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海外競馬ニュース
2015年12月17日  - No.50 - 2

欧州の主要セリにおいて初の女性鑑定人が誕生(フランス)[生産]


 この1ヵ月、女性たちは競馬界の多くの障壁を打ち破ったが、オレリー・ブラネール(Aurelie Branere)氏は、欧州の主要セリの演壇に立った初めての女性となった[訳注:10月下旬に米国でマリア・ボレル(Maria Borell)調教師がBCスプリント(G1)を制し、11月上旬に豪州でミシェル・ペイン(Michelle Payne)騎手が女性騎手としてメルボルンカップ(G1)初優勝を果たした]。

 ブラネール氏(29歳)は、幼い時からセリや馬の世界に馴染んでおり、11月18日のアルカナ社オータムセール(Arqana Autumn sale ドーヴィル)のファイナルセッションにおいてチャンスを掴んだ。3スペルのあいだ鑑定人(セリ人)を務めた彼女のパフォーマンスは堂に入っていた(訳注:スペルとはセリの区切りのこと)。

 ブラネール氏は次のように語った。「父ジャン-ルイは、フランスピュルサン社(France Pur Sang)でエージェントを務め、その後、引退前にはアルカナ社に勤務していました。また、母はスポーツホースを生産していました」。

 「学生の頃、スポッター(セリの助手)や案内係としてアルカナ社で働きました」。

 「かなり前から、セリで鑑定人を務めたいと考えていました。2年前にフェンス社(Fences)の障害飛越競技馬のセリでそれが叶い、ニエーヴル県マニークールのトロッターのセリ会社でも鑑定人を務めました。そして今回初めてサラブレッドのセリの鑑定人を務めることができました」。

 アルカナ社の会長兼首席鑑定人であるエリック・オワイヨー(Eric Hoyeau)氏は、自らの疑問が、アルカナ社に女性鑑定人が“いないのは何故か?”ではなく、“いていいはずだが?”に変わったと述べ、次のように語った。

 「前身のアジェンスフランセーズ社(Agence Francaise)時代に試行しましたが、その当時は人々が女性鑑定人を受け入れる準備ができていなかったようです。それから文化は大きく変わり、豪州のイングリス社(Inglis)に女性鑑定人がいることに気付きました。私たちは若い人々にも、セリにおいて短いスペルから鑑定人を務めてもらい、チャンスを与えたいと思っています」。

 オワイヨー氏は、ブラネール氏の初めてのパフォーマンスに自信を深めていた。「すでに技術的に優れていると思います。ただ、もう少しリズムを良くする必要があります。セリ場で男性と同じような力強さを持つことは必ずしも必要ありません。精妙さでそれを補うことができます」。

 ブラネール氏は初めての“ライブ”セッションに満足していると語り、これが手始めに過ぎないことを望んでいる。

 ブラネール氏は次のように語った。「改善すべき点が沢山あることは分かっていますが、初めてにしてはそう悪くはなかったと考えています。演壇に立つことに気後れはありません。人々はまだ女性が鑑定人を務めることに慣れていないようですが、これは問題ではないと思われます」。

 「以前スポッターを務めていたことで、セリ業界と接することが多く、売り手も購買者も知っています。それがとても重要なことだと考えます」。

 アルカナ社8月セールには世界中から参加者が集まるため、鑑定人はしばしば言語を途中で変えることが要求される。一方、他の国々では、セリは英語で進められることが多い。

 ブラネール氏は、数字を2つの言語で読み上げることに不安はないと語った。

 そして、「リズム良くセリを進めるために訓練を続ける必要はあります。しかし、英語については心配しておらず、自然と興味が湧いてきます」と付言した。

By Scott Burton

[Racing Post 2015年11月19日「Branere breaks new ground as first female auctioneer」]


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