香港ジョッキークラブ、米国への遠征馬のラシックス使用を容認せず(香港)[獣医・診療]
香港のマイケル・チャン(Michael Chang)調教師は、ブリーダーズカップの前哨戦として10月のサンタアニタスプリントチャンピオンシップにリッチタペストリー(Rich Tapestry)を出走させる予定であるが、香港ジョッキークラブ(Hong Kong Jockey Club: HKJC)は米国でラシックス(フロセミドの商品名、別名サリックス)の使用が合法とされているにもかかわらず、同調教師がこの抗出血剤を使用することを禁じた。
現在行われている薬物使用問題の議論において、この興味深く、また、大きなねじれを生む可能性のある強硬姿勢は、チャン調教師にとって打撃となる。G3勝馬リッチタペストリーは運動誘導性肺出血(exercise-induced pulmonary hemorrhage:EIPH)を4回発症したことが記録されている。米国では一般的に、調教師たちはこれを防ぐためにラシックスを使用している。
HKJCの競走当日薬物使用に対する“ゼロ・トレランス主義(どんな小さな違反も見逃さない考え方)”は、リッチタペストリーが海外で出走する時でも撤回されない。
「香港調教馬は薬物無しで出走するというHKJCの姿勢に交渉の余地は無いので、チャン調教師とリッチタペストリーの馬主は、サンタアニタ競馬場のいずれのレースにおいてもラシックスを使わないことに同意しました」とHKJCの競走担当理事ビル・ネーダー(Bill Nader)氏はサウスチャイナモーニングポスト紙(South China Morning Post)に語った。
同氏は次のように続けた。「欧州調教馬は毎年米国のレース、とりわけブリーダーズカップに挑戦し、“使わなければ不利となる”という理由で大半がラシックスを使用していますが、これは競馬というスポーツにとって残念なことです」。
「馬をどの国で出走させようが調教拠点の国のルールに従いラシックス使用を拒否すれば、競馬全体にとってより良いことになるでしょう。残念ながら欧州調教馬の関係者はそうしませんが、香港の場合は妥協の余地はありません」。
By Chris Humpleby
[Racing Post 2014年9月6日「No compromise on Lasix for Hong Kong’s Breeders’ Cup hopeful」]