TOPページ > 海外競馬ニュース > 新政権のオズボーン財務大臣、トート社売却問題について発言(イギリス)[開催・運営]
海外競馬ニュース
2010年07月29日  - No.30 - 3

新政権のオズボーン財務大臣、トート社売却問題について発言(イギリス)[開催・運営]


 ジョージ・オズボーン(George Osborne)財務大臣は6月22日の緊急予算演説において、新しい連立政権は来年中にトート社(Tote)の将来について決定を下すだろうと述べ、長年の議論に新たな弾みを与えた。

 ロンドンのセント・パンクラス駅から英仏海峡につながる高速鉄道路線、航空管制システムおよび学生ローンを含む一連の政府資産の売却を仕上げた上で、「最後に、トート社の将来の姿を決定するつもりです」と下院においてオズボーン大臣は述べた。

 同大臣はそれ以上の説明はしなかった。公式予算文書は細部まで練り上げられていることがわかっているが、政府の考えはほとんど明らかにされていない。

 公式予算文書の“資産売却”という見出しの付いた項には、「今後12ヵ月における政府資産の民間開放に関する幅広いプログラムの一環として、政府は、納税者の利益が維持されるよう、また現在トート社が競馬産業に対して行っている援助を認識しながら、トート社の将来の姿を決定する」と記されている。

 前労働党政権が発表していた最後の声明とは微妙に異なるこの言葉遣いは、トート社を売却しない可能性を残しているものと思われる。

 トート社のCEOであるトレヴァー・ボーモント(Trevor Beaumont)氏は、「これは非常に前向きで歓迎すべき声明です」と述べた。

 BHA(英国競馬統轄機構)のポール・ロイ(Paul Roy)会長は、「政府がトート社を売却するとは言っていませんので、非常に興味深い言葉遣いであり、非常に前向きです」と述べた。

 2001年から労働党政権のマニフェストに含まれていたトート社売却は、2008年10月に棚上げされたが、2009年10月にゴードン・ブラウン(Gordon Brown)前首相が、2年間で160億ポンド(約2兆2,400億円)に上ると見込まれた政府資産の売却案においてトート社の名前を挙げたことから大きく注目されることになった。

 ブラウン首相の驚くべき発表を受けた議会の質疑において、「欧州の国庫補助と競争規約の定めにしたがい、どのような市場売却を行ったとしても売却益の半分を競馬界に還元する約束を尊重する」との立場は維持するとゲリー・サトクリフ(Gerry Sutcliffe)スポーツ大臣は述べた。

 ボーモント氏はその発言の表現ぶりに関して次のように述べた。「政府は、私たちが競馬に対して貢献していることを踏まえて、トート社の将来についていくつかの選択肢と広い考えがあると述べているように思えます」。

 「政府がトート社売却はないだろうとは言っていないと解釈しますが、彼らはトート社の将来を見据えています。この場合“将来”という言葉が鍵となります」。

 同氏は次のように続けた。「私たちはこの言い回しのもとで、引き続き現状が維持されることを望んでいます」。

 「私はもちろん、トート社の将来が来年のうちに決定されることを歓迎しています。なぜならばそのことによって、この数年間にはなかった何らかの確実性がもたらされるからです。私たちは将来の姿を決定するため政府と一緒に取り組むことを楽しみにしています」。 文化・メディア・スポーツ省のスポークスマンは、声明を深読みしないように警告した。そして、「私たちは今後1年間においてトート社の将来に関するあらゆる選択肢を検討するつもりです。したがって声明は公開市場での売却も排除していません」と述べた。

 トート社は、現在の経済状況において1億5,000万ポンド(約210億円)以上を売り上げるのに奮闘するだろう。BHAのロイ会長は、「競馬界は現状に満足していますが、私たちはより直接的にトート社の所有権を持ちたいと考えています」と述べた。

 同会長は、「どのようなことが起きようとも、トート社の競馬界への貢献が減少することがあってはなりません」と付言した。

By Howard Wright
(1ポンド=約140円)

[Racing Post 2010年6月23日「Osborne: we’ll resolve Tote future at last」]


上に戻る