UAEダービー馬ムブターヒジ、薬物無しでケンタッキーダービーに出走(アメリカ)[その他]
マイク・デ・コック(Mike de Kock)調教師は、ケンタッキーダービー(G1)に向け、管理馬ムブターヒジ(Mubtaahij 3歳 父ドバウィ)をドバイから米国に遠征させる新たな経験をすることになった。このため、南アを拠点とする同調教師には、臨機応変の行動が求められるが、競走当日に薬物を使用しない方針を変えるつもりはないようである。
UAEダービー馬ムブターヒジは、これまでフロセミド(商品名ラシックス、別名サリックス)を使用して出走したことがない。ケンタッキーダービー(5月2日)でもフロセミドを使用せずに出走する予定であり、同レースにおいてフロセミド非投与馬の出走は10年ぶりとなる。
デ・コック調教師は、次のように語った。「ムブターヒジは鼻出血を発症したことがなく、ラシックスの投与下で出走させたことはありません。このため、一度も使ったことのない薬物を投与して勝負させるつもりはありません。使用しなくても好調です。ラシックスを投与したほうがよく走る、よく走らないと評価できるほど、使用経験はありません。南アでは調教時にごく微量を投与することはありますが、鼻出血を発症したことがないムブターヒジには使用していません。ラシックスを使用すれば、よく走るかもしれませんし、その逆かもしれませんが、実験するつもりはありません。彼にラシックスを投与しようと考えたこともありません」。
ケンタッキーダービーにおいて、直近のラシックス非投与出走馬は2005年のドントゲットマッド(Don't Get Mad)であり、4着であった。また、その前年には、非投与出走馬であるライオンハート(Lion Heart)がスマーティージョーンズ(Smarty Jones)の2着となっている。ラシックス非投与であった直近のケンタッキーダービー優勝馬は、1996年のグラインドストーン(Grindstone)である。
ムブターヒジは、すでに普段とは異なる事態に直面している。国際輸送規定のため、同馬を担当する厩務員は米国に同行できなかった。また、デ・コック調教師が調合した特別な配合飼料を米国で給餌することは、認められなかった。飼料の変更は、ムブターヒジにとって大きな試練となるだろう。デ・コック調教師は、「柔軟に対応しなければならないので、迅速な決定を心掛けています」と述べた。
レース前のスケジュールにも、変更が生じた。ムブターヒジは当初、アーリントンパーク競馬場で2日間の検疫を受けたのち、ケンタッキー州ゴーシェン近郊のスカイライト調教センター(Skylight Training Center)に輸送され、その後チャーチルダウンズ競馬場に向かう予定であった。しかし、同馬は検疫後もアーリントンパーク競馬場に留まり、その後直接チャーチルダウンズ競馬場に向かうことになった。デ・コック調教師は、2013年にジアパッチ(The Apache)をアーリントンミリオン(G1 芝)に出走させた経験があり、次のように語った。「ポリトラック馬場で仕上げるほうがベターと感じています。アーリントンパーク競馬場は馴染みがあるので、とても居心地がよく、皆さんに歓迎されました。ムブターヒジの調教には、最適な環境です」。
4月15日にドバイを出発して米国に到着したムブターヒジは、アーリントンパーク競馬場のポリトラック馬場で調教され、4月27日夜に馬運車でチャーチルダウンズ競馬場に輸送される予定である。デ・コック調教師自身は、4月26日にケンタッキー入りする。同調教師は、「ムブターヒジの調教はアーリントンパーク競馬場で実施し、チャーチルダウンズ競馬場へ輸送後は、4月28日から5月1日にパドックや発馬機などのスクーリングを実施するつもりです」と語った。デ・コック調教師にとってムブターヒジは、初めてのケンタッキーダービー出走馬である。同馬は、UAE2000ギニー(G3・1600m)で頭差の2着となった後、アルバスタキヤ(リステッド・1900m)で優勝し、その後のUAEダービー(G2・1900m)では8馬身差の勝利をあげている。
By Claire Novak
[bloodhorse.com 2015年4月17日「No Medication for Mubtaahij in Kentucky Derby」]