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海外競馬ニュース
2010年11月25日  - No.47 - 2

メリーランドジョッキークラブ、 ローレルパーク競馬場閉鎖を計画 (アメリカ)[開催・運営]


 11月2日に行われた地元有権者による投票の結果、ローレルパーク競馬場にゲーミング施設を導入する可能性が後退したことをうけて、メリーランドジョッキークラブ(Maryland Jockey Club: MJC)は11月3日、ローレルパーク競馬場での競馬開催を終了し1911年以来開催してきた土地を開発用地に充てる計画を発表した。

 MJCのトム・チャッカス(Tom Chuckas)理事長は、同競馬場は2011年の開催日程は作成しないと述べた。また、現在の計画では建物施設が場外馬券売場に転用され、厩舎地域を含む残りの土地は再開発されるだろうと述べた。そしてボウイー調教センター(Bowie training center)は閉鎖されるだろうと付け足した。

 この計画は、11月23日に予定されているMJCの会合で話し合われるだろう。チャッカス理事長は、ローレルパーク競馬場で12月18日まで行われる予定の秋開催に影響はないと述べた。

 計画が実行されれば、MJCは1,000人の正職員および非常勤職員の大幅な削減を行うと見込まれる。チャッカス理事長は、州内のサラブレッド産業全体に大きな損失が及ぶだろうと述べた。

 同理事長は、「40日間の競馬開催では、この産業を支えるには十分でないでしょう」と付言した。

 メリーランド州競馬委員会(Maryland Racing Commission: MRC)のCEOであるJ・マイケル・ホプキンズ(J. Michael Hopkins)氏は、この計画は11月の会合で話し合われるだろうと述べた。

 11月2日にアンアランデル郡の有権者たちは、中央制御型スロットマシン(video lottery terminal: VLT)の運営施設としてアランデルミルズのショッピングモールを選出した。MJCは、VLTの運営免許をローレルパーク競馬場に付与することを求めてきており、ショッピングモールには付与されないことを望んでいた。同理事長は、役員たちは今後数日中にすべての法令および立法上の選択肢を検討するだろうと述べた。

 MJCは、プリークネスS(G1)前後にピムリコ競馬場で40日間の看板開催を1回だけ行うことを計画している。競馬の賞金のために確約されているVLTの収益の7%のおかげで、ピムリコ競馬場で施行される40日間の開催はおそらく魅力的な賞金額を提供するだろう。

 MJCは2005年にローレルパーク競馬場の数百万ドルを掛けた改修を完了し、競馬を続けるにはより魅力的な場所になったように思われる。しかしプリークネスS(G1)を施行してきているピムリコ競馬場を閉鎖し同レースをローレルパーク競馬場に移すことは難しいだろう。

 VLT収入からの賞金の予想される増加は、ローレルパーク競馬場の競馬を改善しうるだろうが、チャッカス理事長は、同競馬場は約10マイル離れたところにあるショッピングモールの4,750台のVLTとは競争できないだろうと述べた。同理事長は、ショッピングモールのオーナーで家族経営のコーディッシュ社(Cordish Cos.)がローレルパーク競馬場あるいはMJCの所有者になる可能性はないと見ている。

 チャッカス理事長はローレルパーク競馬場について、「この状況において、売却することはありません。私はコーディッシュ氏の立場は分かりませんが、事業判断力を持った経営者であれば財務に損害を与える競馬場を買収したいとは思わないでしょう」と語った。

 コーディッシュ社の代表者たちは記者会見において、閉鎖されればローレルパーク競馬場を買収するだろうと述べた。

 ローレルパーク競馬場は、メリーランド州の有権者が2008年に州内のVLT運営を承認したときに、VLT運営者の最有力候補と目されていた。MJCは2009年に、期日までに前払いの免許登録料2,250万ドル(約22億5,000万円)を支払えなかった。このとき、MJCを所有するマグナエンターテインメント社(Magna Entertainment Corp.: MEC)は破産手続き中であり、同社は、ローレルパーク競馬場が最終的にVLT運営者として選ばれなかった場合には免許登録料が返還されないことを懸念していると述べていた。VLT運営の施設候補地を検討していたMRCは、支払いがなされなかったことで、ローレルパーク競馬場を選考対象から除外した。

 破産後の再編成の一環として、MJCの所有者はMECの親会社のMIディベロップメンツ社(MI Developments Inc.)に変わった。両社はいずれも、有名なサラブレッド馬主で生産者でもあるフランク・ストロナック(Frank Stronach)氏により経営されている。なおペンナショナルゲーミング社(Penn National Gaming)は今年、MJCの株の50%を購入した。

By Frank Angst
(1ドル=約100円)

[thoroughbredtimes.com 2010年11月3日「Maryland Jockey Club plans to close Laurel Park, develop site」]


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