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2016年02月04日  - No.5 - 4

フランクフルト競馬場の売却計画、ナチスに関連する申立てにより難航(ドイツ)[その他]


 フランクフルト市議会は、歴史ある競馬場をDFB(ドイツサッカー連盟)に売却することを計画している。これに反対する運動家たちは、「第二次世界大戦前のドイツの非道な反ユダヤ法の下で、この土地が地元当局の手に渡った事実を暴露する」と語った。

 運動家たちによれば、ユダヤ人であるカール・フォン・ヴァインベルク(Carl von Weinberg)氏とアルフレッド・フォン・ヴァインベルク(Alfred von Weinberg)氏(1918年〜1938年のフランクフルトレーシングクラブ理事長)は、悪名高いニュルンベルク法の制定を受け、フランクフルト競馬場を市へ贈与することを事実上強制された。市当局はこの申立てを裏付ける証拠はないと主張している。

 しかし、歴史学者のゲルハルト・モーザー(Gerhard Moser)氏は1月19日の記者会見(フランクフルトレーシングクラブ主催)で、ヴァインベルク氏たちがスポーツクラブの“アーリア化”の一環として、競馬場所有権の譲渡を強制されたことを証明する文書を入手していると明言した。

 フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙(Frankfurter Allgemeine Zeitung)によれば、モーザー氏はフランクフルト土地登記所への出入りを許可されていなかった。

 モーザー氏は、「それを証明する文書を入手しており、フランクフルト市にその情報源を提示する用意があります」と語った。

 フランクフルトレーシングクラブの会計担当者カール-フィリップ・ツー・ゾルムス(Carl-Philip zu Solms)氏は、次のように語った。「これまではフランクフルト市のユダヤ人の遺産に対する道義的責任の問題でしたが、今では証拠が揃っています」。


競馬場を守る闘い

 2015年6月、運動家たちは競馬場存続を求める住民投票で過半数の支持を集めて健闘したが、その投票結果は市当局の決定を覆すには不十分だった。

 フランクフルトレーシングクラブは、2015年末までに競馬運営を停止するように通告されていたが、2016年に全5日の競馬開催が計画されている。ただし、ブラックタイプ競走は、バーデンバーデン競馬場の春開催に移行して施行されることになっている。

 DFBは現在競馬場がある土地に、総工費1億900万ユーロ(約141億7,000万円)で国立サッカーアカデミーを建設することを計画している。しかし、DFB自体、税金逃れと汚職を巡る一連の疑惑を受け、現在厳しい調査の対象となっている。

By Scott Burton
(1ユーロ=約130円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2015年No.28「フランクフルト競馬場、住民投票で存続を支持されるも閉鎖の危機(ドイツ)

[Racing Post 2016年1月21日「Doubts over Frankfurt sale after Nazi claims」]


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