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海外競馬ニュース
2011年02月24日  - No.8 - 1

鞭はレース結果に影響を与えないという統計学的な研究結果(オーストラリア)[その他]


 シドニー大学の2人の獣医師が鞭使用はレース結果に違いをもたらさないという分析を発表したことで、オーストラリアにおけるこの新しい研究結果が、鞭使用についての感情的な議論を再燃させるように思われる。

 BHA(英国競馬統轄機構)はこの研究内容を精査するだろう。しかし馬科学・福祉担当理事であるティム・モリス(Tim Morris)教授は1月28日、英国競馬に関係する結論を導き出すのは早計であると述べた。

 この研究は、オーストラリアの王立動物虐待防止協会(Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals:RSPCA)が資金提供を行い、競走中の馬のパフォーマンスへの鞭の影響を調査したものであり、この研究結果の共著者であるデヴィッド・エヴァンス(David Evans)博士は、この結果は競馬における鞭使用の継続を支持するものではなかったと述べた。

 同博士は、「私たちは、一連のレースの走行タイム、どのように鞭が使用されているか、鞭使用がレースの結果に影響を与えているかを調査しました。私たちが発見したことは、鞭を使用することは馬が3着以内で入線する可能性に影響を与えないということでした」と語った。

 そして、「鞭が入れられないレース前半で馬がいかに走るかが、競走で勝利するための最も重要な要素でした。従って馬は、競走の終盤の筋肉疲労に直面している状況で何のプラスもなく鞭を入れられていることになるのです」と付言した。

 この研究に協力したオーストラリア競馬委員会(Australian Racing Board: ARB)のCEOであるアンドリュー・ハーディング(Andrew Harding)氏は、研究結果はそれぞれの専門家により検討されるだろうが、鞭使用禁止を要求するキャンペーンを行っている人々はこの研究につけ入ることは間違いないと述べた。

 モリス教授は次のように語った。「この研究は、鞭使用とパフォーマンスという特定の問題を調査する初めての研究です。非常に限定された状況に焦点を当て、複雑な統計分析を用いて科学的な結論を出しています」。

「私たちはこの研究が示唆していることを理解するために精査を行なうつもりですが、英国競馬に対する結論を導き出すのは早すぎます」。

「これは動物の福祉に関する研究ではなく、単に比較的短距離の平地競走における鞭使用と3着以内入線への影響を検討する研究であると指摘しておくことが重要です。私たちはオーストラリアのRSPCAによる闘争的なアプローチは非生産的であると考えており、英国競馬とRSPCAの建設的な関係の継続こそが動物の福祉のためにより生産的であると評価しています」。

 チャンネル4の競馬評論家ジョン・フランコム(John Francome)氏は鞭使用に対し確固たる考えを持っているが、今回の研究結果には感銘を受けていない。

 以前チャンピオンジョッキーであったフランコム氏は、「大半の馬はベストを尽くして走っていますが、一部の馬のパフォーマンスに鞭が効果を与えることは言うまでもありません。そうではないと言う人は愚かな人だけでしょう。」と語った。

 そして次のように付言した。「馬の体重が約500kgもあり、たいていは鞭を入れてもびくともしないので、馬に鞭が入れられることに問題はないと私は思いますが、いつも言っていることは、騎手が鞭に頼りすぎないのであれば、鞭使用によって着順は良くなり、競馬はよりエキサイティングなものになるだろうということです」。

By Graham Green

[Racing Post 2011年1月29日「Study finds whip makes no difference to result」]


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