カリフォルニア州、馬バイオマーカープログラムを開発(アメリカ)[獣医・診療]
カリフォルニア州競馬委員会(California Horse Racing Board: CHRB)は近い将来、競走馬に投与された薬物の効果を特定するために開発されたバイオマーカーの利用を開始する。
CHRBは8月18日の声明で、このプログラムは競技外検査などの薬物検査の質を向上させる取組みの一環であると述べた。
カリフォルニア大学デイヴィス校にあるケネス・L・マディ馬分析化学研究所(Kenneth L. Maddy Equine Analytical Chemistry Laboratory)は、州内の競走馬の薬物検査を担当している。同研究所はその関連研究も行っており、"アスリート生物学的パスポート(athlete biological passport:ABP)"と呼ばれるものを開発し始めている。
カリフォルニア州は他の競馬管轄州と同様に、主としてレース後の血液・尿検体の採取・検査に大きく依存している。「ABPの基本原理は、禁止薬物を検出したりドーピング方法を突き止めるのではなく、選ばれた生物学的変数を時間をかけてモニタリングすることにより、ドーピング効果を間接的に示すものです」とCHRBは述べる。
化学者は、競走馬の生物学的情報データを作成でき、タンパク質・遺伝子・低分子の変化を辿ることができる。CHRBは、「これらのバイオマーカーをモニタリングすることで、馬に薬物が投与されたことが示されます」と述べた。
バイオマーカーを専門とするベンジャミン・マーラー(Benjamin Moeller)博士は、馬のABPプログラムのための基盤構築を進める予定である。同博士は最近、カリフォルニア動物健康・食物安全研究システム(California Animal Health and Food Safety Laboratory System)とカリフォルニア大学デイヴィス校獣医学部により、アナボリック・ステロイドや遺伝子ドーピングなど競馬界で浮上しつつある脅威に対処するよう指名された。
CHRBは声明において、米国ジョッキークラブがこのプロジェクトを促進するために少なくとも今後2年間、毎年5万ドル(約500万円)の助成金を拠出することを約束したと述べた。
CHRBのリック・ベデカー(Rick Baedeker)専務理事はこう語った。「競馬ファンと、ルールを順守する大多数の調教師や獣医師のためにこのプロジェクト進めるべきです。これにより、薬物検査を慎重で最先端のものにしておくことができるでしょう。また、今シーズンはデルマー競馬場で実施する競技外検査を倍増させました。さらに、薬物検査の最新技術を追求するためにカリフォルニア大学デイヴィス校と一緒に取り組んでいます」。
By Blood-Horse Staff
[bloodhorse.com 2016年8月18日「California Develops Equine Biomarker Program」]