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海外競馬ニュース
2009年10月22日  - No.42 - 1

アガ・カーン殿下の歴史的偉業(フランス)[その他]


 週末の凱旋門賞開催に所有馬を11頭出走させて7回優勝(G1:5勝、G2:2勝)を果たす二度とは出来ないような快挙があった。この偉業の前段階においては、周到な投資が行われていたのだ。

 これらの馬がすべてアガ・カーン(Aga Khan)殿下の所有馬であったばかりでなく、同殿下の生産馬であったので、この快挙は二重に価値がある。

 優勝した5つのG1競走の中では、マルセル・ブーサック賞とジャン=リュック・ラガルデール賞が目立っている。この2つのレース名は、フランス競馬史の 生産分野で燦然と輝く2人の偉人にちなんでいる。彼らが残した偉大な遺産は、他の競馬大国に対峙し卓越した生産地としてのフランスの価値をさらに高めた。 また、彼らが世を去った後も、その遺産は輝き続け、決して損なわれることがなかった。

 アガ・カーン殿下は、1977年に他界したデュプレ(Dupre)夫人の牧場[影響力あるトップヴィル(Top Ville)を主要な血統としていた]から80頭の馬を引き継ぎ、また翌1978年にはその栄光がすでに過去のものとなっていた名門ブーサック牧場から約 150頭の競走馬および繁殖馬を買い入れ、まるで神がかりであるかのような幸運な購買者となった。馬の承継と新たな経営戦略により、殿下の馬遺伝子帝国は 目覚しく復活した。ダーシャーン(Darshaan)やダラカニ(Dalakani)はそのことを如実に物語っている。

 2005年1月、アガ・カーン殿下はジョン=リュック・ラガルデール(Jean-Luc Lagardere)氏が創設したサラブレッド帝国を手に入れる幸運にも恵まれた(訳注:同氏の死後に莫大な相続税の支払いのため売却された)。それはあ らゆる血統表に遍在するリナミックス(Linamix)を含む200頭の馬および誉れ高いウイイ牧場(Haras d’Ouilly)の土地である。そして、同殿下はデュプレ一族の生産の歴史を拡大した。(訳注:ノルマンディー地方にあるウイイ牧場は、1930年から フランソワ・デュプレ氏が所有、1966年に同氏が他界した後、デュプレ夫人が承継し、1977年に亡くなるまで所有した。同牧場は、1977年にラガル デール氏に売却された)

 そこでまた、ただちに土地と血の錬金術が功を奏し始めた。とりわけ殿下の繁殖牧場において外因性のものであるが、米国産牝馬から多大な恩恵も受けた。凱 旋門賞開催の7頭の勝馬のうち4頭[マニガー(Manighar)、ヴァルナール(Varenar)、ロザナラ(Rosanara)およびシユーニ (Siyouni)]はラガルデール氏の牧場の母系の血統である。そしてこの4頭はともに“仏国産馬”として出走していた。

 アガ・カーン殿下は、「ラガルデール氏の牧場の血統が年月を経ても影響を受けなかったことが確認できて、大変嬉しく思っています」と語った。

 アガ・カーン殿下は、生産事業には最悪の逆境があることを誰よりもよく知っている。2000年に凱旋門賞をシンダー(Sinndar)で制覇したにもかかわらず、2001年凱旋門賞開催において殿下の所有馬は1頭しか出走することができなかった。

By Gerard de Chevigny

(関連記事)海外競馬ニュース2005年No.5「ラガルデール氏の馬遺産、その一括取得の魅力」


[Paris Turf 2009年10月6日「Immemorial sceau Aga Khan」]


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