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海外競馬ニュース
2010年11月25日  - No.47 - 3

2010年ケンタッキーダービー馬のスーパーセーバーが引退(アメリカ)[その他]


 2010年ケンタッキーダービー(G1)の優勝馬スーパーセーバー(Super Saver)は競走生活から引退し、ケンタッキー州ヴァーサイルスに近いケニー・トラウト(Kenny Troutt)氏所有のウィンスター牧場(WinStar Farm)に繋養される。同馬は骨顆部損傷のためにこの夏から競走に出走できずにいた。

 ウィンスター牧場の副場長でありレーシングマネージャーであるエリオット・ウォルデン(Elliott Walden)氏は、「スーパーセーバーを引退させる最終決定は苦渋の選択でした。この決定はファンにとっては不評でも生産者には非常に好評でしょう。ラリー・ブラムリッジ(Larry Bramlage)獣医博士により発見され、今年の後半における出走を制限することとなった骨顆部損傷は、時間とともに治癒するでしょう。しかしこの損傷によって、2歳時およびケンタッキーダービーにおいて見せたような状態を取り戻すことができなくなるというリスクが生じました。彼はトップ2歳馬であり、ウィンスター牧場が生産しトッド・プレッチャー(Todd Pletcher)調教師が管理した初めてのダービー馬となりました。素晴らしい馬であることを証明するのにこれ以上のことはないでしょう」と語った。

 スーパーセーバーは、ウィンスター牧場の自家生産馬として出走した。そのときの牧場所有者は、トラウト氏とビル・カスナー(Bill Casner)氏であった。

 スーパーセーバーはトップ2歳馬であった。同馬はベルモントパーク競馬場で2回目の出走となる未勝利競走を7馬身差で制した。その後同馬はチャーチルダウンズ競馬場に移り、ケンタッキージョッキークラブS(G2)を制した。そのレースにおいて、スーパーセーバーは先行して1700 mを1分42秒83のレコードタイムで駆け抜け、5馬身差で勝利した。

 ケンタッキーダービーの最有力馬の1頭として2歳シーズンを終えたスーパーセーバーは、“エクスペリメンタル・フリーハンデ”(訳注:毎年1月下旬にジョッキークラブが発表する2歳馬のランキング)において、そのハンデが122ポンド(約55.3 kg)とされた。

 スーパーセーバーは3歳シーズンにおいて、ケンタッキーダービーの前に出走したアーカンソーダービー(G1)とタンパベイダービー(G3)でいずれも3着以内であった。2010年にはそれまで勝利を挙げていなかったにもかかわらず、多くの競馬予想家からケンタッキーダービー出走馬の中ではトップ馬であると見られていた。

 20頭の出走馬のなかで2番人気に推され、スーパーセーバーはカルヴィン・ボレル(Calvin Borel)騎手を背に素晴らしいスピードを見せつけた。馬群が最終コーナーに差し掛かったとき、スーパーセーバーは2ハロン標識でハナに立ち、チャーチルダウンズ競馬場のホームストレッチを猛スピードで駆け抜け、不良馬場で2馬身1/2差の決定的な優勝を遂げた。同馬は104のベイヤー指数(訳注:1970年前半にワシントンポスト紙の競馬コラムニストのアンドリュー・ベイヤー(Andrew Beyer)氏が考案した米国サラブレッドの能力を示すスピード指数。主要ステークス競走勝馬の指数は100台であり、非常に成績が良い場合には120台まで評価され得る)を獲得した。

 プレッチャー調教師は、「私は6歳のときからケンタッキーダービーを優勝することを夢みてきました。スーパーセーバーは昨年、私の厩舎の2歳馬の中で最速の馬でした。そしてケンタッキージョッキークラブSでレコードタイムを打ち立てたことは、彼がダービー馬になることを物語っていました。私はただそのスピードを生かして調整しただけです。このように夢を実現できたことを神に感謝します」と語った。

 スーパーセーバーはケンタッキーダービーの後、3回出走したが、そのなかで最も上位の成績を収めたのはハスケル招待S(G1)での4着であった。その後、同馬は引退レースとなったサラトガ競馬場のトラヴァースSでは着外となった。同馬は競走生活において、10レース中6レースで優勝あるいは2着以内に入着し、188万9,766ドル(約1億8,898万円)を収得した。

 チャンピオン馬マリアズモン(Maria's Mon)を父とし、スーパーセーバーはフィップス家(Phipps)が所有する多産な牝系の出身である。同馬の母馬であるスーパーチャージャー(Supercharger 父:A.P. Indy)は、重賞勝馬であるデイドリーミング(Daydreaming)、ジロラモ(Giroramo)およびアクセラレーター(Accelerator)の全妹である。スーパーチャージャーはまた、ウィンスター牧場で供用され今年の初年度供用種牡馬リストの2位に入っているブルーグラスキャット(Bluegrass Cat)の母馬シーズアウィナー(She's a Winner)の全妹でもある。この血統は、素晴らしい基礎牝馬のラトロワエンヌ(La Troienne)に遡る。

 ウィンスター牧場のダグ・コーセン(Doug Cauthen)場長は、「スーパーセーバーは特別な馬です。彼は我々の牧場のために多くの夢を実現させました。先月彼が牧場に戻ってきたときには、まるで家族が家に帰ってきたようでした。私たちは、いま競走から引退することが彼にとって一番良いことだと思っています。私たちは、素晴らしい才能を持った馬をその馬が生まれ育ったところで繋養するというめったにないチャンスを得たことでわくわくしています。スピードと伝統的な血統がうまく調和していることで、スーパーセーバーは種牡馬としての素晴らしい可能性を持っています」と語った。

 ファンと生産者は、10月30日午前11時から午後1時に行われるスーパーセーバーのウィンスター牧場での種牡馬入りを祝う会に招待されている。プレッチャー調教師もこの会に出席するほか、ケンタッキーダービーのトロフィーが飾られる予定である。

By Blood-Horse Staff
(1ドル=約100円)

[bloodhorse.com 2010年10月28日「Derby Winner Super Saver Retired」]


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