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海外競馬ニュース
2015年09月24日  - No.38 - 3

騎手の健康に関する新たな研究が開始される(イギリス)[その他]


 英国で騎手などの健康に関する重要な研究が開始された。この研究は、トート社(Tote)売却益の競馬界内の分配を所管する競馬財団(Racing Foundation)からの資金提供を受ける。

 3年間の研究補助金22万2,417ポンド(約4,115万円)は、オックスフォード大学に授与された。この補助金をもとに、同大学の研究チームは、スポーツ・運動・骨関節炎に関する英国関節炎研究センター(Arthritis Research UK Centre for Sport,Exercise and Osteoarthritis)の一員として、騎手の骨密度・筋肉量の調査と、これらが騎手の落馬率、重傷度、骨関節炎発症率、健康全般への影響にどう関連するかを研究する。

 この研究は、BHA(英国競馬統轄機構)と共同で実施される。最近、BHAは推進中の“成長戦略”の重点目標として、職業福祉と負傷者のリハビリ改善を取り上げている。適切な助言が行われるようにし、また、負傷リスク低減のために利用可能な実用的情報を提供することが、このプログラムの主目的の1つである。

 この研究は、騎手協会(Professional Jockeys Association:PJA)と負傷騎手基金(Injured Jockeys Fund)の支援のもと、騎手対象に実施される。研究結果は、調教で騎乗する厩舎従業員など競馬産業内で幅広く適用できるので、英国厩務員協会(National Association of Stud and Stable Staff)もこの研究の運営グループに参加する。

 BHAの主任医療顧問ジェリー・ヒル博士(Dr Jerry Hill)は、次のように語った。「BHAは、競馬産業内の幅広い協力を通じて、騎手などの健康・福祉・安全を支援する戦略の策定と、騎手や厩舎従業員の職責を全うできる態勢づくりの支援に、全力を傾けています」。

 「競馬財団の補助金とオックスフォード大学研究チームの専門知識のおかげで、私たちは、身体組成と骨密度の研究を行い、それが落馬・負傷のリスクにどのような影響を及ぼすのか、引き続き調査できます」。

 「この研究は、現在進行中の騎手訓練能力開発イニシアティブ(Jockey Training and Development Initiative)やリヴァプールジョンムーアズ大学の騎手健康専攻博士課程と協力して実施されます。騎手が高い負傷リスクを伴う競馬においてエリートアスリートとしてのキャリアに備えるための、健康維持・訓練体制の開発を支援することができるでしょう」。

 また、オックスフォード大学病院のリウマチ専門コンサルタント医師ジュリア・ニュートン博士(Dr Julia Newton)は次のように語った。「当研究チームは、騎手などの健康を短期的・長期的に改善する方法について理解を深めるため、競馬財団や競馬界と協力して研究することを心待ちにしています」。

 「この補助金は、負傷や長期的な不健康をもたらすリスク要因をめぐる基本的な疑問に答え、将来に向けて好影響を及ぼす機会をもたらすでしょう」。

 騎手協会(PJA)の専務理事デール・ギブソン(Dale Gibson)氏は、次のように付言した。「PJAは、騎手の福祉に関する研究の実施を大いに歓迎し支援します。今や骨密度スキャンは見習い騎手や条件付き騎手の訓練課程に取り入れられていますが、それがこの研究と相まって、騎乗に伴う負傷の評価に当たる担当者の一助となってくれることを望んでいます」。

By Graham Green
(1ポンド=約185円)

[Racing Post 2015年8月25日「New study launched into jockeys’ health」]


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