競馬・生産関係者、ニューマーケットの 宅地開発計画に反対(イギリス)[その他]
ニューマーケット調教センターの近くに新築住宅1200軒を建設するというテディ・ダービー卿(Lord Teddy Derby)の計画が実行された場合は、一部の著名な馬主が厩舎や牧場を他所に移し、地域が打撃を受けることになると、ニューマーケットの競馬・生産関係 者から反対の声が上がった。
モハメド殿下(Sheikh Mohammed)のダーレー社(Darley)は、ニューマーケットの牧場に約450人雇用している。同社の最高経営責任者ピーター・アモス (Peter Amos)氏は、ダービー卿への不信感をあらわにして懸念を表明した。同氏は建設反対運動の指導者のレイチェル・フッド(Rachel Hood)氏とともに、ダービー卿が相続物件で暴利をむさぼろうとしているのではないかと非難している。
フォレストヒース市議会(Forest Heath District Council: FHDC)の保守党の議員は7月30日に、ハッチフィールド牧場(Hatchfield Farm ダービー卿所有)の開発について、この地域開発の核となる基本計画を所管省に提出することを、ブロック投票(訳注:政党単位に意思を統一して投票するこ と、党議拘束)を行使し強引に議決した。これに対し反発が強まっている。
その後タタソールズ社(Tattersalls: せり会社)、ダーレー社およびゴドルフィン社(Godolphin)はニューマーケット調教師連合会(Newmarket Trainers’ Federation: NTF)とともに、市議会に対して、(1) ハッチフィールド牧場の開発が大半を占める計画文書の所管省への提出を4週間先送りし、(2) その間に臨時会議を開き、競馬産業に意見を述べる十分な時間を与えるよう要求した。FHDCのマルコム・スミス(Malcolm Smith)議長は同意したが、同僚の保守党幹部議員のジェフリー・ジャガード(Geoffrey Jaggard)氏は同意を拒んだ。
アモス氏は次のように語った。「8月26日にジャガード議員と会って、この開発に伴う交通量の増大、すなわちさらに2500台の車がニューマーケットの道路を行き来するようになることを強調しました」。
「馬、騎乗者および歩行者に危険が及ぶことになれば、馬主たちが所有馬を英国の他の調教地域に移すことになるかもしれません」。
“歴史的なニューマーケットを保存する活動グループ”(Save Historic Newmarket Action Group)のフッド氏は、次のように語った。「テディ・ダービー卿が叔父から引き継いだこの牧場から暴利をむさぼることによって、一部の著名な馬主が ニューマーケットから退去することになれば、大きな痛手を受けます」。
「タタソールズ社のエドモンド・マホニー(Edmond Mahony)氏、ダーレー社のピーター・アモス氏、NTFのマーク・トンプキンス(Mark Tompkins)調教師およびジョッキークラブ・エステーツ社(Jockey Club Estates)は、競馬産業が一丸となってこの開発を阻止するよう尽力しました」。
フッド氏は次のように付言した。「私たちの主張は、ニューマーケットのハッチフィールド牧場を転用して新築住宅を建てる必要性は全くないということで す。フォレストヒース地区には空き家があちこちにありますし、この開発による交通量の増加をニューマーケットの調教関係者は我慢できないのです」。
By David Milnes
(関連記事)海外競馬ニュース 2008年 No.15
「ニューマーケットの遺産を守る戦い(イギリス)」
[Racing Post 2009年8月27日「Newmarket warns of defections if housing proposal goes ahead」]