TOPページ > 海外競馬ニュース > ゴドルフィン、世界中で所有馬を削減(国際)[その他]
海外競馬ニュース
2016年10月20日  - No.42 - 3

ゴドルフィン、世界中で所有馬を削減(国際)[その他]


 モハメド殿下の競馬・生産帝国であるゴドルフィンは、世界規模での"剪定"を実行していることを認めた。

 セリに上場されるゴドルフィンの所有馬は急増しているが、その一方で、ゴドルフィンのチームメンバーは現役馬を大幅に削減するつもりはないと主張している。

 ゴドルフィンの所有馬削減はここ数ヵ月、生産界で話題となっていたが、これまでゴドルフィンが認めることはなかった。この削減は今年になって豪州で始められ、タタソールズ社7月セール(Tattersalls July Sale)で続けられた。そして現在、米国のキーンランド9月セール(Keeneland September Sale)でも実行されている。ゴドルフィンはこのセールで60頭以上の1歳馬を上場している。

 ゴドルフィンのCEOジョン・ファーガソン(John Ferguson)氏が指揮するこの削減の主目的は、モハメド殿下の巨大な競馬・生産事業に関して、量よりも質の視点から見直すことにある。

 ファーガソン氏は今年3月、ゴドルフィンに専念するために、軌道に乗っていた障害競走の調教事業を断念した。同氏はその時、競走成績を改善するために荒療治をするよう命じられたことを明らかにしていた。

 競走成績を改善する試み以外でも立直しが行われ、豪州で牝馬33頭、タタソールズ社のセリで牝馬72頭を上場した。ゴドルフィンはこれについて、必要な措置であり運営方針や競馬への関与に大きな変化があることを示すものではないと述べている。

 ゴドルフィンのメディア担当マネージャーであるジム・クラーク(Jim Clarke)氏は9月15日、「これは戦略変更ではありません。私たちは例年のようにセリで馬を売買しており、年末までこれを続行するつもりです」と語った。

 そして、「私たちはこれまで通り、世界中で最高レベルの馬を生産し競走させるというゴドルフィンの目標を達成することに専念しています。そのことに変わりはありません。毎年、現役の競走馬、種牡馬や繁殖牝馬の質を向上させるために、たゆまず努力しています」と続けた。

 ケンタッキー州にあるゴドルフィンの米国支社のCOO(最高執行責任者)であるダン・プライド(Dan Pride)氏は、所有馬削減について次のように説明した。

 「所有馬を適切な頭数に抑えることが重要です。私たちは長年にわたり、馬を生産し牝馬を購買してきました。ご想像のように、頭数は増加しています。この措置は、馬の質を重視するモハメド殿下の世界戦略の一環です」。

 プライド氏は、ゴドルフィンは米国の11月繁殖セールで牝馬約50頭を上場する予定であり、世界中で同じような削減措置を計画していると述べた。

 ゴドルフィンは英国・米国・ドバイ・豪州・フランスで現役の競走馬を所有している。ダーレー牧場の看板の下では、アイルランド・米国・英国・フランス・豪州・日本で種牡馬を供用し、他の国々にもシャトルしている。

 プライド氏は、頭数の削減目標は設定していないと述べた。各国のゴドルフィンの役員は、モハメド殿下の競馬事業にとって重要と考える馬と、セリに上場すべき馬を特定している。

 同氏は「管理できる頭数に抑えることが何よりも重要です。競走馬として走らせるか、あるいはセリに上場するかを決定するには、独自の選択基準を用いなければなりません」と付言した。

 ファーガソン氏は、キーンランド9月1歳セールの最初の2日間で、モハメド殿下の代理として合計212万5,000ポンド(約2億6,563万円)を支出した。同氏が購買したのは、ガリレオの重賞優勝牝馬を母とするウォーフロント牝駒2頭、クレイボーン牧場(Claiborne Farm)が生産したウォーフロント牡駒、アイルランドの最優秀2歳牝馬パスフォーク(Pathfork)の半姉が出産したメダグリアドロ牡駒である。

 ファーガソン氏は、ゴフス社のセール(ドンカスター)やアルカナ社のセールでは1頭も購買しなかった。しかしクラーク氏によれば、他の購買はエージェントを通じて行われており、ゴドルフィンは今年購買した馬を調教に回して現役馬を増加させるものと考えられている。

 プライド氏はこう語った。「内部ではこの状況を"剪定"と言い表しています。背が高く強い木に育てようと思っても、外側に育ってしまうと背の高い強い木になる力が失われてしまいます。"削減"ではなく"剪定"と言った方がよいでしょう」。

 「私たちのビッグレースで勝ちたいという願望、競馬への深い関与、私たちが属する地域への貢献は、全く変わりません」。

 「モハメド殿下はサラブレッドだけではなく、競馬界に関係する人々、競走馬のアフターケア、慈善事業にも興味を持たれており、私たちはとても幸運です」。

 「モハメド殿下の競馬への深い関与は、この措置で影響を受けることはありません。これはただ、所有馬をどのように管理するか、そしてゴドルフィンという最強の組織においてどう実行するか、ということに重点を置くものです」。

By Jon Lees and Michele MacDonald

(1ポンド=約125円)

[Racing Post 2016年9月16日「Godolphin cutting bloodstock numbers」]


上に戻る