スタウト調教師、スポーツ界の長者番付で競馬界のトップに（イギリス）［その他］

　5月15日にサンデータイムズ紙（Sunday Times）の発表した2011年スポーツ界長者番付に載った調教師と騎手の人数はどちらかと言えば少ない数字の4人で、2010年の5人から減少した。

　マイケル・スタウト（Michael Stoute）調教師は、長者番付が初めて発表された昨年（2010年）より100万ポンド（約1億4,000万円）減少して1,400万ポンド（約19億6,000万円）となり、競馬界で最も富裕な人物と格付けされた。

　この長者番付は、スポーツとスポーツ関連活動から収入を得ている人々だけを対象としている。競走馬を所有しているだけの馬主はこの長者番付に載る資格はなく、競馬が収入源ではない裕福な調教師も除外される。

　サッカープレミアリーグのウィガン・アスレティックFCのオーナーであるデイヴ・ウィーラン（Dave Whelan）氏が1億9,000万ポンド（約266億円）の資産で1位となったこの長者番付において、スタウト調教師は64位となった。そして2010年から資産が100万ポンド（約1億4,000万円）増加し1,100万ポンド（約15億4,000万円）となったヘンリー・セシル（Henry Cecil）調教師が84位で続いた。同調教師の経営するヘンリーセシル社（Henry Cecil Co.）は、2009年から2010年にその評価資産が142万ポンド（約1億9,880万円）に上昇し、2010年には300万ポンド（約4億2,000万円）の売上げで50万ポンド（約7,000万円）の利益を出したと長者番付の寸評は述べている。

　トニー・マッコイ（Tony McCoy）騎手もセシル調教師と同様に、資産が昨年よりも100万ポンド（約1億4,000万円）増加して1,100万ポンド（約15億4,000万円）となり、自身の会社APエンタープライズ社（AP Enterprises）の2009-2010年の資産は120万ポンド（約1億6,800万円）と評価された。マッコイ騎手は2010年に、障害競走の最高賞金額92万5,000ポンド（約1億2,950万円）を誇るグランドナショナルの優勝を成し遂げた。

　フランキー・デットーリ（Frankie Dettori）騎手は、1,200万ポンド（約16億8,000万円）の資産で長者番付の79位に入り英国とアイルランドで最も富裕な騎手と評価された。長者番付の寸評は、同騎手がマルコ・ピエール・ホワイト（Marco Pierre White）氏と共同所有している7店のレストランからの収入が貢献していると指摘している。

　ルカ・クマーニ（Luca Cumani）調教師は初回の2010年長者番付においては1,100万ポンド（約15億4,000万円）の資産で番付入りしたが、今回は資産が1,000万ポンド（約14億円）を切ってトップ100に入らなかった。今回の長者番付においてサッカー関係者はちょうど半分強を占めた。競馬界関係者の人数（4人）は、少なくともクリケット（2人）、スヌーカー（2人）、テニス（2人）、運動競技（1人）は上回った。

　競馬界は間違いなく健闘したと言えるだろう。これまで長者番付入りしていない調教師および騎手には、レスター・ピゴット（Lester Piggott）騎手、エイダン・オブライエン（Aidan O’Brien）調教師、マーティン・パイプ（Martin Pipe）調教師、マイケル・ディキンソン（Michael Dickinson）調教師、ウィリー・カーソン（Willie Carson）騎手、キーレン・ファロン（Kieren Fallon）騎手などがいるが、もし番付掲載に制限がなければいずれも番付入りしただろう。

　長者番付のもう1つの難点は、騎手は賞金の10％を受け取っているとの前提に立っている点である。

　デール・ギブソン（Dale Gibson）氏は5月15日、この数字はまちがってとらえられていると改めて指摘した。同氏は次のように語った。「1970年代後半または1980年代前半以降騎手の進上金は10％ではありませんでした」。

「英国でもアイルランドでも進上金の平均は6.6％です。騎手たちはこの10％という数字が一人歩きしていることに苛立っています」。

  
By Andrew Scutts
（1ポンド＝約140円）

 （関連記事）海外競馬ニュース 2010年No.22「スポーツ界の長者番付に入った競馬関係者（イギリス）」

［Racing Post 2011年5月16日「Stoute racing’s wealthiest on £14m in sport rich list」］