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海外競馬ニュース
2016年09月22日  - No.38 - 2

チャンネル4、今年の凱旋門賞を放映せず(イギリス・フランス)[その他]


 チャンネル4(Channel 4 英国の公共放送局)は今年の凱旋門賞(G1・10月2日)を放映しないことを決めた。これにより、英国における凱旋門賞の地上波放映はなくなる。

 チャンネル4はその理由として、メディア権料の高騰を挙げた。しかしフランスギャロ(France Galop)のオリヴィエ・ドロワ(Olivier Delloye)事務総長は、その理由を否定した。そして、チャンネル4に同レースを確実に放映してもらうように、昨年のメディア権料3万5,000ポンド(約473万円)を免除する提案すら行ったと主張した。

 チャンネル4は、2017年から4年間の英国内での競馬放映権を獲得できず、その権利がITVに渡ったことで、この年末に競馬放映を終了する。昨年の凱旋門賞開催日には5レースをライブ放映したが、今年は凱旋門賞自体を放映しない。

 しかし、その決定は4年前にBBCが下した決定によく似ている。BBCは国内での競馬放映権をめぐりチャンネル4に敗れ、2012年凱旋門賞の放映を断念した。あっという間にBBCの立場となったチャンネル4は、目前に迫ったITVとの交代がこの決定の要因になったわけではないと述べた。

 チャンネル4のスポークスマンは9月2日、「今年の凱旋門賞はシャンティイ競馬場で開催されるため、メディア権料が高騰しました。そのためチャンネル4は、凱旋門賞を放映せずに英国競馬の放映に集中することにしました」と説明した。

 ドロワ事務総長は9月6日、フランスギャロのために権利交渉を行うIMG社とチャンネル4の会議の中で話されたことは、チャンネル4の説明とは異なるものであったと語った。なお、チャンネル4の競馬番組の制作を担当しているのは、IMG社の別の部門である。

 ドロワ事務総長は詳細をこう説明した。「チャンネル4は英国内での競馬放映権を失うという状況の下で、今年の凱旋門賞の放映に全く興味を示しませんでした。彼らはそうすることが必要だと考えていませんでした」。

 「とりわけ今年は周知のとおり、チャンネル4が競馬放映権を失い、ITVはまだ競馬に馴染んでいないという難しい時期ですので、私たちはメディア権料を引き上げませんでした」。

 「私たちはチャンネル4が置かれている状況について話し合いました。そして、ロンシャンよりシャンティイのほうが番組制作費は高いので、IMG社はチャンネル4にメディア権を無料にする提案を行いました」。

 「昨年のメディア権料はそれほど高くない3万5,000ポンド(約473万円)でした。また、私たちがIMG社を通じて請求した技術料はたったの2,500ポンド(約34万円)でした」。

 「チャンネル4の戦略は十分に理解できますが、"フランスギャロはチャンネル4に適切に対応していない"との印象を人々が受けるとすれば迷惑です。それは真実ではありません」。

 アットザレーシズ社(At The Races)とレーシングUK社(Racing UK)も凱旋門賞を毎年放映しているが、ドロワ事務総長は2017年にITVが地上波で多くの視聴者に向けて凱旋門賞を放映することを強く希望している。

 同事務総長はこう付言した。「ITVが英国の競馬ファンに最高の欧州競馬を見せたいと考えるのであれば、凱旋門賞を放映すべきです。昨年のゴールデンホーン(Golden Horn)のように、最も優秀な英国馬が凱旋門賞に出走します」。

 「競馬シーズンの終わりに凱旋門賞を放映しないのであれば、英国の競馬ファンはITVで競馬を見ることに物足りなさを感じるでしょう」。

 チャンネル4のスポークマンは9月6日夜にこう語った。「私たちは凱旋門賞を放映するつもりでしたが、最初に提示された高額のメディア権料では、凱旋門賞放映には金額に見合う価値がないと判断しました」。

By Lee Mottershead

(1ポンド=約135円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2016年No.1「ITV、2017年からの競馬放映権を獲得(イギリス)

[Racing Post 2016年9月7日「French chief challenges CA claims over Arc withdrawal」]


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