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海外競馬ニュース
2011年05月26日  - No.21 - 3

国際競馬サークル、米国の薬物禁止議論を支持(国際)[獣医・診療]


 サラブレッドの生産と競馬はますます国際的になりつつあり、米国外の競馬関係者は4月19日の米国薬物規制標準化委員会(Racing Medication and Testing Consortium)の理事会で提案された競走当日の薬物使用に関する国際サミットを間違いなく歓迎するだろう。

 競走当日の薬物使用の禁止を支持する米国競馬産業のリーダーたちの共通認識は、国際競馬サークルの中で米国の立場の改善につながるということである。

 米国の立場の改善は、米国にとっていろいろな意味でビジネスに影響を与える可能性がある。海外賭事客に対し競馬をより魅力的なものとすることや、米国産のサラブレッドの価値が高まることで、米国競馬の販売促進がすすむなどの財政的観点も含まれている。

 かつて米国の調教師で、現在英国を拠点とするジョン・ゴスデン(John Gosden)調教師は、定期的に国際的な主要レースに管理馬を遠征させている。同調教師は、「この20年間、薬物使用の蔓延は米国競馬界において大問題となっており、ひいてはそのことが生産馬を汚染している影響はさらに大きな問題です」と述べた。

 同氏は次のように付言した。「競馬があまりに化学を重視する方向に傾いており、米国競馬界に損失を与えています。私は1歳馬セールに行く際、馬の走りっぷりやどのような薬物を投与されているのかについて注意をはらいます」。

 南米の競馬統轄機関は、2010年生まれの産駒が競走を始める2012年には、2013年のクラシックレースを含むいくつかのタイプのレースにおいて競走当日の薬物使用を禁止すると規定したところであり、米国だけが最近この問題に取り組んでいるわけではない。

 IFHA(国際競馬統轄機関連盟)のルイ・ロマネ(Louis Romanet)会長は、「国際競馬サークルは、米国が競馬における薬物使用についての対話を始めることについて、総じて満足しています」と語った。同会長は、南米での動きはおそらくゴスデン調教師が同国の生産馬の耐久力について投げかけた疑問に関係していると付言した。

 ロマネ会長は次のように語った。「率直に言えば、この動きの一部は薬物が生産に与える影響に疑問を呈した専門家たちに端を発しています。南米が完全に方針変更した暁には、米国の商業市場は痛手を受けることになるでしょう。薬物使用が撲滅されれば、鼻出血をおこす馬を排出する種牡馬を購買したいとは思わないでしょう」。

 ジョッキークラブの常務理事であるマット・ユリアーノ(Matt Iuliano)氏は、「非常に興味深い話題であり、世界の一般的な動きは競走馬への薬物使用を減少させる傾向にあります。米国は欧州、香港、オーストラリア、そして南米の最近の動きと全く対照的です」と語った。

 ジョッキークラブのジェームズ・ギャグリアーノ(James Gagliano)理事長は、生産とサラブレッド産業に最もよく機能する方針を作り出すために、ジョッキークラブは米国内だけではなく世界中の団体と取り組む構えであると述べた。

 同理事長は、「私たちは競馬産業の多くの陣営のあらゆる人々と一緒に取り組みます。競馬は多くの異なる分野から多くの協力を要求するスポーツです。米国内と同様に、IFHAにはさまざまな競馬統轄団体とその利害関係者がいますが、競走における薬物使用を禁止することは最終的な共通の目標です」と付言した。

 ブリーダーズカップ社(Breeders’ Cup Ltd.)は米国内でこの問題を扱うことに傾倒している競馬団体の1つであり、ロマネ会長は同社の姿勢についても賞賛している。

 ロマネ会長は、「IFHAは多くの理由で薬物使用禁止の方針を望んでいますが、第一の理由は地球上の競馬は薬物なしで施行されなければならないということです。世界ではブリーダーズカップのような非常に大規模なレースが行われていますが、そのブリーダーズカップ施行者が薬物を投与された競走馬を出走させながら、その大会を“ワールドチャンピオンシップ”と称することは不条理です。出場選手が薬物を使用している大会を“ワールドチャンピオンシップ”と呼ぶスポーツが他にあるでしょうか?」と語った。

(関連記事)海外競馬情報 2011年No.8「北中米競馬委員会協会、5年で薬物を全面的に禁止(アメリカ)」

By Ed DeRosa

[thoroughbredtimes.com 2011年4月22日「International community backs U.S. drug ban」]
 


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