BHAの2012年主要経費、約5%削減(イギリス)[開催・運営]
BHA(英国競馬統轄機構)の理事会が年間予算を2,900万ポンド(約37億7,000万円)と設定したことで、2012年の英国競馬運営のための主要経費は5%近く削減される。この予算は、BHAが初めて通年で競馬運営を行った2008年の予算を12%下回る。
一方でBHAは、収入の内とりわけ出馬登録料減少のために、競馬場、馬主、調教師および騎手の免許取得や登録の手数料を全体的に2.5%増加させることを余儀なくされた。
12月29日のレーシングポスト紙は、BHAが自らの積極的な動きをツイッターで示そうとしたものの愚弄の対象となった“クリスマスの12のツイート”の1つを詳しく説明した。
広報の専門家であるピアーズ・ポッティンジャー(Piers Pottinger)氏は、「あのツイートは、“2011年の大問題”としての“競馬運営の悲惨な状況”を見逃しています」と語った。
BHAのツイートの1つは、「BHAの2012年の予算は2008年よりも400万ポンド(約5億2,000万円)少なく、2011年よりも150万ポンド(約1億9,500万円)少ない。年間の賭金が100億ポンド(約1兆3,000億円)である競馬において、経費総額は2,900万ポンド(約37億7,000万円)になるだろう)」と指摘していた。
競馬変革プロジェクト(Racing For Change)を実行する子会社のレーシングエンタープライズ社(Racing Enterprises Ltd.: REL)の経費を除き、BHAの管理と規制のために2,900万ポンド(約37億7,000万円)の予算を設定することで、ポール・ロイ(Paul Roy)会長が定めた主要経費を3年間で10%以上削減するという方針は堅持される。
ロイ会長は12月29日、「BHAは過去4年間に間接費と直接費を大幅に削減しただけでなく、同時に競馬の水準を上げサービスを向上させたと信じています。私たちは2012年もこのことに取り組んでいくつもりです」と語った。
同会長は、「私たちは賦課金収入が減少している時期に経費を節減する重要性を認識しています。BHAの経費削減措置によって、競馬賭事賦課公社(Levy Board: 賦課公社)は、この措置がなかった場合よりも多くの賞金額への資金提供を行うことができました」と付け足した。
調教師や騎手への登録手数料の引上げは2008年以来初めてであるが、馬主は2年連続で手数料の引上げに直面する。2011年に現役馬1頭あたり約100ポンド(約1万3,000円)であった登録手数料が、2012年は約8ポンド(約1,040円)引上げられる。
この手数料引き上げにより30万ポンド(約3,900万円)以上の収入増が見込まれている。
BHAのスポークスマンは、10%の人員削減を含むすべての分野における経費節減が達成されたと述べた。
主要な間接費はさらに削減され、ウェザビーズ社(Weatherbys)やドーピング管理を委託しているHFL運動科学研究所(Horseracing Forensic Laboratory Sports Science)などとの新規契約の経費及び弁護士経費も削減されている。
経費節減がなされているにも拘わらず、2012年の予算は36万ポンド(約4,680万円)の営業損失を見込んでいるため、承認されなかった。更なる削減に取り組む余地は、新しいCEOのポール・ビター(Paul Bittar)氏が2012年1月に就任してからの議題の1つとなるだろう。
経費削減は、有給裁決委員など競馬開催日における職員数には影響を与えないと見られている。なお、開催日における有給裁決委員の数は2年前に削減された。
BHAのスポークスマンは、「競馬開催日に働く職員数を減らす計画はありません」と語った。
予算には、2010年以来賃金が凍結されているBHA職員の賃金を2%引き上げるための繰入額が含まれている。
レーシングポスト紙が伝えるところによれば、当初の賃金1%引上げを拒否した労働組合ユナイト(Unite)との交渉は引き続き行われている。もしこれが未解決のまま推移するならば、両者は調停を行う業者のアカス(Acas)を利用することに同意するだろう。
By Howard Wright
(1ポンド=約130円)
[Racing Post 2011年12月30日「Near five per cent cut for BHA operation as 2012 budget is set」]