賭事賦課金の対象範囲拡大についての意見募集を開始(イギリス)[その他]
英国政府は6月26日、海外賭事業者も賦課金徴収の対象にすることについて競馬界と賭事産業から意見募集を開始するに当たり、英国競馬界が発展することを望んでいると述べた。
8月21日に終了する8週間のパブリックコメント(意見募集)のプロセスは、賦課金徴収の対象範囲拡大の実現性についての意見を収集することを目的としている。
『競馬賭事賦課金の対象範囲拡大―実施に向けてのパブリックコメント』と題された文書において明らかになったのは、賭事法(免許&広告)案の議会通過の間に自らの意向を表明していた政府であるが、賦課金の課税対象範囲を広げるか広げないかというよりも、どのように拡大するかについてパブリックコメントを行ったことである。
大臣達は、この変更は国内と海外の賭事業者に公平な条件を与え、すべての賭事業者が、競馬の質の維持や公正確保、馬の医療、生産などの活動のための資金調達に貢献することになるだろうと語った。
競馬産業は、海外に拠点のある賭事業者による英国競馬を対象とした賭事により、年間2,000万〜2,500万ポンド(約35億〜44億円)の財源が失われていると推定している。なお、政府は、推計方法にもよるが、最も有力な推計では1,000万〜3,000万ポンド(約18億〜53億円)の範囲であろうと述べている。
スポーツ・賭事担当大臣であるヘレン・グラント(Helen Grant)氏は、「英国競馬産業は、全国の地域経済の重要な一部であり、その雇用、事業および発展を支えています。それに非常に人気のあるスポーツでもあります」と語った。
そして次のように続けた。「私たちは競馬産業が発展し続けることを望んでいます。賦課金の徴収対象を海外賭事業者にまで広げることによって、競馬の質の維持や改善に役立てるための資金提供について、国内外の賭事業者が公平となるような状況を作ることになるでしょう」。
政府は、2015年の第55回賦課金交渉が、徴収対象範囲の拡大に基づいて行われるよう、必要なすべての準備を期間内に完了することを望んでいると述べた。パブリックコメントに対する政府の回答は今秋の後半を予定しており、政省令の策定は1月〜3月の間に予定されている。
しかし、3月31日までに欧州委員会(European Commission)が承認しなければ、実施は2016年の賦課金交渉まで先送りされるかもしれないと、政府は注意している。
それと同時に、賦課金スキームを勧めるに当たり中心的な役割を担っているブックメーカー委員会(Bookmakers’ Committee)は、拡大される賦課金に関係する全ての賭事業者の意見を反映するために、そのメンバーを見直すつもりだ。
BHA(英国競馬統轄機構)のCEOポール・ビター(Paul Bittar)氏は、パブリックコメントの発表を歓迎するとともに、競馬界と賭事産業の共通の利益を強調し、次のように語った。
「私たちは今、競馬の資金調達方法を改革するのに一世代に一度あるかないかのチャンスを手に入れています。そしてこのパブリックコメントが、競馬の大きな発展や、雇用と国際投資を増加させる持続可能な中央資金調達モデルに向けた最初の一歩となるはずです」。
遠隔賭事協会(Remote Gambling Association)はあまり気乗りしていなかった。CEOのクライヴ・ホークスウッド(Clive Hawkswood)氏は賦課金対象範囲拡大に対する政府の路線変更は、「驚きであり失望である」と語った。
そして次のように続けた。「このアプローチはよく考え抜かれたものとは思えませんが、パブリックコメントの実施は制度の実現性について検討するあらゆる機会を私たちに与えてくれるでしょう」。
現行の賦課金制度をさらに現代的なものにするなど、より広範囲にわたる賦課金制度改革案についてのもう1つのパブリックコメントは、今年中に発表されるだろう。
選挙区にニューマーケットを含む下院議員のマシュー・ハンコック(Matthew Hancock)氏は、二つのパブリックコメントについてのニュースを歓迎し、次のように語った。
「私は長い間、“競馬権”が必要であると主張してきました。それは英国が遅れを取るのを防ぎ、競馬という輝かしいスポーツに輝かしい未来を与えるために、競馬界の資金調達方法を近代化し安定化させるために必要なのです」。
By Bill Barber
(1ポンド=約175円)
[Racing Post 2014年6月27日「Exercise confirms extension of levy」]