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2011年10月20日  - No.42 - 1

ライフアットテン、正式に引退(アメリカ)[その他]


 勝てなかったレースが強く人々の記憶に焼きついている不運のG1勝馬ライフアットテン(Life At Ten 牝6歳、父マリブーン)は、10月1日にベルモントパーク競馬場で施行された総賞金35万ドル(約3,150万円)のベルダムS(G1)で最下位となり引退を表明した。

 ライフアットテンの馬主キャンディー・デバルトロ(Candy DeBartolo)氏のレーシングマネージャーであるデヴィッド・ヴァンス(David Vance)氏は10月3日、「私たちは潮時だと感じました」と語り、キーンランドの11月繁殖セールに上場されるだろうと付け足した。同氏は、「ライフアットテンは素晴らしいキャリアを達成しました。同馬は複数のG1競走を制し、100万ドル以上を収得した馬で、このような優良馬はなかなかいません。あまり客観的ではありませんが、同馬はおそらく私が見た馬の中でセクレタリアト(Secretariat)以来最も美しい馬です」と語った。

 トッド・プレッチャー(Todd Pletcher)調教師に管理されたライフアットテンは22戦8勝(ステークス競走6勝)、127万7,515ドル(約1億1,498万円)を収得した。2010年には、シックスティーセールズH(G3)、オグデンヒップスS(G1)、デラウェアH(G2)およびベルダムS(G1)を制した。今年は、デラウェアHとアレアデュポンディスタフS(G3)で3着に入線したが、勝鞍はなかった。

 デバルトロ氏は、ベルダムSで健闘すれば、チャーチルダウンズ競馬場で11月4日に施行されるBCレディースクラシック(G1)に再び出走させる予定だったと語った。しかし10月1日のベルダムSではアーヴルドグラース(Havre de Grace)の20馬身3/4差で5着に終わった。

 ヴァンス氏は、「私たちはベルダムSで好走すれば、ブリーダーズカップ出走について検討することもありましたが、負けた場合は妥当な判断をしようと考えていました。同馬は先週行った4回の調教のうち3回その距離で最高タイムを出しており、プレッチャー厩舎のどの馬よりも素晴らしかったので、不思議です。しかし、レースでのタイムは同馬が6歳の牝馬であることを物語っており、これは繁殖入りする時期かもしれないと考えました」と述べた。

 ライフアットテンの戦歴において最も印象的と思われるのは、2010年BCレディースクラシックで最下位に入線したことである。同レースでライフアットテンは2番人気の7-2(4.5倍)のオッズで最下位に敗れた。ジョン・ベラスケス(John Velazquez)騎手騎乗でゲートが開いたときから競馬にならなかった。

 ヴェラスケス騎手はレース前、ESPNのブリーダーズカップの中継番組に出演していた元騎手のジェリー・ベイリー(Jerry Bailey)氏に、ライフアットテンがあまり調子が良くないことを話したが、裁決委員にもケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission: KHRC)の獣医師にもその懸念を伝えていなかった。また、BCレディースクラシックの翌日、プレッチャー調教師は同馬がレース前に投与されたサリックスにアレルギー反応を起こしたように見受けられたことを明らかにした。

 ライフアットテンの不可解な走りによって、KHRCはヴェラスケス騎手、ケンタッキー州の上席裁決委員のジョン・ヴィーチ(John Veitch)氏に対して訴えを起こすことになった。ヴェラスケス騎手は自身の不正行為を認めなかったものの、1万ドル(約90万円)の過怠金を支払い、ヴィーチ氏は訴えに異議を唱えている。

 ヴァンス氏は2010年のBCレディースクラシックおよびその後の騒動について、「ライフアットテンにとってこれらのことはまったく不運でした。同馬は特別な馬であり、歴史に残る可能性を持っていますし、またそうなるでしょう」と語った。

 なお、ライフアットテンは ケンタッキー州のニッケルバック牧場(Nickelback Farm)で生産され、ラフラシックスブームバー(Rahrahsixboombah 父:ラーイ)を母とし、レガシーブラッドストック社(Legacy Bloodstock)のエージェントにより2006年のキーンランド9月セールに上場され、ビッグタイムサラブレッド社(Big Time Thoroughbreds)により3万5,000ドル(約315万円)で購買されたもの。

By Ron Mitchell
(1ドル=約90円)

(関連記事)海外競馬ニュース 2011年No.34「ヴィーチ裁決委員、ライフアットテン事件での対応を弁解(アメリカ)」

[bloodhorse.com 2011年10月3日「Life At Ten Officially Retired」]
 


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