平地シーズン終了で各部門のリーディングが決定(イギリス)[その他]
7ヵ月少し前にここドンカスター競馬場で雪の中で開始された平地シーズンは、11月のじめじめして暗い昨日の午後終了した。
しかし、ジェイソン・ハート(Jason Hart)騎手はほとんど誇らしげになることはなく、ほっとしていた。夏の終わり以降見習い騎手ランキングのトップに立ち、ジュニアタイトルを圧倒的な強さで獲得してついに目標を達成した。
故郷ホーイックの家族や友人は、10代のハート騎手が実力どおり栄冠を手に入れるのを目にするためはるばるやってきた。エージェントのアラン・ハリソン(Alan Harrison)氏は、その場に不在だったことで人目を引いたが、コメントのチャンスが失われてしまうことにはならず、同氏は、「ジェイソンは信じられないことを成し遂げました。51勝を挙げ、そのうち45勝が所属厩舎以外の馬によるものでした」と述べた。
ハート騎手は、名前が知られるようになる機会を作り躍進する道を切り開いてくれたのは師匠のデクラン・キャロル(Declan Carroll)調教師である、と認めた。そして、「感謝すべき人々が沢山います。それは、今シーズン大いに支えてくれたデクランやアランのほかすべての調教師や馬主の皆さんです」と語った。19歳の同騎手はこのほか、エリック・アルストン(Eric Alston)氏、ティム・ウォルフォード(Tim Walford)氏、キース・ダルグレイシュ(Keith Dalgleish)氏、ルース・カー(Ruth Carr)氏の名を挙げた。
「長い間、トップとなることはほとんど考えもしませんでした。リーディング争いはトーマス・ブラウン(Thomas Brown)騎手などとの接戦だったからです。4頭の勝馬のお蔭で、シーズンの最終週をこのような形で終わることができ、その結果51勝を挙げられたことを特に嬉しく思っています。
ハート騎手は冬の間騎乗する計画はなく、「現在通算76勝で、あと20勝して95勝になれば減量がとれるので、来年躍進するためにこれらの実績を守っていくことが大切であると考えています」と語った。
ハート騎手は来年再び見習い騎手ランキングを制する可能性がある。昨日同僚騎手に胴上げされるとともにナンバーワンの座を手に入れた騎手として強制的な水かけの洗礼を受けたとき、そのことを考えていたかは定かではない。
一方リチャード・ヒューズ(Richard Hughes)騎手には実情が分かっている。師匠のリチャード・ハノン(Richard Hannon)調教師が5回目のリーディングを獲得したこの重要な年を終えてリーディングタイトルを守った同騎手は、水とシャンパンでずぶぬれになっていた。
ヒューズ騎手にとって200勝以上を挙げたことについて考えを巡らせる時間は現在ほとんどない。同騎手は、南アフリカ、日本、香港およびインドに遠征しており、その後1月にバルバドスのカリブの太陽の下でようやく充電期間を得ることができる。
同騎手は、「来年また騎乗するときには記録はゼロから始まるわけですからね。しかし私たちは多くのいい馬に恵まれ非常に幸運でした。将来は明るいと思っています」と語った。
また、9月にここドンカスター競馬場で開催されたセントレジャーフェスティバルで落馬して背中と骨盤を骨折し戦線離脱中のヘイリー・ターナー(Hayley Turner)騎手にとっても将来は明るく、プロリンクス女性騎手チャンピオンシップ(Prolinx Female Jockeys' Championship)で金賞を獲得したあと、「調教を再開しています」と語った。なお、ロージー・ジェソップ(Rosie Jessop)騎手が銀賞、ジェニー・ファーガソン(Jenny Ferguson)騎手が銅賞を受賞した。
状況が上向いて活躍すれば賞は再び授与されるようだ。ゴドルフィンには9回目のリーディングオーナーのタイトル、ゲイリー・マホン(Gary Mahon)騎手には第1回ヨークシャー将来スター騎手賞が贈られた。またコックオブザノース賞を受賞したジョー・ファニング(Joe Fanning)騎手に代わって、マーク・ジョンストン(Mark Johnston)調教師の妻であるディアドラ・ジョンストン(Deirdre Johnston)氏が帽子を受け取り、「ジョーは私たちの厩舎のために18年騎乗してくれており、受賞する価値が大いにあります」と語った。
平地競走の各部門のリーディング(2009年〜2013年) | |||
調教師 | 見習い騎手 | 馬主 | |
2009年 | サー・マイケル・スタウト調教師 |
フレディ・ティリキ騎手 (Freddie Tylicki) |
ハムダン殿下 (Hamdan Al Maktoum) |
2010年 | サー・マイケル・スタウト調教師 |
マーティン・レーン騎手 (Martin Lane) |
アブドゥラ殿下 (Khalid Abdullah) |
2011年 | リチャード・ハノン調教師 |
マーティン・ハーレー騎手 (Martin Harley) |
アブドゥラ殿下 |
2012年 | ジョン・ゴスデン調教師 |
エイミー・ライアン騎手 (Amy Ryan) |
ゴドルフィン |
2013年 | リチャード・ハノン調教師 | ジェイソン・ハート騎手 | ゴドルフィン |
リーディングジョッキー(2004年〜2013年) | ||
2004年 |
フランキー・デットーリ騎手 (Frankie Dettori) |
192勝 |
2005年 |
ジェイミー・スペンサー騎手 (Jamie Spencer) |
163勝 |
2006年 |
ライアン・ムーア騎手 (Ryan Moore) |
180勝 |
2007年 |
セブ・サンダーズ騎手 (Seb Sanders) ジェイミー・スペンサー騎手 |
190勝 |
2008年 | ライアン・ムーア騎手 | 186勝 |
2009年 | ライアン・ムーア騎手 | 174勝 |
2010年 |
ポール・ハナガン騎手 (Paul Hanagan) |
191勝 |
2011年 | ポール・ハナガン騎手 | 165勝 |
2012年 | リチャード・ヒューズ騎手 | 172勝 |
2013年 | リチャード・ヒューズ騎手 | 203勝 |
By Tom O’Ryan
[Racing Post 2013年11月10日「We are the champions」]