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2014年12月25日  - No.51 - 2

2015年から騎乗予定馬が出走取消となった騎手の騎乗手当を一部補償(イギリス)[開催・運営]


 2015年から、騎乗予定馬がレース直前に出走取消となり損害を受けた騎手に対し、馬主が騎乗手当の40%相当額を補償することになる。

 該当する騎手は、ウェザビーズ社(Weatherbys)の馬主の口座からこの新たな手当を直接支給され、その額は、平地競走で47.32ポンド(約8,800円)、障害競走で64.60ポンド(約1万2,000円)である。また、このことは施行規程に明記される予定である。

 馬主の負担を増やさないために、少なくとも2015年においては、騎手側は毎年行われる通常の騎乗手当の引き上げを求めないことに同意した。来年の騎乗手当は平地118.29ポンド(約2万1,900円)、障害161.51ポンド(約2万9,900円)で据え置きとなる。

 騎手たちは無駄となった移動に対する補償を長年求めてきたが、2015年1月1日から騎乗予定馬が競走当日の午前9時以降に出走取消となった場合には補償を受けることになる。

 この提案に同意したすべての関係団体、すなわち騎手協会(Professional Jockeys Association: PJA)馬主協会(Racehorse Owners Association: ROA)およびBHA(英国競馬統轄機構)は、この同意によって、トップクラスには属さない騎手の出費を賄うことができるのに加え、出走頭数の増加にわずかながらもプラスの効果が与えられることを期待している。

 PJAのCEOポール・ストラサーズ(Paul Struthers)氏は、次のように語った。「競馬場に到着して、騎乗予定馬が出走しないことをただ知ることほど、騎手を失望させることはありません」。

 「私たちの分析によれば、この措置は個々の馬主にほとんど負担を掛けず、トータルでみれば最悪の場合でも、この同意で引き換えとなった来年の騎乗手当の引き上げに要する額をわずかに上回るだけです」。

 「騎乗手当の引上げ率はたった1〜1.5%程度にしかなりそうにありませんし、そこから多種多様な控除が行われます。この出走取消手当ならば自身のエージェントへの手数料が控除されるだけとなるでしょう」。

 ウェザビーズ社が自動的に出走取消手当を分配することで、該当騎手はその金額を臨機応変に譲渡あるいは返還することができるようになる。

 たとえば、騎乗する予定だった馬に乗り替わりが生じ、その後午前9時以降にその馬が出走取消となり自身は他の騎乗馬を得ていた場合、取り消しとなった馬への乗り替わりを指名された騎手に出走取消手当を譲ることとなるだろう。

 また、もしも競走当日の午前9時以降に騎乗予定馬が致命的な故障を負った場合には、騎手はその出走取消手当を馬主に返還することになるだろう。

 BHAの渉外・企画担当理事ウィル・ランブ(Will Lambe)氏は次のように語った。「レース直前の出走取消は、馬主、調教師そして賭事客の誰にとっても不満を生じさせるものであり、とりわけ金銭面で迷惑を被る騎手に直接的な影響を与えます。私たちは建設的な議論を交わし、馬主の負担をほとんど増加させることなくこの問題に対処する解決策に達したことに満足しています」。

 「また、BHAは最近、出走頭数減少問題の改善を目指した多くの提案の一環として出走取消率の低下を目指し、出走取消の制度とプロセスの見直しも発表しました。この見直しは現在進行中です」。

 ROAのCEOリチャード・ウェイマン(Richard Wayman)氏は次のように語った。「現在の出走取消頭数を基にすれば、出走取消手当に係る馬主の負担額は、実施されるはずだった騎乗手当の引上げ分に相当するので、全体的に馬主の負担を増加させることなく不運な騎手を援助することができることになります」。

By Bruce Jackson
(1ポンド=約185円)

[Racing Post 2014年11月29日「Jockeys to be compensated for late non-runners from January」]


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