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2015年08月06日  - No.31 - 2

フランス初の女性騎手による平地重賞優勝(フランス)【その他】


 7月22日のナイター開催において、エリプティック(Elliptique 父ニューアプローチ)は、終始他馬を圧倒して、ヴィシー大賞(G3・2000 m)を制した。フランス初の女性騎手による平地重賞優勝であり、この勝利によってアメリー・フーロン(Amélie Foulon)騎手は見習い騎手を卒業した。

 まさに、歴史的快挙である。フーロン騎手が騎乗したエリプティックは、ゲートを出てすぐに先頭に立ち、後続馬に大差をつけた。その後、最後の直線では大外を回り、一か八かの勝負に出た。直線半ばでフランク・ブロンデル(Franck Blondel)騎手騎乗のマンボミス(Mambomiss)が先頭に立ったが、差し返した。ラクープ賞(G3・6月12日ロンシャン)で3着となっていたエリプティックにより、フーロン騎手はキャリア70勝目をあげてプロの仲間入りを果たした。同時に、フランス初の女性騎手による平地重賞優勝であったことを考えれば、素晴らしい快挙である。

 フーロン騎手の上司であるアンドレ・ファーブル(André Fabre)調教師にとって、ヴィシー大賞の優勝は、2004年のバイラドール(Bailador)以来である。この勢いに乗り、もう1頭の管理馬メドウクリーク(Meadow Creek オリビエ・ペリエ騎手騎乗)も3着に入った。シルジャンズサーガ(Siljan’s Saga)の出走取消で、このレース唯一の牝馬となったマンボミスは、好走して2着となった。同馬を管理するダミアン・ド・ヴァトリガン(Damien de Watrigant)調教師は、レースを次のように振り返った。「もう少し馬場が柔らかければ、マンボミスに有利だったでしょうが、がっかりはしていません」。

 フーロン騎手は、次のように語った。「他馬の影響を受けないように、前々でレースを進めました。優勝できて非常に嬉しく思っています。信頼してくれたファーブル調教師に感謝します。ファーブル厩舎で働き始めてもうすぐ10年になりますが、競馬一家の出身でない私にとって、素晴らしいことです。今後は減量特典がなくなり、状況は少し変化しますが、今夜のように順調に行くことを願っています」。

By Laurent Notarianni

フランスは男尊女卑の国なのか?

 アメリー・フーロン騎手は、平地重賞を制したフランス初の女性騎手となったが、国際舞台においてはパイオニアではない。1993年、米国においてジュリー・クローン(Julie Krone)騎手は三冠競走の一冠(ベルモントS)を制した初の女性騎手となり、2003年にはブリーダーズカップで優勝した。彼女は、通算3,700勝以上をあげ、獲得賞金は1億ドル(約125億円)近くになった。

 欧州では、1997年、アレックス・グリーヴス(Alex Greaves)騎手がナンソープS(G1・ヨーク競馬場)を制し、英国初のG1優勝女性騎手となった。ヘイリー・ターナー(Hayley Turner)騎手は重賞初勝利から3年後の2011年に、男性騎手相手にジュライカップ(G1)を制し、再び女性によるG1優勝を果たした。ドイツも、2012年、ステファニー・ホファー(Stéphanie Hofer)騎手がG3競走で優勝し、女性騎手の活躍という点ではフランスよりわずかに進んでいる。

 フランスのトレーニングセンターにおいて、女性は20歳未満の乗り手の53%を占めている。しかし、レースにおいては調教師と馬主が女性騎手を信頼しない、他国よりも男尊女卑の思想をもつ国なのだろうか?1980年代以来、女性騎手が男性騎手と十分に渡り合ってきた障害競走に限定すれば、必ずしもそうとは言えない。障害競走の重賞を制した女性騎手は、以下のとおりである。

ベアトリス・マリー(Béatrice Marie)騎手
 オートゥイユ大ハードル(G1)
 ルノーデュヴィヴィエ賞(G1)
 アランデュブレイユ賞(G1) など
アンヌ-ソフィー・マドレーヌ(Anne-Sophie Madelaine)騎手
 オートンヌ大賞(G1)
 レオンオルリーロードゥレ賞(G2)
ナタリー・ドゥステー(Nathalie Desoutter)騎手
 ジョルジュクルトワ賞(G2)
 共和国大統領賞(G3)
 ラバルカ賞(G2)

By Christophe Ugon-Fleury
(1ドル=約125円)

[Paris-Turf.com 2015年7月23日「Grand Prix de Vichy (22/07) : la belle histoire d'Amélie Foulon」、Paris Turf 7月24日「Machos, les Français?」]


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