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2014年10月16日  - No.41 - 2

モルヒネ検出事件で渦中の飼料会社、関係者の賠償請求に対応(イギリス)[獣医・診療]


 この夏発生したモルヒネ検出事件の渦中にある飼料会社は、その保険業者が賠償請求に応じる過程にあることを発表した。

 ドッドソン&ホーレル社(Dodson & Horrell:D&H)は、9月25日のBHA(英国競馬統轄機構)の公聴会で勝馬5頭を含む計7頭が失格と裁定されたすぐ後に、この発表を行った。失格馬の中にはエリザベス女王が所有しサー・マイケル・スタウト(Sir Michael Stoute)調教師が管理するエスティメイト(Estimate)がおり、ゴールドカップ(G1)2着で獲得した賞金8万625ポンド(約1,411万円)をはく奪された。

 予想された通り、この事件に関与した調教師5人は、汚染飼料が陽性反応の原因と見られたことから、過怠金支払いを免れることができた。

 バリー・ヒルズ(Barry Hills)調教師とガイ・ケルウェイ(Gay Kelleway)調教師は、勝馬が失格となったレースの賠償請求を行うことをすでに表明したが、ヒルズ調教師の息子チャーリー・ヒルズ(Charlie Hills)調教師とトニー・キャロル(Tony Carroll)調教師も9月25日にそれぞれ1頭の勝馬に失格の裁定が下された。

 D&Hは2006年と2007年、飼料2束がモルヒネに汚染されていたことの責任を負い、9頭の馬の関係者が失った賞金を賠償した。

 D&Hは声明において次のように述べた。「D&Hは、アルファルファオイルプラス(Alfalfa Oil Plus)という商品に使われている第三者が製造した成分が汚染の原因となった可能性があるという情報を提供しました」。

 「D&Hは、第三者である供給者の業務についてコメントすることは一切できません。賠償問題はD&Hの保険業者の管理下にあります」。

 BHAのジェイミー・スティア(Jamie Stier)理事は次のように語った。「競走当日、馬体内に禁止薬物が見つかれば、失格にせざるを得ません。この禁止物質の投与は偶発的なものであり、これらの馬の関係者に何の落ち度もありませんが、私たちの方針は全参加者への平等な競争条件を確保することを基軸としているので、これ以外の方針を受け入れることはできないでしょう」。

 エリザベス女王の競馬におけるアドバイザーのジョン・ウォレン(John Warren)氏は次のように語った。「私たちは懲戒委員会が出した結果を受け入れます。BHAが公正な調査を行い、エスティメイトを含む7頭に陽性反応が出たのは汚染飼料が原因であったと結論づけたことに感謝しています」。

 「また、スタウト調教師など5人の調教師がルール違反を避けられるよう合理的な予防措置を採ることをBHAが認めたことを歓迎しています」。

 10月16日には、アルファルファオイルプラスを使わなかったのに出走馬からモルヒネの陽性反応が出たイヴ・ジョンソン・ホートン(Eve Johnson Houghton)調教師への事情聴取が行われる予定である。

By Graham Green
(1ポンド=約175円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2007年No.2「6頭の競走馬のモルヒネ検出事件(イギリス)

[Racing Post 2014年9月26日「Morphine test horses disqualified」]


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