名種牡馬デインヒルダンサー、老衰のため24歳で死亡(アイルランド)[生産]
2014年にクールモア牧場での種牡馬生活を引退したが血統において存在感を示し続けていたデインヒルダンサー(Danehill Dancer 24歳)は、この週末(3月11日~12日)、老衰のため安楽死措置が取られていた。
デインヒルダンサー(父デインヒル、母Mira Adonde、母父シャーペンアップ)は、ラリー&キップ・マクレーリー両氏(Larry McCreery and Kip McCreery)によりアイルランドで生産された。1歳のときにゴフス社のセリに上場され、クールモアのエージェント(馬売買仲介者)デミ・オバーン(Demi O'Byrne)氏により3万8,000愛ギニーで購買された。
マイケル・テイバー(Michael Tabor)氏により所有され、ネヴィル・キャラハン(Neville Callaghan)調教師により管理された同馬は、2歳のときにフェニックスS(G1)とナショナルS(G1)を制した。3歳のときにはグリーナムS(G3)で優勝し、モーリスドゲスト賞(G1)では3着となった。そして獲得賞金額34万3,120ドル(約3,946万円)で引退した。
デインヒルダンサーは種牡馬として、南北両半球で大きな影響をもたらした。2000年に3,500愛ギニーだった種付料は、2007年・2008年繁殖シーズンには11万5,000ユーロ(約1,380万円)にまで高騰した。同馬に繁殖牝馬を送った生産者たちは、2006年から2011年まで6年連続で、同馬の1歳産駒の平均売却価格が6桁(10万ユーロ以上)になるという成果を手に入れた。
デインヒルダンサーは2009年に英愛リーディングサイアーとなったほか、2歳リーディングサイアーに3回輝いた。同馬は3月12日までに、世界全体でブラックタイプ勝馬170頭(7%)を出し、うち93頭が重賞勝馬となった。また産駒の中で、プライベートスティア(Private Steer)が豪州最優秀3歳牝馬、マスタークラフツマン(Mastercraftsman)が欧州最優秀2歳牡馬、ショワジール(Choisir)が豪州最優秀2歳牡馬、コールウッドダンサー(Callwood Dancer)がカナダ最優秀芝牝馬、ネグラデルオロ(Negra del Oro)がスカンジナビア最優秀2歳牝馬および最優秀3歳牝馬に選出された。
デインヒルダンサーはブルードメアサイアーとしても、ブラックタイプ勝馬58頭を送り出している。そのうち半分は重賞勝馬である。2016年は輝かしい年となり、同馬はブルードメアサイアーとしてG1馬のザグルカ(The Gurkha)、マインディング(Minding)、アリススプリングス(Alice Springs)を送り出した。
2008年に三大陸においてデインヒルダンサーの牝駒が100万ドル(約1億1,500万円)以上で落札されたことが、世界中で同馬の牝馬が求められているさらなる証拠となった。イングリス社のセリではダウンヒルレーサー(Downhill Racer)が176万1,170ドル(約2億253万円)、タタソールズ社のセリではアンナパヴロヴァ(Anna Pavlova)が144万9,728ドル(約1億6,672万円)、キーンランド協会のセリではカリビアンサンセット(Carribean Sunset)が125万ドル(約1億4,375万円)で落札された。デインヒルダンサーの牝駒で英オークス(G1)と独オークス(G1)を制したダンシングレイン(Dancing Rain)は、2013年タタソールズ社12月繁殖牝馬セールにフランケル産駒を受胎している状態で上場され、モハメド殿下の馬購買顧問ジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏に400万ギニー(約5億8,800万円)で購買された。
クールモア牧場のM・V・マグニア(M.V. Magnier)氏はこう語った。「名種牡馬デインヒルダンサーは、優良種牡馬であるマスタークラフツマンやショワジールを送り出し、さらにショワジールがスタースパングルドバナー(Starspangledbanner)を送り出していることから、クールモア牧場に大きな遺産を遺しました。また、産駒のザグルカは種牡馬として将来有望です。優秀な牝馬レガティッシモ(Legatissimo)は今朝、ガリレオ産駒を受胎していることが確認されています。マインディングやアリススプリングも競走生活を終えれば、優良牝馬群の仲間入りを果たすでしょう」。
By Eric Mitchell
(1ドル=約115円、1ポンド=約140円、1ユーロ=約120円)
[Racing Post 2017年3月13日「Danehill Dancer Euthanized Due to Old Age」]