薬物規制標準化委員会、競走当日の薬物使用に関する国際サミット開催を主導(アメリカ)[獣医・診療]
薬物規制標準化委員会(Racing Medication and Testing Consortium: RMTC)はNTRA(全米サラブレッド競馬委員会)および全米馬臨床獣医師協会(American Association of Equine Practitioners: AAEP)と一体となって、早ければ90日以内に競走日薬物検査についての国際サミットを開催することになる。 RMTCの理事会は4月19日に、北中米競馬委員会協会(Association of Racing Commissioners International: RCI)のリーダーが3月中旬の年次会合において競走当日の薬物使用廃止を要求して以来初めての会合を持った。NTRAは4月18日の理事会において、RCIの理事会での提案について話し合ったが、コメントを出していない。したがって、RMTCとAAEPと一緒に取り組むことが、初めての意思表明である。
NTRAのアレックス・ウォルドロップ(Alex Waldrop)理事長は、「NTRAは競走当日の薬物使用について世界中の競馬産業の幅広い見解をひとまとめにする機会を歓迎します。私たちの目標は、すべての利害関係者が対話に加わることを確かにし、最終結論が客観的な事実の評価に基づいて出されることです」と語った。
ジョッキークラブ、サラブレッド馬主・生産者協会(Thoroughbred Owners and Breeders’ Association:TOBA)およびブリーダーズカップ社(Breeders’ Cup Ltd.)のような競馬産業の主要グループは、RCIの5年間の計画を承認しているが、全米ホースマン共済協会(National Horsemen's Benevolent and Protective Association)はもっと調査が必要があるとして承認していない。
ホースメン協会(Thoroughbred Horsemen’s Association: THA)の理事長でありRMTCの副会長であるアラン・フォアマン(Alan Foreman)氏は、「このような事柄をまとめるのは大仕事ですが、対立する議論を踏まえて推し進めるべき事柄です。現在このことを責任持って行う唯一の方法は、一時的に対立を中断して、深呼吸をし、進行中の問題をどのように扱うかを見つけ出すために国際的なコミュニティーをひとつにまとめることです」と語った。
「馬にとって最善であることと競馬界にとって最善であることは何か?これは非常に難しい議論となるでしょう」。
この議論を複雑にしているのは、RMTCのCEOであったスコット・ウォーターマン(Scot Waterman)獣医博士が4月29日付けで辞任したことである。また、RMTCの理事会は、NTRAの上級副理事長でありRMTCの副会長であるクリス・シャーフ(Chris Scherf)氏を議長として調査委員会を開催することを投票で決定した。
その間、グレッグ・スコギンズ(Gregg Scoggins)獣医博士が、引き続きRMTCの薬物検査計画(Drug Test Initiative)を監督するとともに治療薬物の研究と閾値の調査の計画マネージャーを務めるだろう。数年間規制プロセスに関わった経験を持つスコギンズ氏は以前、マグナエンターテインメント社(Magna Entertainment Corp.)の役員を務めていた。
RMTCのロバート・ルイス(Robert Lewis)会長は、「RMTCは間違いを犯すことなく、競馬の公正確保を強化するために努力し前進し続けるでしょう。私たちの計画には強い勢いがあり、何者も私たちを減速させることはできないでしょう」と述べた。
By Ed DeRosa
[訳注:競走当日の薬物使用に関する国際サミットは6月13日と14日にニューヨークで開催予定である]
(関連記事)海外競馬情報 2011年No.8「北中米競馬委員会協会、5年で薬物を全面的に禁止(アメリカ)」
[thoroughbredtimes.com 2011年4月20日「RMTC to help convene international congress on race-day medication」]