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海外競馬ニュース
2010年06月24日  - No.25 - 1

サンタアニタ競馬場でのオークツリー 開催施行に新たな混乱(アメリカ)[その他]


 6月9日、オークツリー競馬協会(Oak Tree Racing Association: OTRA)とサンタアニタパーク競馬場との解決困難な賃貸期間の問題に新たな混乱が加わった。

 カリフォルニア州アーカディアにあるサンタアニタ競馬場を所有しているMIディベロップメンツ社(MI Developments. Inc.: MIDI)のCEOは、カリフォルニアの競馬関係者が2010年〜2011年の冬春開催に間に合うように新たな馬場の敷設を望んでいるのならば、同競馬場において毎秋恒例のオークツリー開催の施行を許可するのは不可能だろうと述べた。

 非営利競馬団体であるOTRAのCEOシャーウッド・チリングワース(Sherwood Chillingworth)氏はこの観点から、1969年からサンタアニタ競馬場で競走を施行してきたOTRAは、その5週間の開催を、2010年開催からハリウッドパーク競馬場に移す可能性が非常に高いことを認めた。しかし、最終決定はなされていない。

 MIDIの副社長兼CEOであるデニス・ミルズ(Dennis Mills)氏は、6月22日にハリウッドパーク競馬場で開催される会合の際に、フランク・ストロナック(Frank Stronach)会長がカリフォルニア競馬委員会(California Horse Racing Board: CHRB)とこの状況について話し合うだろうと述べた。子会社であるマグナエンターテインメント社(Magna Entertainment Corp.: MED)の再建計画の一環としてサンタアニタ競馬場の管理を引き継ぐことについて、3月にデラウェア破産裁判所から承認を得たことをうけて、MIDIは5月15日、OTRAに同競馬場を2016年まで貸す契約を無効にした。

 ミルズ氏は、ストロナック会長はカリフォルニア州で競馬を再活性化させる自身の計画を展開させるつもりであると述べた。その一方で、MIDIの役員とOTRAの間で新たな賃貸期間について話し合うため6月4日に予定されていた会合は中止された。

 ミルズ氏は、自身がカリフォルニアを訪れている間に、ストロナック会長とチリングワース氏が会合を持つことを望んでいると述べた。しかし、同氏は、OTRAが9月29日〜10月31日の開催のための計画を組む必要に駆られていることを理解しているとも述べ、OTRAに対し、ハリウッドパーク競馬場であろうとデルマー競馬場であろうとオークツリー開催の新たな開催地を探求するよう奨励した。

 ミルズ氏はトロントからの電話で、「カリフォルニア州で持ち上がっている最大の問題は、サンタアニタ競馬場の馬場です。これは現在、何よりも私たちの心を奪っている事柄です。ストロナック会長がCHRBと実りのある会合を行うことを見込めば、今から12月の再オープンまで、私たちがサンタアニタ競馬場へ自由にアクセスできるようにすることが必要となります」と語った。

 同氏は、競馬場の馬場問題の背景には、サンタアニタ競馬場をブリーダーズカップの永続的な開催地にするという提案があると述べた。同氏は、ブリーダーズカップ社(Breeders' Cup Ltd.: BCL)の社長兼CEOであるグレッグ・アヴィオリ(Greg Avioli)氏が、2008年と2009年に2日間のブリーダーズカップ開催を成功させたOTRA宛てに出した書簡を引き合いに出した。

 ミルズ氏は、「書簡の中での重要な問題の1つは、BCLが現在ある馬場ではなく、2011年のために新しい馬場を要求していることです。そのため私たちは現在のプロライド馬場を撤去して、新しい馬場のテストに着手しなければなりません。私たちは9月〜11月にそれを行い、開催の始まる12月に間に合わせなければならないでしょう」と語った。

 同氏は、自身と他のMIDIの代表者たちが5月20日にCHRBの会合に出席したときに、守秘義務からその書簡について話し合うことが出来なかったが、その後詳細が公になり、その事について話すことができるようになったと述べた。

 チリングワース氏は、OTRAへのサンタアニタ競馬場の賃貸に関する会合において、新馬場敷設の問題はまったく言及されなかったと述べた。

 同氏は、「もしMIDIが、新馬場を導入するためには時間が必要であり、オークツリー開催を1年中断してもらう必要があると言っていたなら、対処法はあったでしょうが、彼らはそれを言いませんでした」と述べた。MIDIの検討のために扉は開けておくものの、ストロナック会長がカリフォルニアにいる間に何らかの突破口が見つかる望みはほとんどないだろうと同氏は述べた。

 チリングワース氏は、もしMIDIがサンタアニタ競馬場を私たちのために魅力のあるものにするのであれば、つまり2016年に満期を迎える以前の賃貸契約条件の下で私たちに戻ってきて欲しいというならば、OTRAは興味を示すでしょう。ところが、MIDIはいつも多くのことを要求してきます」と付言した。

 MIDIの役員たちは、将来ブリーダーズカップ開催を行う意欲があることを明らかにしていたと同氏は述べた。また同氏は、「私たちはオークツリー開催をするつもりであり、彼らはブリーダーズカップを開催するつもりです。このことはまったく理にかないません」と語った。

 ハリウッドパーク競馬場のジャック・リーボー(Jack Liebau)場長は、OTRAが、イングルウッドにある同競馬場においてオークツリー開催を賃貸料無料で永続的に行うと申し出た旨を述べた。チリングワース氏はデルマー競馬場にも同じような申出を行ったが、ホースマンにとって、その近さ故に2010年はハリウッドパーク競馬場を使用することのほうが理にかなうだろうと語った。

 同氏は、OTRAはサンタアニタ競馬場にとどまることを好ましく思っていると述べた。

 チリングワース氏は、「私たちはサンタアニタ競馬場で41年間開催を行ってきました。私たちはそこで長い歴史を築いてきました。しかし、競馬において古い伝統はすべて滅びかけています」と語った。

 OTRAが2010年にサンタアニタ競馬場を出て行くのであれば、いつ戻ってくるのだろうか?

 ミルズ氏は、「それは誰にも言うことができません。サンタアニタ競馬場はいつでもサラブレッド産業の利益となる特別なイベントのための提案を受ける用意はできています」と述べた。

 またミルズ氏は、「MIDIはカリフォルニア・サラブレッド調教師会(California Thoroughbred Trainers: CTT)と共に、サンタアニタ競馬場の新しい本馬場の選択に活発に取組んでいます」と述べた。サンタアニタ競馬場の役員は、CTTの馬場安全委員会のメンバーであるダレル・ヴィエナ(Darrel Vienna)氏と共に、馬場の管理者が必要に応じて水分を補給したり取り除いたりできる特別地下システムを用いる8つの異なる種類の馬場を検討している。ミルズ氏は、「検討中の馬場はさまざまな構造をしていますが、最終的な決定を下すのはストロナック会長でしょう」と述べた。

 サンタアニタ競馬場は、CHRBの人工馬場敷設要請を受けて2007年にクッショントラックを敷設したが、水はけと硬度の問題のためにそのほとんどを撤去するに至った。同競馬場が現在使用しているプロライド馬場はクッション馬場の残余物を有しており、依然として水はけの問題がある。

By Jack Shinar

[bloodhorse.com 2010年6月9日「Santa Anita Adds New Wrinkle to Oak Tree Mess」]


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