チェルトナム競馬場、議論のあった固定障害を移動(イギリス)[開催・運営]
アークルチャレンジトロフィー(G1 3,200 m)とチャンピオンチェイス(G1 3,200 m)に出走する馬と騎手にとっては、飛越しにくいことで有名だった最後から2番目の障害がホームストレッチに移されることにより、飛越すべき障害が1つ増えることになる。
安全性への懸念がチェルトナム競馬場に行動を起こさせ、今回の措置は調教師と騎手により歓迎されたが、すべての関係者はオールドコースの独特の難所が失われることになると認めた。
この最後から2番目の障害は、ここ数年でグラニットジャック(Granit Jack)やシチズンヴィック(Citizen Vic)を含む数頭の馬の命を奪っただけではなく、障害を上手く飛越したものの勢いがつきすぎたまま着地した何頭かの馬から勝つチャンスを奪ってきた。
ラタローム(Latalomne)の関係者には、大半の人々以上にその障害がなければよかったと思う多くの理由があった。なぜなら彼らの馬はチャンピオンチェイスの先頭争いにおいて連続して転倒していたからだ。
チェルトナム競馬場のエドワード・ジレスピー(Edward Gillespie)場長は今回の措置を説明し、「私たちにとって馬の安全は重要なことであり、この障害の問題のポイントは、馬がミスを犯さなくても転倒していたことです」と述べた。
同場長は次のように続けた。「多くの馬が、障害を上手く飛越したように見えても着地でバランスを崩してしまい、後方の馬が先行していた馬を抜いていきました」。
「後続につけている馬よりも先頭で競り合っている馬が転倒する傾向にあり、そのことが私たちに“障害を置く場所の代替案はあるか?”と自問させました。2009年の秋、私たちはホームストレッチの新しい位置に障害を置くこの案を思いつきました」。
同場長はレース全体の流れに焦点を当てながら、「下り坂に1つの障害、ホームストレッチに2つの障害を設置することは、オールドコースがニューコースを真似ていることを意味します」と述べた。
「これは、スタート地点の関係で、オールドコースの3,200 mおよび4,000 mの競走においては障害が1つ追加されることを意味します。また、このことで5,600 mの競走は約27 m短くなります。それは障害が移動された場所の辺りから競走を始めるからです」。
「新しい障害は最終コーナーから80〜100ヤード(約72〜90 m)手前の地点に設置されます。新コースでは最後から2番目の障害は一番最後の障害に20〜30ヤード(約18〜27 m)近づき、最後から3番目と2番目の障害の間の距離は長くなります」。
「最後から2番目と最後の障害の距離が近いことはあまりありませんが、この新しい特徴はチェルトナム競馬場の特徴の一部となり、観客にとっては見ごたえのあるものとなるでしょう」。
グラニットジャックを管理していたポール・ニコラス(Paul Nicholls)調教師は、「私は障害に反対したことはまったくありません。この障害はチェルトナム競馬場の難所の1つです。しかし、安全性を向上するために措置を取るのであればそれは良いことです。また今回の見直しがゴール前の興奮を高めることもあり得ると思います」と語った。
ウィリー・マリンズ(Willie Mullins)調教師は次のように付け足した。「私はホームストレッチに2つの障害を置くことは非常に良いアイデアだと思います。このことは道理に適っています」。
リチャード・ジョンソン(Richard Johnson)騎手とロバート・ソーントン(Robert Thornton)騎手はこのことに賛意を示し、このうちジョンソン騎手は次のように語った。「私は良いアイデアだと思います。そしてこの措置を絶対に支持します」。
「数年にわたりこの障害は多くの問題を起こしてきました。私はすべての馬主がこの措置に賛成していると確信しています。馬が上手く飛越したのに、そのあとでひどい転倒をするのを見たいという人はいません」。
また、フェスティバル開催での騎乗に間に合うよう現在負傷からの回復を待っているソーントン騎手は、「当初の障害の位置は、まさにチェルトナム競馬場での挑戦の1つだと思っている自分もいますが、安全の理由からこの措置は取られるべきと思います」と語った。
同騎手は次のように付言した。「迫力のある競馬という観点で言えば、この措置は何も損うことはありません。どちらかと言えば、支持者にとっては見ものが増えることになるでしょう」。
By Andrew Scutts and Robert Smith
[Racing Post 2010年7月26日「Chelthenham’s controversial second-last fence to move」]