になっているが、その迫力は全く減退していない。あらゆる世代を魅了してきたこのレースは、観衆とともに変化してきた。これまでよりも安全で、管理が行き届き、責任ある体制で運営されているが、今までと同様あらゆる点においてスリリングで予測不可能であり、21世紀の観衆によって大切にされるレースとして相応しい。見直しや改善が重ねられてきたが、依然として無類の感動をもたらし続けている。

By Tom Kerr

[Racing Post 2017年4月8日「One For Scotland as King Arthur powers to Grand National glory」]


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