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海外競馬ニュース
2013年05月02日  - No.18 - 4

アル・ザルーニ調教師の管理馬からのステロイド検出で関係者に衝撃(イギリス)[その他]


 ゴドルフィンのマフムード・アル・ザルーニ(Mahmood Al Zarooni)調教師は、トップクラスの牝馬サーティファイ(Certify)など多くの管理馬から採取されたサンプルからアナボリック・ステロイドが検出され、競馬施行規程違反であることを認めたことから、調教師免許のはく奪の可能性がある。

 無敗のG1馬サーティファイは、現在オッズ7-1(8倍)で4番人気となっている英1000ギニー(G1 5月5日ニューマーケット競馬場)に現時点で出走できなくなった。

 ゴドルフィンのレーシングマネージャーであるサイモン・クリスフォード(Simon Crisford)氏は、「ゴドルフィンにとって失意の日です」と語った。

 BHA(英国競馬統轄機構)の調査員がニューマーケットのモールトン調教場(Moulton Paddocks)にあるアル・ザルーニ厩舎を捜査したところ、多くの馬に禁止薬物が使用された痕跡が認められ、その中の1頭であるサーティファイは英1000ギニーへの出走が取り消された。

 2012年に世界最高賞金額を誇るレースのドバイワールドカップをモンテロッソ(Monterosso)で制したアル・ザルーニ調教師は、禁止薬物の投与に関与したことを認めた。

 クリスフォード氏は、「私たちは皆、今回起こったことに衝撃を受けています。モハメド殿下(Sheikh Mohammed)はこのことを聞いたときに愕然とし、これは同殿下にとってはまったく受け入れられない出来事でした」と語った。

 ゴドルフィンは、BHAの調査結果を待ってから、更なる内部措置を採ると述べた。

 クリスフォード氏は、「モハメド殿下からは、手順と管理方法のすべての見直しに早急に着手するよう指示を受けました。すでに着手しており、それを仕上げるためにBHAから助言を受け入れるつもりです」と付言した。

 アル・ザルーニ調教師は声明において次のように語った。「今回起きたことを深く反省しています。私は最悪の過ちを犯しました。関係した馬はその当時レースに出走していなかったので、私が行っていたことが施行規程に触れるとは意識していませんでした。このことがゴドルフィンと競馬界全体に引き起こす打撃に対して謝罪するのみです」。

 BHAの声明は、実施された“調教中薬物検査”のサンプリングプログラムの結果として、サーティファイをはじめとする全11頭が出走を停止されると発表した。BHAは合計45頭の馬を4月9日抜き打ちで薬物検査をしたが、この12ヵ月間においてアル・ザルーニ調教師の管理馬の2頭から陽性反応があったことからを行ったものであると述べた。

 BHAがHFL運動科学研究所(Horseracing Forensic Laboratory Sports Science)から、結果的に11頭のサンプルに禁止薬物のエチルエストレノール(ethylestranol)またはスタノゾロール(stanozolol)が存在したとする勧告書を受け取ったのは、4月22日になってからであった。

 デザートブロッサム(Desert Blossom)、サーティファイ、フェアヒル(Fair Hill)、ゴーストフラワー(Ghostflower)、オークニーアイランド(Orkney Island)、スウィートローズ(Sweet Rose)およびヴァレーオブクイーンズ(Valley Of Queens)がエチルエストレノールの陽性反応、またアルティジャーノ(Artigiano)、バスラットアマル(Bathrat Amal)、オピニオンポール(Opinion Poll)およびリストレイントオブトレード(Restraint Of Trade)がスタノゾロールの陽性反応を示した。

 BHAの公正・法律・リスク担当理事であるアダム・ブリッケル(Adam Brickell)氏は、「エチルエストレノールとスタノゾロールはいずれもアナボリック・ステロイドであり、英国の競馬施行規程では調教中とレース中に常に使用を禁止されている薬物です。アル・ザルーニ調教師は分析結果を知らされており、調査員の訪問を受けていました」と語った。

 そして次のように続けた。「分析結果に対する懲戒委員会の調査は早急になされ、その詳細が発表される予定です。陽性反応が出た馬はすぐにレースへの出走を停止され、長期間継続されます。現在進められている処分手続きの中で、どれだけの出走停止期間となるかの決定がなされるでしょう」。

 「BHAは、賭事市場への影響があるのでこの手続きを出来るだけ早急に実施することが重要であると分かっているはずです」。

 ラドブロークス社(Ladbrokes)は、ホットスナップ(Hot Snap)のオッズを英1000ギニー(5倍→4倍)でもオークス(11倍→9倍)でも下げた。そして英1000ギニーでのジャストザジャッジ(Just The Judge 7倍→6倍)およびホワットアネーム(What A Name 7倍→6倍)およびモリーン(Maureen 13倍→11倍)も下げた。ベットヴィクター社(BetVictor)も、英1000ギニーの出走馬確定前にサーティファイに賭けられた賭金すべてを返還するだろう。

 またハワード・ジョンソン(Howard Johnson)調教師も過去に、調教中の馬にアナボリック・ステロイドを投与したことから1年間の業務停止処分を受けたが、BHA懲戒委員会は行為は“英国競馬の公正確保と信頼性に深刻な打撃を与えた”と結論付けた。

 ゴドルフィンにおけるアル・ザルーニ氏は調教師として成功しており、モンテロッソのドバイワールドカップ優勝に加え、英1000ギニー、愛オークス、セントレジャーおよびロイヤルアスコット開催で数々の勝利がある。

 アル・ザルーニ調教師は、アラブ首長国連邦の最優秀調教師であるアリ・ラシッド・アリ・ライヒ(Ali Rashid Al Raihe)調教師とその後のムバラク・ビン・シャフヤ(Mubarak bin Shafya)調教師の助手として頭角を現わし、ロッド・シンプソン(Rod Simpon)調教師と共にアラブ馬の調教に携わることとなり、モハメド殿下に雇用されていた。

By Tony Smurthwaite

[Racing Post 2013年4月22日「Shock as Al Zarooni stars test positive for steriods」]


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