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2012年05月31日  - No.23 - 3

NYRA、不当な控除率を適用した嫌疑により役員2名を解雇(アメリカ)[開催・運営]


 15ヵ月間にわたり3連単と重勝馬券に不当な控除率を適用していたことは知らなかったとするNYRA(ニューヨーク競馬協会)の主張に対して、州報告書が異議を申し立ててから5日後の5月4日、NYRAは理事長兼CEOのチャールズ・ヘイワード(Charles Hayward)氏と相談役のパトリック・キーホー(Patrick Kehoe)氏を解雇した。

 NYRAのスティーヴン・ダンカー(Steven Dunker)会長は5月4日の声明において、「NYRAはこれらの役員は理事会が要求するレベルで職務を果たさなかったと断定しました」と述べた。

 州報告書が発表された4月30日に、NYRAの理事会はヘイワード氏とキーホー氏に無期限の無給処分を科した。

 州報告書の発表以来、NYRAはアケダクト、ベルモントパークおよびサラトガのニューヨークの3大競馬場の経営陣から新たに批判の矢面に立たされている。これらの競馬場は州が所有しているが、州議会によって承認された長期的な賃貸契約に基づいてNYRAが運営している。NYRAに対して厳しい批判者の1人がアンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)州知事であり、5月初めのラジオショーに出演し、NYRAの改革は今後数ヵ月州政府における優先事項となるだろうと述べた。

 NYRAの理事会メンバーの数人は、クオモ州知事と親密な関係にある。その中には、クオモ州知事の父親で元ニューヨーク州知事のマリオ・クオモ(Mario Cuomo)氏の下で首席補佐官を務めていたマイケル・デル・ギディス(Michael Del Guidice)副会長が含まれる。さらに理事会メンバーでバーンズ&ノーブル社(Barnes and Noble)の会長であるレオナード・リッジオ(Leonard Riggio)氏はクオモ州知事の主要資金調達者である。

 5月4日午後に理事会メンバーに連絡をとったところ、その日の午前に開かれた会合については“法的問題”なのでコメントすることができないと語っていた。ダンカー会長にもコンタクトをとったが、折り返しの電話はなかった。

 NYRAの理事によれば、NYRAはニューヨーク州競馬賭事委員会(New York State Racing and Wagering Board)によって作成された報告書の中の異議申立てに対して正式に返答するため、5月4日にフランチャイズ監視委員会(Franchise Oversight Board)に書簡を送った。

 州報告の発表をうけて、フランチャイズ監視委員会の委員長で、かつクオモ州政権の予算局長であるロバート・メグナ(Robert Megna)氏は、この申立てが非常に深刻な問題であるとして、州の監察長官による調査を要求した。この監視委員会は州議会がアケダクト、ベルモントおよびサラトガ競馬場を運営するNYRAの施行権をはく奪することを勧告する権限を持っている。

 5月4日のダンカー会長の声明で、NYRAはこの報告に関係する審問に協力すると述べていた。そして、「NYRAは、これらの審問でこの事案を徹底的かつ公平に調査されることを期待しています」と付言していた。

 クオモ州知事の事務所職員は、5月4日午後までに折り返しの電話を当方に掛けてくることはなかった。

 ヘイワード氏はデイリーレーシングフォーム紙の元CEOで、2004年にNYRAに雇用された。同氏は2000年代後半に政治的に困難な破産状態に陥ったNYRAをリードし、NYRAの競馬関係者や他の競馬場の役員に評価されていた。また、キーホー氏は元ニューヨーク州知事ジョージ・パタキ(George Pataki)氏の相談役を務めた後、2002年にNYRAに雇用されていた。

 4月30日に発表された報告書には、ニューヨークの競馬場への控除率上乗せの適用期間が2010年9月に終了することをヘイワード氏が知っていたことを示すEメールが含まれていた。

 控除率上乗せ適用期間終了後も、NYRAの重勝馬券と3連単馬券の控除率は定められた控除率よりも1%上回っていた。当局が控除率の高すぎることをNYRAに指摘する2011年12月まで、NYRAは引き下げなかった。NYRAの理事会とフランチャイズ監視委員会は15ヵ月にわたり控除率が定められた率を超えている過失に気付かなかった。

 報告書には、控除率が定められた率を上回っていると指摘する情報などヘイワード氏向けのEメールのコピーも含まれていた。しかしそれらのEメールは、NYRAが法に反する運営を行っていたことをヘイワード氏が認識していたかどうかは明確に示すものではなかった。キーホー氏からのEメールは、報告書の中に含まれていなかった。一方ヘイワード氏が出したEメールのうち1通は、控除率の不一致に言及するメールをNYRAの法律顧問に転送するつもりだという内容であった。

 報告書によれば、経営陣と法律顧問との間のEメールは機密扱いのため公表できないと主張していた。

By Matt Hegarty

[Daily Racing Form 2012年5月6日「Hayward and Kehoe fired by NYRA」]


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