ライアン・ムーア騎手、ロイヤルアスコット開催で最多勝記録を樹立(イギリス)[その他]
ライアン・ムーア(Ryan Moore)騎手は、ロイヤルアスコット開催4日目(全5日)の最終競走クイーンズヴァーズ(英L)において、見事な騎乗ぶりでアロフト(Aloft オブライエン厩舎)を優勝に導いた。これにより、バリードイル勢の主戦騎手を務める同騎手は、ロイヤルアスコット開催で最多勝利騎手となった。
ムーア騎手は、この日それまで、勝利を逃していた。しかし、賭事客たちは同騎手の驚異的な騎乗ぶりを信じていたので、アロフトは5-2(3.5倍)の一番人気に推された。
アロフト(父ガリレオ)は、昨年ドンカスター競馬場のレーシングポストトロフィーでエルムパーク(Elm Park)の2着になって以来の出走であった。ムーア騎手は、同馬を後方に待機させ、ゆっくりと馬群に紛れ込ませた。
最後の直線に近づいたとき、ムーア騎手は仕掛けることを決め、馬群の外側を大きく回ってアロフトを出し、他馬を置き去りにした。
馬群が直線に入ったとき、アロフトのムーア騎手の合図に対する反応が少々鈍かったため、ムーア騎手のロイヤルアスコット開催9勝目はお預けになるかと思われた。
しかし、抜け道を見つけるとゴールまで駆け抜け、2着馬トミードック(Tommy Docc)に半馬身差をつけて優勝した。
この勝利のあと、最多勝記録について聞かれたムーア騎手は、すぐにスポットライトを優勝馬に向けた。「本当にラッキーです。騎乗馬に恵まれましたので、それが大きな決め手となりました」と同騎手は語った。
「このレースは、馬群がかたまったため、駆け引きの難しいレースでした。容易に抜け出せず、思い通りのポジションにつけられなかったので、ゆっくり様子を伺いながら走りました」。
「道中少しズブかったのですが、馬群の中に入れたら、自らゴールまで加速して進んでくれました。有望な馬です」。
このレース後、共同馬主であるジョン・マグニア(John Magnier)氏は、主戦騎手を手放しで称え、「とても謙虚な人で、素晴らしい騎手であるとともに、良き友人です」と語った。
もう1人の共同馬主であるマイケル・テイバー(Michael Tabor)氏は、次のように続けた。「あと1日ありますが、彼にとって素晴らしいロイヤルアスコット開催となったことを喜んでいます。今週はずっと見事な騎乗ぶりを見せてくれています」。
アロフトの代表馬主であるデリック・スミス(Derrick Smith)氏は、「ムーア騎手は、レスター・ピゴット(Lester Piggott)、マイケル・キネーン(Michael Kinane)、ジョン・ムルタ(John Murtagh)、フランキー・デットーリ(Frankie Dettori)などの最高の騎手の仲間入りを果たしました」と語った。
ピゴット元騎手はムーア騎手に敬意を表し、次のように語った。「ムーア騎手は素晴らしい騎手であり、誰もがそれを分かっています。1週間で9勝することは素晴らしい偉業ですが、それを厳しい競走が繰り広げられるロイヤルアスコット開催で果たしたことは驚異的です。これからも、ムーア騎手が他の多数の記録を塗り替え続けることを確信しています」。
ムーア騎手は、世界一の騎手と広く認められている。2014年にはG1・15勝という輝かしい成績をあげ、ロンジン・ワールドベストジョッキー賞(Longines World’s Best Jockey Award)を受賞した。また、今年は英1000ギニーと英2000ギニーの両方で優勝した。
同騎手は今年すでに44勝し、リーディングのトップに立っており、2位のリチャード・ヒューズ(Richard Hughes)騎手に10勝差をつけている。
By Lydia Symonds
[Racing Post 2015年6月19日「Magical Moore makes history at Royal Ascot」]