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2017年03月23日  - No.12 - 3

ニューマーケットで開催される騎手のボクシング大会(イギリス)[その他]


 騎手がナイトクラブで殴り合うことは別に珍しいことではないが、来月ニューマーケットで2名の騎手がチャリティーという名目でボクシングのリングで向き合うとき、それは本気の殴り合いとなるだろう。

 ヘビー級のビッグマッチ「トニー・ベリュー 対 デヴィッド・ヘイ」(3月4日)のことは忘れよう。英国競馬の拠点ニューマーケットでは、「ウィリアム・カーソン(William Carson)騎手 対 サイモン・ピアース(Simon Pearce)騎手」が、最もホットな試合である。

 4月22日に目抜き通り(ハイストリート)にあるイノセントクラブで行われるこの試合のチケットは、すでに完売している。どちらの選手も3ラウンドマッチの間にヘッドギアをつけないことが、正真正銘の試合であることを示している。

 その日に予定されている15試合の1つであるこの試合は、かつて年に一度開催されていた"厩務員ボクシング大会"を思い起こさせる。後にプロでのWBUチャンピオンとなったコリン・"ダイナモー"・ダン(Colin 'Dynamo' Dunne)などがこの大会で優勝していた。

 ブックメーカーのパディパワー(Paddy Power)は、優勢と見られるカーソン騎手に8-13(1.62倍)、ピアース騎手に6-5(2.2倍)、引分けに15-2(8.5倍)のオッズをつけている。

 ピアース騎手もカーソン騎手もこれまで人前で戦ったことはないが、落馬で重傷を負った仲間のフレディ・ティリツキ(Freddy Tylicki)騎手、また負傷騎手基金(Injured Jockeys Fund)やイースト・アングリアン航空救急(East Anglian Air Ambulance)への募金集めのために、2人は奇想天外なことをしたがっていた。

 ピアース騎手はこう語った。「しばらく前からエディ・ゲスト(Eddie Guest)氏のジムで、騎乗の合間に体力向上のためボクシングを行っています。ある日、ゲスト氏から"人前で戦ってみたくはないか?"と尋ねられました」。

 「ひどく痛めつけられるだろうと思ったので、最初は乗り気ではありませんでしたが、募金を集められるのであれば、やってみる価値はあるかもしれないと考えました。ある日、検量室でウィリアムにこのことを話すと、彼はやる気満々になりました」。

 2人とも試合に備えて、異なる時間帯だが、ゲスト氏のジムでトレーニングを行っている。

 ピアース騎手はこう語った。「週に2回スパーリングをするようにしていますが、ウィリアムが近くにいるときは戦術を見せたくないので、ジムには行きません。自分がどのようなことに足を突っ込んでいるのかよく分かりませんが、善い目的のために行うことですし、できるかぎりハードなトレーニングを積んでいるので、やるしかありません」。

 「ウィリアムの戦術は、第1ラウンドですべての銃を発砲するようなもので、私を徹底的に痛めつけようとするだろうと想像します。そして願わくば、彼が自滅して、第2ラウンドで試合を終わらせることを望んでいます」。

 元リーディングジョッキーのウィリー・カーソン氏の孫であるウィリアム・カーソン騎手はテネリフェ島(スペイン領カナリア諸島に属する島)にいるが、それは明らかに冬場の自主トレのためではない。

 カーソン騎手の父で調教師であるトニー氏は、息子が有利とは確信していない。

 トニー氏はこう語った。「ウィリアムの兄弟グラハム(同じくボクシングの試合に出場予定のアマチュア騎手)とピアース騎手を支持しています。なぜなら、ウィリアムはパンチに耐えることができませんし、グラハムは何回かウィリアムを床に倒したことがあるからです」。

 「いずれにしても、このようなイベントが復活するのは素晴らしいことです。昔はロンドンの"厩務員ボクシング大会"に行ったものです」。

 自身も元騎手である主催者のゲスト氏はこう語った。「ウィリアムとサイモンの試合でその夜が大いに盛り上がることは間違いありません。また、見習騎手ジョージ・バッケル(George Buckell) 対 グラハム・カーソンの試合も見ることができます。さらに、ミッキー・クイン(Micky Quinn)厩舎の厩務員クリス・カヴァナー(Chris Cavanagh)氏は、ポール・ダーシー(Paul d'Arcy)厩舎のピート・マックロー(Pete McCullough)氏と対戦します」。

 パディパワーのスポークスマンであるポール・ビンフィールド(Paul Binfield)氏はこう語った。「私たちは、ウィリアムの方がニューマーケットのボクシングの長い歴史にその名を刻む可能性が高いと考えています。ニューマーケットでは、"厩務員ボクシング大会"の優勝タイトルを、スティーヴ・"ヤーマス"・ディーブル(Steve 'Yarmouth' Dyble)氏とシャーガー(Shergar)の厩務員ディッキー・マッカブ(Dickie McCabe)氏が19回も分け合いました。また、コリン・ダン氏がこの大会からボクシングの試合に出場し始めて、世界チャンピオンにまで上り詰めました」。

By David Milnes

[Racing Post 2017年3月7日「Carson and Pearce ready to rumble for charity in Newmarket」]


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