タピット、1シーズンの産駒獲得賞金額記録を3年連続で更新(アメリカ)[生産]
タピット(Tapit 父プルピット)の種牡馬としての快挙は、自ら打ち立てた記録が越えるべきハードルとなるほど積み重ねられている。このような中、ゲインズウェイ牧場(Gainesway)の看板種牡馬はそのレガシー(遺産)に更なる偉業を加えた。
タピット(芦毛15歳)は北米における1シーズンの産駒獲得賞金額の記録を3年連続で更新した。11月26日朝の時点でタピットは今シーズンの産駒獲得賞金額を1,837万1,097ドル(約21億1,268万円)としていたが、その日のシガーマイルH(G1・総賞金50万ドル)で産駒ディヴィニングロッド(Divining Rod)が2着となり10万ドル(約1,150万円)を獲得した。これにより、2015年に自ら打ち立てた記録1,839万7,691ドル(約21億1,573万円)を塗り替えたのである。
タピットは、2014年に産駒が1,681万3,536ドル(約19億3,356万円)を獲得し、それまでの最高記録であった2007年のスマートストライク(Smart Strike)の産駒獲得賞金額1,435万8,570ドル(約16億5,124万円)を更新した。
タピットが種牡馬生活において続けている偉業を的確に表現する形容詞を見つけるのは、同馬の関係者にとっても困難なことである。
タピットは今年クリエーター(Creator)がベルモントS(G1)を制したことでクラシック競走優勝産駒をもう1頭増やしたほか、フロステッド(Frosted)もG1を2勝した。能力を産駒に伝えることにおいて、タピットはその幅広さと奥深さを証明し続けている。
また、三冠競走の勝馬をたやすく出すように、芝競走でもG1馬のタイムアンドモーション(Time and Motion)とリングウィークエンド(Ring Weekend)を送り出した。さらに、牝駒のプリティシティダンサー(Pretty City Dancer)とスイートロレッタ(Sweet Loretta)がスピンアウェイS(G1・9月3日サラトガ競馬場)で同着優勝を決めたことで、タピット産駒の早熟性は十分に証明された。
タピットを管理し、その所有権の半分を持つウィンチェルサラブレッズ社(Winchell Thoroughbreds)のマネージャーであるデヴィッド・フィスク(David Fiske)氏はこう語った。「タピットを表現する言葉を探すのはやめました。3年連続でリーディングサイアーになるとは思っていましたが、産駒獲得賞金額の記録を3年連続で塗り替えるとは思っていませんでした。タピットには多才性だけではなく何もかもが備わっています。産駒獲得賞金額全体から芝競走での獲得賞金額を差し引いても、依然としてリーディングサイアーなのです。タピットにとって優秀な芝馬を送り出すことは趣味のようなものです」。
競走生活で重賞を1勝したタピットは、2005年にゲインズウェイ牧場に種牡馬入りした。当時の種付料は1万5,000ドル(約173万円)と控えめで、初年度産駒にはそれほど期待はかけられていなかった。2008年に種付料は1万2,500ドル(約144万円)に下げられたが、初年度産駒から2008年最優秀2歳牝馬スターダムバウンド(Stardom Bound)、G1馬ララー(Laragh)、後のG1馬ケアレスジュエル(Careless Jewel)などを出し、快進撃が始まった。
タピット産駒の快挙はまとめて達成される傾向にあり、11月26日もそうだった。ディヴィニングロッド(Divining Rod)が2着となった後、リングウィークエンドが総賞金20万ドル(約2,300万円)のシービスケットH(芝G2・デルマー競馬場)を制した。また同競馬場の未勝利戦でも牝駒ユニークベラ(Unique Bella)が10馬身1/4差で印象的な勝利を果たした。
ユニークベラは、キーンランド11月セールにおいて最高価格380万ドル(約4億3700万円)で落札された母アンライバルドベル(Unrivaled Belle)が出した最初の勝馬である。アンライバルドベルは現在、再びタピットの仔を受胎している。
フィスク氏はタピット産駒について、「どこでも能力を発揮できます」と語った。
タピットの需要は依然としてピークにあり、2017年も再び30万ドル(約3,450万円)の種付料で供用される。
By Alicia Wincze-Hughes
(1ドル=約115円)
[bloodhorse.com 2016年11月26日「Tapit Breaks Single-Season Earnings Mark」]