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海外競馬ニュース
2009年11月05日  - No.44 - 4

ランボーン地区、 腺疫の厳戒態勢に入る(イギリス)[獣医・診療]


 ランボーン地区は10月14日、最近数日間スタン・ムーア(Stan Moore)調教師のバークリーハウス・ステーブルズ(Berkeley House Stables)に在厩中の1歳牝馬に非常に感染性の高い疾患である腺疫の発生が確認され、恐怖の的となった。

 感染馬は10月2日にアイルランドから輸送された馬であり、現在厩舎は封鎖され、また同馬は他の馬から隔離された上で、症状が監視されている。

 ムーア調教師はトータルギャラリー(Total Gallery)が10月4日にロンシャン競馬場のアベイ・ド・ロンシャン賞(G1)を制したことで10月に初めてのG1勝利を手に入れたが、10月15 日から週末にかけて出走馬を出すことはなく、当該馬の近くにいた馬は10月14日に検査を受けた。

 BHA(英国競馬統轄機構)の馬科学・福祉担当理事ティム・モリス(Tim Morris)氏は、「ムーア調教師から今朝、迅速な連絡を受けました。厩舎の他馬およびイギリス全土の馬を保護するために適切な処置がすべて取られていることに満足しています」と語った。

 検査は続行されており、バークリーハウス・ステーブルズは封鎖され馬の移動を禁止されている。当該馬と接触した馬の管理者やランボーン調教場 (Lambourn gallops)の所有者であるジョッキークラブ・エステーツ社(Jockey Club Estates)にも情報は伝えられた。

 ムーア調教師は、「問題の1歳牝馬は数日前に我々のところに入厩したばかりです。必要な予防措置を全部取っています。BHAと獣医師たちの指示にしたがっています。数日中に、詳しい状況が分かり、対応方針が決まることを望んでいます」と語った。

 腺疫は頭、あご、喉のリンパ節が腫大した腺ができるのを特徴とする感染性の高い疾患である。

 そのリンパ節が膿瘍に変化して呼吸と嚥下が困難になることもある。軽い症状であれば数日以内に回復するが、膿瘍が馬体の他の部分に広がると致命傷になり得る。

 現役馬の間で腺疫が発生するのは珍しいが、2009年3月にウィリアム・ジャーヴィス(William Jarvis)調教師が管理する2歳馬が陽性反応を示し、そのわずか1週間後にまたニューマーケットにあるニューイングランド牧場(New England Stud)の牝馬が腺疫と診断された。

 現在実施中の防疫措置がいつまで続くか不明なので、ムーア調教師にとって調教事業を中止することは痛手であるが、同調教師の厩舎のスター馬には影響を与 えないように思われる。というのは、すでにG1競走入着馬のレディダーシャーン(Lady Darshaan)はシーズンを終えており、トータルギャラリーの今後の出走予定もないからだ。

 ムーア調教師は、「トータルギャラリーが米国のブリーダーズカップや香港のレースに出走する可能性がありますが、同馬はまだ3歳で来シーズンもありますし腺疫の検査が進行中の段階のため、今後1週間は何も決められる状況にありません」と付言した。

By Graham Green

[Racing Post 2009年10月15日「Lambourn put on strangles alert」]


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