騎手負傷データベースの設立(アメリカ)[その他]
騎手組合(Jockeys’ Guild)は4月4日、この先の騎手の負傷を防ぐことを目標とした新しいプログラムである騎手負傷データベース(Jockey Injury Database)の設立を発表した。
騎手負傷データベースは、いつ、どこで、どのように負傷したか、事故当時に騎手がどのような保護用装具(ヘルメット・プロテクターなど)を着用していたか、また、負傷の症状および深刻さの度合いなど競馬場で発生した騎手の負傷についての情報を収集する。
騎手が負傷した際、競馬場の医療関係者および騎手組合は守秘義務を徹底したうえで情報を集め、分析のためにデータベースに加える。このデータベースにおいて、騎手たちは名前も負傷した競馬場も特定されることはない。 騎手組合のテリー・ミックス(Terry Meyocks)事務局長は発表において、「私たちは常に、騎手の安全を確保するために競馬場と競馬産業とともに取り組んでいます。このプログラムは競走馬福祉・安全サミット(Welfare and Safety of the Racehorse Summit)で初めて発案され、数年かけて進められてきました。私たちはこの計画が実現することに期待しています。このプログラムの目標は、レース中の負傷を減らす方法を見つけ出すことと、より安全な競馬環境を作り出すことです」と語った。
新しいデータ収集システムは、キーンランド競馬場、ジョッキークラブおよびNTRA(全米サラブレッド競馬協会)の安全・公正協議会(Safety and Integrity Alliance)の協力の下確立された。
キーンランド競馬場は、4月6日に開幕する春開催から始めることで、騎手負傷データを収集する米国初の競馬場となる。
ミックス氏は、「私たちはこの計画がうまくいけば、目標と意図を詳しく説明しより参加を促すために、各競馬場に情報パケットを送ることになります」と語った。
データが収集されることで、負傷傾向が分析される。競馬場がこの計画に参加するための費用は必要なく、データ分析が最終的に医学文献において発表されるときに、提供されたデータを認識することができる。
キーンランド競馬場の医療担当理事でありこのプログラムの共同創設者であるバリー・シュマー(Barry Shumer)医師は発表において、「今後なされるこの情報収集により、他のプロスポーツが米国内外の選手のために行っているように、私たちが騎手の保護用装具、競馬場の馬場タイプ、最初に処置する者の対応、その他多くのことを正しく評価できるようになります」と語った。
また、キーンランド競馬場の理事長兼CEOであるニック・ニコルソン(Nick Nicholson)氏は「競馬界はシュマー医師がこの計画と競馬界のために多くの時間を費やしてくれたことに非常に感謝しています」と語った。
NTRAの安全・公正協議会は、競馬場が認定を求めてくれば騎手負傷データベースへの参加を支持するだろう。
NTRAの安全・公正に関する同盟のマイク・ジーグラー(Mike Ziegler)専務理事は、「私たちが競馬場で発生した事故から知り得るいかなることも、騎手および競走馬の安全性を高めるのに寄与し、競馬にとってプラスとなります。私たちはこのデータベースに参加するために認定申請を行うよう競馬場に働きかけるつもりです」と語った。
なお、 ジョッキークラブとジョッキークラブ・テクノロジーサービス会社(Jockey Club Technology Services Inc.)は、競馬産業への協力の一環として騎手負傷データベースの設立におけるソフトウェア開発を無料で提供した。また、データの収集と分析は、ケンタッキー大学の整形外科およびスポーツ医学科のクリスチャン・ラターマン(Christian Lattermann)博士とカール・マッタコラ(Carl Mattacola)博士が率いる研究チームによって実施される。
By Blood-Horse Staff
[bloodhorse.com 2012年4月4日「Jockey Injury Database Launched」]