PMUの2013年競馬賭事発売金総額は減少（フランス）［開催・運営］

　競馬賭事の発売金は15年間増加してきたが、2013年はその流れが途切れ、2012年の0.5％増加に対して1.8％の減少となった。

　PMU（フランス場外馬券発売公社）全体の売得金（勝馬投票券の発売金から払戻金を引いたもの）は2013年に0.6％増加し25億4,170万ユーロ（約3,558億3,800万円）となったが、発売金総額は0.9％減少し104億500万ユーロ（約1兆4,567億円）となった。PMUのフィリップ・ジェルモン（Philippe Germond）会長は1月6日朝の会見で、次のように評価した。「2013年の発売金総額はわずかに減少しましたが実際の収入総額となる売得金が増加したのですから、PMUは経済不況において全体的によく持ちこたえました」。

　PMUの還元率は、フランス宝くじ公社（Française des Jeux）の還元率（2012年：65.4％）を断然上回っているが、2012年は75.97％であったのに対し2013年は75.56％となり0.4ポイント減少した。

　多様な賭事を提供するインターネット賭事（pmu.fr）では、スポーツ賭事は好調で発売金は22.4％増の1億9,900万ユーロ（約278億6,000万円）となり、またポーカー市場自体は低迷しているが、PMUのポーカーの発売金は10％増の5億6,990万ユーロ（約797億8,600万円）となった。このことはPMUが競馬以外の部門にしっかり定着したことを示しており、2010年にインターネット賭事が開放されたときに事業を多様化する選択をしたことが正しかったと証明された。ポーカーとスポーツ賭事の貢献で、インターネットの発売金総額は3.6％増の17億1,200万ユーロ（約2,396億8,000万円）となった。

　それに対し、カジノが4.5％減、宝くじのユーロミリオンズ（訳注：欧州9ヵ国で発売されている人気の数字選択式宝くじ）が8.3％減となったのと同様、競馬賭事は他の古い娯楽と同様に低迷していることを認めざるをえない。PMUの店舗発売金総額は、（昨年フランス宝くじ公社の店舗発売金総額が1.7％増加したにもかかわらず）5.3％減少し79億8,000ユーロ（約1兆1,172億円）となり、インターネットでの発売金総額は3％減少し9億4,320万ユーロ（約1,320億4,800万円）となった。マルチメディア発展のこの時勢を考慮に入れれば、これはかなり懸念される事態である。ジェルモン会長は、競馬賭事の発売金総額の減少の大きな要因として、経済不況だけでなく、出走頭数の減少とカンテ馬券（5連単・複馬券）発売レースが2012年に比べ4レース（3レースが中止）少なかったことを挙げた。しかし、競馬賭事の発売金総額の減少を“わずか”1.8％にとどめることができたのは、海外における競馬賭事の発売金が93.6％増の6億3,830万ユーロ（約893億6,200万円）となり、大幅な収入増加が寄与したからである。「フランス競馬とその映像の輸出戦略は成功しています。さらに、2013年にベルギーの賭事業者ユーロティエルセ（Eurotiercé）を買収したことでベルギーでの売上げが1年で4倍にもなり、私たちは極めて満足しています。2014年には新たに1社か2社を買収することを目標としています」と同会長は語った。

　また、2014年の競馬賭事の展望について次のように語った。「2014年も競馬賭事の発売金は低迷すると見ていますが、2013年よりも減少幅は小さいもの（0〜5％）となるでしょう。私たちは引き続き事業費と人件費を厳しく管理します」。

　また同会長は競馬界への資金の還元を請け合い、自身が再び次期会長に立候補するときには、行った投資によって活力を回復し恩恵を与えたいとしている。
 

 
By Sylvain Copier
（1ユーロ＝約140円）

［Paris Turf 2014年1月7日「Les enjeux hippiques en mode décroissance」］